CISO(最高情報セキュリティ責任者)とは?役割・必要な能力や求人・転職情報を解説

公開日:2024/12/24 / 最終更新日: 2025/02/07

「CISOポジションに興味があるけど自分が適しているか分からない…」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、CISOポジションの役割・必要な能力や求人・転職情報を解説します。

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CISO(最高情報セキュリティ責任者)とは?


本章では、CISOの定義や役割、CISOと混同されることの多いCIOやCSOとの違いについて解説します。

CISOとは、企業の情報セキュリティ部門を統括する役職のこと

CISOは「Chief Information Security Officer」の略語であり、日本語では最高情報セキュリティ責任者と訳されます。

情報セキュリティ戦略の策定や実行、管理を統括する役割を担い、CIOが定める経営戦略や事業方針に基づき、情報セキュリティにまつわる幅広い業務を推進します。具体的には、情報セキュリティポリシーの策定やセキュリティリスク管理、インシデント発生時の対応、従業員へのセキュリティ教育、最新のセキュリティ技術の導入などの業務が挙げられます。
サイバー攻撃の高度化や巧妙化が進む昨今においては、企業の情報資産を守るCISOに対する注目が高まっています。

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CISOとCIOの違い

CIOは、「Chief Information Officer」の略語であり、日本語では最高情報責任者と訳されます。CIOは、情報戦略全体を統括する役割を担い、ITインフラの整備、情報システムの導入・運用、情報技術を活用した業務効率化など、情報技術全般に関する戦略の立案や推進を担います。一方、CISOは情報セキュリティに関する責任者のことを指します。
CIOは情報技術を通じて企業の成長を支える役割を担うのに対し、CISOはサイバー攻撃や情報漏えいなどに関するリスクマネジメントに取り組む役割を担います。

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CISOとCSOの違い

CSOは「Chief Security Officer」の略語であり、日本語では最高セキュリティ責任者と訳されます。
CSOは、企業におけるセキュリティ全般に対する責任を担い、情報セキュリティに限らず、入退室管理や防犯カメラの設置のような物理的なセキュリティ対策、従業員の安全管理など、広範囲にわたるセキュリティの保全に取り組みます。一方、CISOは、情報セキュリティに特化しており、主にデジタル情報やITシステムの保護に努めます。
ただし、企業によってはCSOが情報セキュリティも管理するケースや、CSOの役割がCISOに包含される場合もあります。

CISO(最高情報セキュリティ責任者)という役職が注目されている背景


CISOが注目されている背景として、AIやIoT、ビッグデータ等のデジタル技術の普及が一因として挙げられます。
デジタル技術の活用・依存が高まるにつれ、サイバー攻撃による被害が増大しており、電力システムや石油化学プラント、自動車工場、ビルシステムなどの制御システム(OT)や IoT 機器においては、既に数多くのサイバー攻撃報告が確認されています。

また、企業のサイバーセキュリティ対策を取り巻く環境においては、次のような変化が生じています。
● テレワーク等に代表される、デジタル環境の活用を前提とする働き方の多様化
● インターネットに代表されるサイバー空間と、現物の取引を行う場であるところのフィジカル空間とのつながりの緊密化とそれに伴うリスクの顕在化
● 情報資産とそれを扱う IT 系の環境のみを守ることから、制御系を含むデジタル基盤を守ることへのサイバーセキュリティの対象の変化・拡大
● ランサムウェアによる被害の顕在化により、企業におけるサイバーセキュリティに関する被害は情報漏えいに留まらず、企業の事業活動の停止へと影響が拡大
● 国内外のサプライチェーンを介したサイバーセキュリティ関連被害の拡大を踏まえた、サプライチェーン全体を通じた対策の推進の必要性の高まり
● ESG(Environment, Society, Governance)投資の拡大に伴う、コーポレートガバナンス及びエンタープライズリスクマネジメントの改善に向けた取り組みへの関心の高まり

ビジネス環境や企業のサイバーセキュリティ対策を取り巻く環境は急速に変化しており、企業はこれまで以上に強固な情報セキュリティ体制の構築が求められるようになりました。このような状況を背景に、情報セキュリティ対策の中心的な役割を担うCISOへの注目が高まりつつあると推察されます。

出典:「サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き」(経済産業省)
出典:「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0」(経済産業省)

日本企業におけるCISO(最高情報セキュリティ責任者)の設置状況


経済産業省が公表している「経営リスクとしてのサイバーセキュリティ対策」によると、専任のCISOを設置している日本企業は2016年時点の調査において27.9%に留まり、欧米の半分以下でした。

引用: 「経営リスクとしてのサイバーセキュリティ対策」(経済産業省)

また、「セキュリティ対策を実施したきっかけ」においては、海外企業は経営層によるトップダウン指示によってセキュリティ体制を構築しているのに対し、日本ではセキュリティインシデントの発生によってセキュリティ体制を構築しており、海外企業と比較して自発的にセキュリティ対策を実施している日本企業は少数に留まっています。

引用: 「サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き」(経済産業省)

本調査結果より、情報セキュリティ知見を有していない、関心が薄いなどの理由により、経営者が十分なリーダーシップを発揮できていないことが日本企業のCISO設置が進んでいない要因になっていると考えられます。

