外資系コンサルティングファームとは?企業一覧や転職動向を紹介

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公開日:2021/12/16 / 最終更新日: 2025/03/12

「外資系コンサルティングファームが自分に合いそうか検討したい」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、主な外資系コンサルティングファームの企業一覧や転職動向などを解説します。

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本章は、外資系コンサルティングファームの特徴や仕事内容について解説します。

  • コンサルティングファームとは?種類や企業一覧を紹介

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外資系コンサルティングファームとは、海外の企業が運営している、もしくは外国の資本が一定以上入っているコンサルティングファームを指します。明確な定義はありませんが、一般的には外国法人または外国人が一定比率以上の出資をしている企業を外資系企業と扱い、そのなかでもコンサルティングサービスを提供する企業を外資系コンサルティングファームと呼びます。

外資系コンサルティングファームの特徴として、グローバルなネットワークと豊富なノウハウを有している点が挙げられます。世界各地のオフィスと連携し、最新のビジネス動向や先進的なコンサルティング手法を導入することで、クライアント企業に対して高度なサービス提供を可能にしています。
また、日系コンサルティングファームと比較して成果主義の文化が根づいており、実力が重視される傾向があります。さらに、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっている点も特徴の一つであり、外資系コンサルティングファームで活躍するためには、異文化への理解やグローバルな視点も必要になるでしょう。

外資系コンサルティングファームが取り組むテーマは、ファームによって異なります。
「戦略系」には、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニー、A.T. カーニー、ローランド・ベルガーなどのファームが該当します。
これらの外資系コンサルティングファームは、主に大手企業をクライアントとし、中期経営計画の策定や新規事業の創出など、経営の核心部分の戦略立案や実行を支援する案件を手掛けています。

一方、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、KPMGコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの4つは「BIG4」と呼称され、総合系に分類されます。もともとIT分野に強みを持つアクセンチュアも、総合化が進み、現在では世界最大規模の総合系コンサルティングファームへと成長しました。
また、戦略系コンサルティングファームは経営層と相対することが多いですが、総合系コンサルティングファームはCxO~事業部門長クラスを支援する傾向があり、新規事業立ち上げから、売上拡大策、コスト削減策、業務オペレーションの効率化まで、幅広い領域をカバーしています。いわば、クライアント企業が抱えるすべての課題解決に向き合います。

近年はあらゆる業界がDX化を推進していることから、いずれのファームもデジタル技術の知見やデジタル人員の強化を図り、DX支援に力を入れています。このほかに、「IT系」「シンクタンク系」「組織人事系」などの外資系コンサルティングファームがあり、それぞれの専門性を生かして事業会社の課題解決に取り組んでいます。

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本章では、外資系コンサルティングファームに該当する22社のファームを紹介します。
該当のファームをクリックすると、本記事内の解説に遷移します。

企業名分類
マッキンゼー・アンド・カンパニー戦略系
ボストン コンサルティング グループ合同会社(BCG)戦略系
A.T. カーニー株式会社戦略系
株式会社ローランド・ベルガー戦略系
アーサー・ディ・リトル戦略系
Strategy&戦略系
PwCコンサルティング合同会社総合系
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社総合系
KPMGコンサルティング株式会社総合系
アクセンチュア株式会社IT系
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)IT系
コーン・フェリー・ジャパン株式会社組織・人事系
マーサージャパン株式会社組織・人事系
ウイリス・タワーズワトソン株式会社組織・人事系
EY新日本有限責任監査法人監査法人
有限責任あずさ監査法人監査法人
有限責任監査法人トーマツ監査法人
PwC Japan有限責任監査法人監査法人
KPMG FAS株式会社(KPMG FAS)FAS
PwCアドバイザリー合同会社FAS
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(旧EYTAS)FAS
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(DTFA)FAS

