社長への転職をすることは難しいというイメージがあるのではないでしょうか。
本記事では、社長の転職が難しいと言われる理由や実際の社長の転職成功事例などを、JAC Recruitment(以下、JAC)が解説します。
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社長の方が転職をする前に知っておきたいこと
本章では、社長クラスの転職を目指す前に知っておきたいことを以下の4つの項目に分けて解説します。
• 社長の定義
• 社長の平均年収
• 社長の平均年齢
• 企業の社長交代率
社長の定義
「社長」とは、一般的に企業の最高責任者を指します。
具体的には、組織全体のビジョンや戦略、方向性を定める際の最終的な意思決定を行ったり、事業運営の責任を担ったりする人物もしくはポジションのことをいいます。
■部長との違い
部長は企業内の特定の部門を統括し、その部門の業績や運営の責任を担うポジションであり、企業の事業方針や戦略を策定したり決定したりする立場ではありません。一方、社長は企業全体の戦略を策定し、各部門へ策定した戦略に基づいて行動するよう、部長や部長の上長にあたる役員に対して指揮命令を行う役割を担います。
■役員(取締役)との違い
取締役は、社長を含む経営陣の一員として、企業の経営方針や重要な決定に関与するポジションであり、社長の意思決定に対して監督や助言を行います。
取締役は事業の経営戦略や方針に関する議論に関与するものの、最終的な意思決定権は社長が持つことになります。
■CEOやCOOとの違い
CEO(Chief Executive Officer、最高経営責任者)は、一般的に社長と同義で使われることが多く、企業の全責任を持つとともに、事業方針や戦略などを決定する役割を担います。一方、COO(Chief Operating Officer、最高執行責任者)は、CEOが決定した戦略を現場運営に反映させ、現場の業務が事業戦略に沿って円滑に推進するよう管理・監督する役割を担います。
社長の平均年収は約5,197万円
人事院が全国の主要企業を対象に実施した「令和5年度 民間企業における役員報酬(給与)調査」によると、社長の平均年収は約5,197万円でした。
また、他の職位の平均年収と企業規模別の社長平均年収は、次のとおりです。
職位 | 平均年収(万円) |
---|---|
会長 | 6,391.1 |
副会長 | 5,821.5 |
社長 | 5,196.8 |
副社長 | 4,494.4 |
専務 | 3,246.9 |
常務 | 2,480.0 |
専任取締役 | 2,086.6 |
部長等兼任 | 1,746.2 |
監査等委員 | 2,054.0 |
監査役 | 1,694.9 |
専任執行役員 | 2,368.9 |
企業規模 | 平均年収(万円) |
---|---|
3,000人以上 | 8,602.6 |
1,000人以上 3,000人未満 | 5,275.6 |
500人以上 1,000人未満 | 4,225.5 |
出典:「令和5年度民間企業における役員報酬(給与)調査」第3表 企業規模別、役名別平均年間報酬(人事院)を参考に作成
社長の平均年齢は60.5歳
株式会社帝国データバンクが実施した「全国「社長年齢」分析調査(2023年)」によると、社長の平均年齢は60.5歳という結果が公表されています。なお、2023 年時点における社長の年代別構成比をみると、50代以上の社長は全体の8割以上を占めており、40代以下の若手経営者は18.8%にとどまることが分かりました。
出典:「全国「社長年齢」分析調査(2023年)」社長の年代別構成比(株式会社帝国データバンク)
企業の社長交代率は3.8%
また同調査において、企業の社長交代率は3.8%となっており、14年連続で3%台が続いているとのことです。
出典:「全国「社長年齢」分析調査(2023年)」社長平均年齢/社長交代率の推移(株式会社帝国データバンク)
表からは、前年度調査(3.82%)からほぼ横ばいであり、社長交代に関しては活発な状況とは言えず、社長の高齢化が進行している様子が伺えます。
このような状況が続くと、社長の世代交代が間に合わず、事業継続に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
社長転職が難しいと言われる理由
ここでは、社長転職が難しいと言われる下記2つの理由について解説します。
• 社長クラスになると公開求人が無いに等しいため
• 企業規模や肩書きが高すぎることで断られるケースもあるため
理由1:社長クラスになると公開求人が無いに等しいため
社長クラスになると公開求人が無いに等しくなり、求人情報の入手が困難になることから転職活動が難航する場合もあります。
社長クラスの採用は、企業にとって事業戦略と密接に関わることが多く、求人情報を公開してしまうと、自社の事業戦略が外部に漏れてしまう懸念があります。そのため、社長クラスの採用活動は、株主からの推薦やヘッドハンティング、もしくは転職エージェントを通じた非公開のルートで行われるケースが大半です。
このように求人情報の入手ルートが限られており閉鎖的であることから、社長クラスの転職は難しいといわれています。
理由2:企業規模や肩書きが高すぎることで断られるケースもあるため
応募者が過去に就いていた企業規模や肩書きが高すぎると、応募先企業にオーバークオリファイドと判断されてしまうことがあります。例えば、大企業の社長経験を持つ応募者が、中小企業の経営に興味を持ったとしても、応募先の企業が「スキルに見合う報酬を提示できないかもしれない」「応募者が不満を感じるのではないか」と懸念し、採用を見送るケースが一例として挙げられます。