CISO(最高情報セキュリティ責任者)が担う主な役割と必要なスキル


本章では、CISOが担う次の5つの役割やスキルについて解説します。

● リスク管理体制の構築
● インシデントに備えた体制構築
● リスクの特定と対策の実装
● サプライチェーンセキュリティ
● 関係者とのコミュニケーション推進

リスク管理体制の構築

CISOが担う主な役割の1つにリスク管理体制の構築が挙げられます。
具体的には、CEOや他の経営陣にサイバーセキュリティリスクへの理解を促し、組織全体の対策方針を策定します。続いて、予算・人材等のリソースを考慮しながら、方針を実装するための体制を構築します。
リスク管理体制を構築するためには、企業の現状把握に努めることはもちろん、最適なリスク管理体制を構築するための知見やリーダーシップ力が必要になるでしょう。

インシデントに備えた体制構築

情報セキュリティインシデントに備えた体制を構築することも、CISOの職務に含まれます。
サイバー攻撃はいつ発生するか予測が難しいため、CISOは平時からインシデント発生を想定し、体制を整備しておかなければなりません。
具体的には、インシデント・レスポンス計画の策定やCSIRT(※)の構築、インシデント発生時の対応体制の確立などの業務が挙げられます。

インシデントに備えた体制の構築にあたっては、インシデント・レスポンスに関する深い知識、危機管理能力、リーダーシップなどが求められます。また、技術的な知識だけでなく、法的知識や広報対応に関する知識も必要になるでしょう。

(※)CSIRT(Computer Security Incident Response Team):情報セキュリティインシデントに対応するための専門チーム

リスクの特定と対策の実装

CISOは、企業が抱える情報セキュリティリスクを特定し、適切な対策を実装する役割も担います。具体的には、懸念視されるリスクを洗い出す、ファイアウォールや侵入検知システムを導入する、従業員にセキュリティ教育を実施する、などの取り組みを通じてインシデントやサイバー攻撃に備えます。
潜在的なリスクを特定し適切なリスク対策を講じるためには、専門的な知識と経験に加え、的確な判断力や関係各所との迅速な連携を実現する推進力も不可欠です。

サプライチェーンセキュリティ

サイバーリスクが高まる昨今においては、自社は勿論のこと、系列企業やビジネスパートナー、ITシステム管理の委託先を含めたサプライチェーンセキュリティが必要視されています。
サプライチェーンセキュリティは、サプライチェーンに関連する全ての企業やシステムを考慮したセキュリティ構築が必要になることから、セキュリティリスクが広範囲化・複雑化することもあります。そのため、サプライチェーン全体のリスクを俯瞰的に捉える広い視野と高度な知識が必要になるでしょう。また、取引先やグループ企業とのやり取りも発生することから、交渉力やコミュニケーション能力も不可欠です。

具体的な業務としては、取引先や委託先に対してセキュリティポリシーの遵守を求める、定期的な監査を実施する、セキュリティに関する情報共有や教育を行う、サプライチェーン全体にわたるセキュリティ管理体制を構築するなどの活動が挙げられます。

関係者とのコミュニケーション推進

関係者とのコミュニケーションの推進もCISOの役割に含まれます。
緊急時に限らず平時においても情報セキュリティに関する情報を適切に伝え、関係者間の連携を円滑にしておくことで、効果的なセキュリティ対策を推進できたり、インシデント発生時には迅速な解決に取り組めたりするでしょう。
CISOとして各関係者とコミュニケーションを取り合うためには、専門用語を分かりやすく説明する能力や異なる意見を持つ相手とも建設的に議論できる能力などが必須になります。また、情報セキュリティの最新動向や技術トレンドを継続的に学び、知識をアップデートし続ける姿勢も不可欠です。

CISO(最高情報セキュリティ責任者)の最新転職・求人情報


本章では、CISOの最新転職・求人情報を紹介します。

イグニション・ポイント株式会社:情報セキュリティマネージャー
日系フィンテック大手:情報セキュリティマネージャー(責任者候補)
株式会社ニコン:情報セキュリティ戦略マネジメント

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2024年12月最新)

本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。CISOをはじめとするエグゼクティブ層向けの求人は、競合他社に事業戦略や事業の方向性など、重要な情報が漏れる可能性を懸念視し、非公開の状態で人材採用を進めるケースが一般的です。
そのためCISOに関する求人情報を知りたい場合は、JACなどエグゼクティブポジションへの転職に強みを持つ転職エージェントを利用することをおすすめします。

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CISO(最高情報セキュリティ責任者)になるには?


CISOは、企業の情報セキュリティ戦略を統括する役割を担うポジションであり、CISOの意思決定や施策が企業の運営に大きく影響します。未経験者を責任者としていきなり採用することはリスクが高いため、CISOとしての経験やCISOが担う業務に近い経験が求められます。

CISOになるためには、高度な情報セキュリティに関する専門知識を有していることはもちろん、経営的視点で物事を考えたり、組織を牽引したりする能力も不可欠です。現職でCISOを目指す場合は、情報セキュリティ部門やIT部門でマネジメント経験を積みながら情報セキュリティ部門を統括するポジションを目指しましょう。また経営層とのコミュニケーションを通じ、ビジネス戦略と情報セキュリティを結びつける観点を養うことも大切です。
転職でCISOを目指す場合は、まずCISO候補やセキュリティ部門の管理職への転職を目指し、CISOに必要なスキルや経験を培っていきましょう。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。