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、1926年にアメリカで設立された世界的に最も著名な戦略コンサルティングファームの一つです。
フォーチュン500企業を含む多くのグローバル企業をクライアントに持ち、幅広い業界で実績を重ねています。また日本法人は1971年に設立され、国内外の大企業に向けて経営戦略の立案や業務改革を支援しています。
最高経営責任者(CEO)などの経営層を対象としたアドバイスを強みとしており、世界65カ国、130拠点に高度な分析力と問題解決能力を持つ3万名以上のコンサルタントを擁しています。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、1963年にアメリカで創業されたマッキンゼーと並ぶ世界的に名の知れた戦略系コンサルティングファームです。
現在は、世界50カ国以上、30を超える拠点を持ち、2.2万名以上のコンサルタントが在籍しています。日本では、1971年に初のアジア拠点として日本法人が設立されました。現在は東京をはじめ、名古屋、大阪、京都、福岡の5都市に拠点を構え、約1,200名の従業員が在籍しています。
独自の「経験曲線理論」や「BCGマトリックス」にもとづいた分析手法を用いることで知られており、経営戦略や事業戦略、組織戦略など、企業の成長に直結するコンサルティングを得意としています。

A.T. カーニーは、1926年にアメリカのシカゴでマッキンゼー・アンド・カンパニーから分離独立を経て設立した戦略系コンサルティングファームです。
現在は、世界41の国と地域に71拠点構えており、グローバルに約5,300名の従業員を擁しています。
同社の特徴は、現場主導型の実行支援を行う点です。特に製造業や小売業などの実行支援を得意としており、オペレーション改善やサプライチェーンマネジメントに強みを持ちます。

ローランド・ベルガーは、1967年にドイツで設立された、ヨーロッパを代表する戦略系コンサルティングファームであり、製造業や自動車産業の領域に関する支援を得意としています。
世界34カ国に50以上の拠点を持ち、約3,000名のコンサルタントが従事しています。日本オフィスは1991年に開設され、約100名の従業員が在籍しています。少数精鋭で成果にコミットする組織体制や風土が特徴であり、クライアントのニーズに応じたオーダーメイド型のソリューションを提供しています。

アーサー・ディ・リトルは、1886年にマサチューセッツ工科大学のアーサー・デホン・リトル博士によってアメリカ合衆国ボストンに設立された世界で最も歴史のあるコンサルティングファームです。
39の国と地域に51拠点展開しており、日本法人であるアーサー・ディ・リトル・ジャパンは1980年に設立されました。
同社は、イノベーションや新規事業開発など、企業変革や成長支援を得意としており、研究開発の戦略立案や新事業創出支援などを通じて、企業の変革と成長を支援します。

Strategy&は、PwCにおいて戦略コンサルティングを担う部門です。2014年にブーズ・アンド・カンパニーがPwCに統合されたことで誕生した部門であり、経営戦略や事業戦略、オペレーション戦略など、企業の成長と変革を支援するコンサルティングを提供しています。
特に、M&Aやデジタル戦略に強みを持ち、戦略策定から実行まで一貫したサービスを提供する点が特徴です。

PwCコンサルティングは、世界最大級の会計事務所であるPwCのメンバーファームです。1983年に設立し、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げ、グローバルネットワークと連携しながら、クライアント企業が直面する複雑で困難な経営課題の解決に取り組んでいます。
現在は、5,000名ほどの従業員が在籍し、幅広い業界の企業に対して戦略策定から実行まで総合的なコンサルティングサービスを提供しています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、世界的な会計事務所であるEY(Ernst & Young)のメンバーファームです。
コンサルティング支援においては、「企業の長期的な価値創造のために、どのような経営戦略を描き、成長・発展を遂げていくべきか」を軸に据え、約4,500名の従業員がクライアント企業の成長や課題解決に貢献しています。
ストラテジーからエグゼキューション(M&A)やトランスフォーメーションまでをワンストップで支援する点が特徴であり、グローバルなネットワークを生かしたコンサルティングにも長けています。

KPMGコンサルティングは、KPMGのメンバーファームであり、KPMGジャパンのいち部門として、業務改善やリスク管理、IT導入支援などの分野のコンサルティングを提供しています。
「KPMGマネジメントコンサルティング株式会社」「KPMGビジネスアドバイザリー株式会社」「あずさITアドバイザリー部門」の合併により、2014年に設立した会社であり、現在は約2,050名のほどの従業員が従事しています。