また、応募者自身も、これまでの経験を生かせる企業なのか慎重に判断します。
他の職位の転職と比べて、応募者と企業の双方が慎重に要望の見極めや意向の確認が必要になることから、社長転職は難しいといわれることもあります。
社長の転職成功事例
本章では、JACが実際に支援した社長転職の成功事例を紹介します。実際の事例を知ることで、社長転職への理解が深まるでしょう。
60代の転職成功事例|ビジネス人生も残りわずか、中小企業の「後継社長」に転職(男性/60代前半)
業種 | 職種 | 年収 | |
---|---|---|---|
転職前 | 大手企業 | 取締役およびグループ企業の代表取締役社長 | 数千万円 |
転職後 | 中小消費財メーカー | 代表取締役社長 | 3,000万円 |
数万人規模の大手企業において、本社取締役とグループ企業の代表を務めていました。そのままグループ企業内でキャリアを終える道もありましたが、社内事情に対して息苦しさも感じており、外に出てみようと考えたのです。
大企業での経営ポジションでは「方向性を決めるだけ」の立場になっていました。しかし、ビジネス人生も残りわずか、もう一度お客様に向き合い、お客様に貢献できる仕事を「手触り感」を持ってやりたいという気持ちがありました。そこでかねてからお付き合いがあったJACのコンサルタントに相談したのです。
「経営幹部として裁量権を持つ」という希望条件以外は、業種・規模・年収にこだわらず、さまざまな求人案件を紹介していただきました。
いくつかの企業でカジュアル面談を受けてみて、最終的に入社を決意したのが、中小規模の消費財メーカー・A社です。A社の創業オーナーは高齢となり、事業承継時期を迎えていました。しかしご子息・ご令嬢は異分野の専門職に就いていて「経営」の経験がなく、外部から「後継社長」を採用することになったのです。
A社は従業員数十名規模と、前職企業とはかなりサイズ感にギャップがあります。ですが、私は子会社の社長として、このサイズ感の組織のマネジメント経験も持っていたので、対応できると判断しました。何より、ライフスタイル領域の事業も手掛けてきたため、消費財メーカーであるA社の「ブランド再構築」「新たなチャネル開拓(Eコマースなど)」といった課題に対し、自身の経験を生かせると思ったのです。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
社長転職を成功させるための4つのポイント
本章では、社長転職を成功させるために実施したい4つのポイントについて解説します。
• 転職先企業より「やや大規模から同等規模」の経験が必要
• ある程度長い時間をかけて転職活動を行う
• 新しい企業文化や環境に馴染む姿勢を示す
• 地方企業に多い「後継者求人」を確認する
ポイント1:応募先企業より「やや大規模から同等規模」の経験が必要
社長転職では、応募先の企業と比較して「やや大規模から同等規模」の経験が求められるケースが一般的です。たとえ経営経験を持っていたとしても、数十名規模の企業と数千人規模の企業とでは、社長として求められるマネジメント能力やリーダーシップ力、経営スキルも異なるでしょう。
社長転職を検討する際は、これまでの経験を存分に生かせる企業規模の求人を紹介してもらいましょう。
ポイント2:ある程度長い時間をかけて転職活動を行う
前述のとおり、社長クラスの求人情報は一般に公開されることはほぼありません。多くの場合、転職エージェントやヘッドハンティングを介して採用活動が進められるため、理想の条件に合う社長クラスの求人に巡り合えるまで時間がかかることもあります。加えて、社長クラスとなると、経営力のほか、これまで企業が築いてきた文化や歴史への理解も必要になるでしょう。
また、企業側も時間をかけて自社の社長にふさわしい人材かを見極めるため、他の職位と比較して転職活動が長期化することも珍しくありません。
社長転職では、ある程度長い期間を要することを理解した上で、転職活動に取り組むことが大切です。
ポイント3:新しい企業文化や環境に馴染む姿勢を示す
社長転職を成功させるためには、転職先企業の文化や環境に馴染む姿勢を示すことも大切です。転職直後からすぐに前職と同様の方法を導入したり、自分の考えばかりを優先したりする経営では、社員から敬遠され事業運営が失敗に終わる可能性が危惧されます。
これまで築かれてきた文化や環境を尊重し、既存従業員と信頼関係を築く姿勢を示すことも重要であると心得ておきましょう。
ポイント4:地方企業に多い「後継者求人」を確認する
事業承継求人の約9割は、地方(東京都心から2時間以上かかる首都圏近郊エリアも含む)にあると言われています。
他の職位と比較して数が少ない傾向にある社長クラスの求人ですが、募集エリアの範囲を広げることで選択肢が広がることもあるでしょう。
社長クラスの求人を探す際は、ぜひ地方企業に多い「後継者求人」もチェックしてみてください。
社長転職を検討されている方はJACに登録を
社長転職を検討する場合、社長クラスの求人を取り扱う専門の転職支援サービスの利用が不可欠です。
その点、JACグループにはエグゼクティブポジションの転進を支援する「JAC Executive」があります。JAC Executiveは、経営幹部やエグゼクティブポジションに特化した転職支援に長けており、長年の実績と独自のネットワークを生かし、企業経営をリードするポジションを紹介しております。
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