「攻めと守り」の両面からクライアント企業の戦略実行に寄り添う点が特徴であり、継続的な成長に貢献することをスタンスとしています。

アクセンチュアは、世界49カ国、200以上の都市に拠点を構える総合系コンサルティングファームです。グローバル本社は、アイルランドのダブリンに登記されていますが、実質はアメリカのシカゴとニューヨークに構える拠点がメインとなります。日本拠点の従業員数は約2.5万名、グローバルは約79.9万名と、非常に多くの従業員が在籍しています。
各国を代表する大企業や政府系機関をクライアントに擁している点も特徴の一つであり、戦略立案からIT、アウトソーシングまで幅広いサービスを提供しています。特に、テクノロジーを活用した変革支援に長けており、企業の変革をデジタルやテクノロジーの分野から支援します。

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、アメリカに本社を置く世界的なIT企業であるIBMの日本法人であり、1937年に設立されました。ITコンサルティングやシステムインテグレーション、アウトソーシングなど、幅広いIT関連サービスを提供しており、特に大規模なシステム構築プロジェクトやIT戦略策定を得意としています。そのなかでも、Watsonを活用したAIソリューションを用いるDX支援で高い評価を得ています。
日本法人は、東京都港区に本社を構えており、約1.6万名の従業員が在籍しています。

コーン・フェリーは、1969年にアメリカで設立した人事・組織系コンサルティングファームであり、特にエグゼクティブサーチやリーダーシップ開発、組織改革の支援を専門としています。
世界50カ国以上に100以上の拠点を構えており、日本法人は1997年に設立され、2019年には日本コーン・フェリー・インターナショナル株式会社とコーン・フェリー・ヘイグループ株式会社、ならびにフューチャーステップ・ジャパン株式会社が統合し、現在の「コーン・フェリー・ジャパン株式会社」へと社名を変更しています。
グローバル従業員数は、1.1万名を超えており、日本国内には4,000 名の従業員が在籍しています。

マーサーは、ニューヨークに本社を構えるグローバル・コンサルティング・ファームであり、組織・人事や福利厚生、年金、資産運用分野など、人事・組織に関する幅広いサービスを提供しています。
全世界で約2万名のスタッフが在籍しており、43カ国の拠点をベースに、130カ国にまたがり事業を展開しています。
なお、日本法人は1978年に設立され、国内外での豊富な経験を生かし、急速に変化する日本の労働市場を的確に捉えた支援を実施しています。

ウイリス・タワーズワトソンは、2016年にウィリス・グループとタワーズワトソンが合併してイギリスに設立された、リスク管理や人事・組織に強みを持つ人事・組織系コンサルティングファームです。ウイリス・タワーズワトソンとしての歴史は浅いですが、1828年に創業したHenry Willins&Co.が社史の始まりのため、非常に長い歴史を持ちます。
現在では、140以上の国と地域に500以上の拠点を構え、約4.8万名の従業員が従事しています。

EY新日本有限責任監査法人は、2000年に設立され、世界的な会計事務所であるEY(Ernst & Young)のメンバーファームとして、監査や税務、アドバイザリーサービスを中心に提供している監査法人です。
従業員規模は、5,000名程度であり、監査業務を中心に財務報告や内部統制、リスクマネジメントなどに関するコンサルティングサービスを提供しています。
クライアント企業には上場企業が多く、プロジェクトの規模も比較的大きい点が特徴です。

有限責任あずさ監査法人は、KPMGの日本におけるメンバーファームであり、1969年に朝日監査法人として設立され、2003年にあずさ監査法人に改称、2010年に有限責任あずさ監査法人へ移行しました。

監査・保証業務を中心に、IFRSやアカウンティング、IT関連、企業成長支援など、幅広いアドバイザリーサービスを提供しています。グローバル展開する大企業や上場企業のクライアントが中心であり、高度な専門知識と国際的なネットワークを生かしたコンサルティングを提供している点が特徴です。
全国主要都市に拠点を構え、約7,000名の従業員を擁しています。

有限責任監査法人トーマツは、世界最大級の会計事務所であるデロイトのメンバーファームです。1968年の設立以降、国際化を目指し、デロイトの持つグローバル規模の総合力を生かしたサービス提供に努めている点が特徴です。
現在は、約8,000名の従業員が在籍しており、監査・保証業務に加え、リスクアドバイザリーやコンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務などの多様な課題に対応する支援を多角的に提供しています。

PwC Japan有限責任監査法人は、世界最大級の会計事務所であるPwCのメンバーファームであり、2006年にあらた監査法人として設立されました。2023年には、PwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人が合併し、PwC Japan有限責任監査法人へと社名を変更しています。

現在の従業員数は、3,000名ほどであり、PwCが有するグローバルなネットワークを用い、国内外の企業に対して監査・保証業務を中心に、財務報告や内部統制、リスクマネジメントなどのサービスを提供しています。

KPMG FASは、KPMGのメンバーファームであり、ファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供する専門組織です。イギリスに本社を構えるほか、世界143の国と地域に拠点を構えます。
企業の財務戦略に関わる財務アドバイザリーを得意としているほか、不正・不祥事の調査・対策支援アドバイス、情報漏えい調査などにも強みを持ちます。
日本国内の従業員数は1,000名程度であり、東京本社をはじめ、大阪・名古屋・福岡に拠点を構えます。

PwCアドバイザリーは、PwCのメンバーファームであり、PwCグループにおいて財務アドバイザリーサービス(FAS)を専門に提供しています。
組織編成によって1999年に設立し、現在では、1,000名ほどの従業員が在籍しています。
本企業の特徴は、M&Aや企業再生、財務戦略に強みを持つ点であり、企業の経営課題に対し戦略策定から実行まで一貫した支援を提供しています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(旧EYTAS)は、2020年にEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社とEYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社が統合し、発足しました。
EYグループのグローバルなノウハウとメソトロジーを活用したアドバイザリー支援が特徴であり、大手企業を中心に長期的な視点からM&Aやリストラクチャリング、トランザクション戦略、企業再編支援などの支援を提供しています。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)は、デロイトのメンバーファームであり、2001年にデロイトグループのファイナンシャルアドバイザリー部門として設立しました。同社の特徴は、M&Aや企業再編、再生支援など、企業の財務戦略に関わるアドバイザリーに長けている点です。

日本国内に1,600名ほどの従業員を擁し、デロイト トーマツ グループの総合力を生かし、グローバルネットワークと連携した高度な戦略的支援を提供しています。


年収水準は、外資系コンサルティングファームによって差があります。「ビジネスアナリスト」と呼ばれる第二新卒~若手層では年収500万~600万円からのスタートが平均相場ですが、トップクラスの戦略系コンサルティングファームルの場合、年収700万~800万円からスタートすることもあるでしょう。
「コンサルタント」「シニアコンサルタント」の年収相場は、600万~900万円ほどであり、マネージャークラス以上になると年収1000万円を超えるケースも珍しくありません。
さらに「ディレクター」「パートナー」クラスになると、年収の上限はなくなります。自身で獲得した案件の数や金額に応じたインセンティブが付与されるため、億単位の年収に達することもあります。


ここでは、外資系コンサルティングファームに転職することで得られる次の6つのメリットについて解説します。

• 年収アップを図れる
• 先進的な技術・手法を身に付けられる
• 成長スピードを加速させられる
• 経営に近いポジションへキャリアを展開できる
• ネットワークが一生ものの財産となる
• 忙しすぎるイメージと現実

外資系コンサルティングファームは基本の給与水準が高いため、転職することで年収アップを図れることもあるでしょう。
ランクによって異なるものの、日系コンサルティングファームから外資系コンサルティングファームに移った場合、年収100万円程度アップする事例も珍しくありません。

外資系コンサルティングファームでは、本拠である欧米で生み出された先進的な技術や手法を活用し、日本企業向けにローカライズする案件を多く手掛けます。
特に、DX分野に関するノウハウは海外が先行しているため、グローバルでの最先端技術・手法を身に付けられる環境があります。

複数の企業、場合によっては複数の業界の課題解決に携わる機会もあります。
幅広い知見が得られ、ビジネスパーソンとしての成長を加速させることができるでしょう。

専門業務から経営戦略に近いポジションにキャリアチェンジを検討している場合、外資系コンサルティングファームでの経験が生きることもあるでしょう。
例えば、事業会社で経理・財務を担当している場合、別の事業会社に転職しようとしても、選択肢は同じ経理・財務ポジションに限られるケースが大半です。その点、「コンサルタント」のキャリアを挟むことで、次に事業会社に転職を図る際に、外資系コンサルティングファームで培った経験やスキルが評価され、経営企画のポジションに迎え入れてもらえることもあるでしょう。
実際、関西エリアの大手事業会社では、経営企画などの募集に際し、外資系コンサルティングファーム出身者を求めるケースもあります。ビジネス環境の変化が激しくなるなか、「これまでのやり方では通用しない」「よりスピードアップが必要」と考える企業が多く、外資系コンサルティングファーム出身者の知見や手法を取り入れようとしているのです。

外資系コンサルティングファームでは、OB・OGのネットワークも築かれています。そのコミュニティの一員になることで、各業界で活躍するOB・OGとつながるチャンスを得られるでしょう。
いずれ外資系コンサルティングファームを卒業して起業するにしても、事業会社やほかのコンサルファームに転職するにしても、外資系コンサルティングファームで築いたネットワークは一生ものの財産となります。

外資系コンサルティングファームは「非常に忙しくてハード」というイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、社会全般で「働き方改革」が進む昨今においては、一昔前と比べると多くのファームで労働環境が整備されつつあります。社長自らが旗振り役となって働き方改革プロジェクトを推進し、離職率が大幅に改善されている例もあります。
外資系コンサルティングファームの財産は、事業の要となるコンサルタントです。優秀なコンサルタントを採用するにあたっては、ワークライフバランスが整う環境を提供しなければならないという課題意識が強くなっており、各ファームが働きやすい環境整備を進めています。「フルテレワーク」も導入されており、フレキシブルな働き方が可能です。


外資系コンサルティングファームの主なキャリアパス、その後のキャリアプランとして、次の5種の選択肢を紹介します。

• プリンシパル・パートナーへの昇進
• ほかの外資コンサルティングファームへの転職
• 事業会社への転職
• ファンドへの転職
• 独立起業

同一の外資系コンサルティングファームで社内昇進を続け、プリンシパルやパートナーへの昇進を目指すケースは、よくあるキャリアパスの一つです。昇進するには、実績を出し続けることが求められるため、大きいプレッシャーがかかる環境で仕事することとなり、精神力と体力が必要となるでしょう。
また、昇進するには取締役会からも承認を得なければならず、こちらについても多大な努力が求められます。

ほかの外資系コンサルティングファームへの転職も、よくあるキャリアパスの一例です。
例えば、経営スキルを身に付けることを目的としてIT・業務系コンサルから戦略系コンサルティングファームに転職する場合もあります。一方で、人脈形成のために同系統のコンサルティングファームに転職する人もいます。
また、コンサルティング業界は同業他社に知り合いがいることも多く、誘われて転職することも珍しくありません。

事業会社に転職する場合、経営部門の戦略ポジションとしての能力が求められる傾向があります。例えば、財務・会計系ファーム出身ならCFOとして、IT系コンサル出身であればCIOとしてのポジションなどが挙げられます。これは、コンサルティング業界で得た知見を生かせると期待されているからです。

しかし、事業会社と外資系コンサルティングファームでは業務内容や仕事の進め方に違いがあり、期待される成果を残せないと悩む人も一定数います。そのため、事業会社に転職する際は、業務内容や社風を調べておくことが大切です。

投資ファンドに転職するケースもよくある事例です。
投資ファンドの業務の多くが経営に関連するものであり、業種が異なったとしても外資系コンサルティングファームで培った経験が生かされるでしょう。
また、投資ファンドは、投資先企業へ出向するケースも多く、出向先で経営に関わることもあるかもしれません。

外資系コンサルティングファームで働く人のなかには、独立や起業を見据えながらキャリアを積む人も少なくありません。独立や起業には、経営に関連する知見が求められるため、コンサルタント業務で培ったスキルや経験が存分に生かされるでしょう。
しかし、コンサルタントと起業家とでは求められる資質や能力が一部異なります。起業家には、ゼロからビジネスを生み出す能力が必要であり、資金調達力や人脈などの要素も、成功するために欠かせないものとなるでしょう。


本章では、次の5つの分野における外資系コンサルティングファームの転職市場動向について解説します。

• 戦略系コンサルティングファーム
• 総合系コンサルティングファーム
• IT系コンサルティングファーム
• シンクタンク系コンサルティングファーム
• 組織・人事系コンサルティングファーム

戦略系コンサルティングファームは、一般的に高学歴、大手企業勤務、MBAホルダーなど戦略系コンサルタントとしての素養がある思われる応募者を採用し、入社後にコンサルタントとして育成します。

しかし、最近ではDX支援案件の増加にともない、新たな傾向も見られます。具体的には、AI(人工知能)やデータサイエンス、ITセキュリティなどに精通したスペシャリストも積極的に迎え入れる戦略系コンサルティングファームが増えつつあります。また、女性活躍推進法にのっとり女性採用が進んでいるほか、サステナビリティ関連の経験者も積極的に迎え入れる動向がみられます。

総合系コンサルティングファームは、ファームによって異なりますが、対昨年比15~20%を目安に人員増加に取り組むケースが通例です。
ただし、上記はあくまでも目安であり、その時々に受注しているプロジェクトに応じ、需要が発生したポジションにマッチする応募者を採用するケースもあります。その理由として総合系コンサルティングファームは、戦略系よりも組織が細分化されているからです。「金融」「消費財」「自動車」「ヘルスケア」「エネルギー」「流通」「ハイテク」「通信」など、業種の領域があるほか、「業務オペレーション」「ストラテジー」「M&A」など、経営課題別にも担当部門が分けられています。

なお、その折に採用ターゲットとなるのは、コンサルタント経験者に限りません。
特定の業界に精通した方、経営課題解決の実績を持つ方を迎えることもあります。
つまり、コンサルタント経験者のみならず、あらゆる業界・職種の人に、転身するチャンスがあるといえるでしょう。特に、デジタルの知見・スキルを持つ人へのニーズが高まっているほか、戦略系コンサルティングファームと同様に、女性活躍推進法に基づく女性採用の強化、サステナビリティ関連の経験者の採用ニーズも高まっています。

  • 総合コンサルティングファームとは?仕事内容や企業一覧を紹介

    「総合コンサルティングファームが自分に合いそうか検討したい」という方もいるのではないでしょうか。 本記事では、主な総合コンサルティングファームの仕事内容や企業一覧などを解説します。 業界のプロがあなたにあった転職支援を行… 続きを読む 総合コンサルティングファームとは?仕事内容や企業一覧を紹介

IT系コンサルティングファームもDX支援のニーズ増加を背景に、採用数が増加傾向にあります。
多くの場合IT系コンサルティングファーム出身者を求めていますが、希少性が高いため、ファームによってはSIer出身者を迎え入れる場合もあります。
また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャークラスはもちろん、いちメンバーとして開発を手掛けてきた人も採用対象となります。

シンクタンク系コンサルティングファームも戦略系・総合系・IT系と比較して採用数が少ない場合があるものの、多くの場合、例年一定数の採用を実施しています。
ターゲット層は、IT系ファームに近かったり、戦略系ファームに近かったりと、ファームによって傾向が異なりますが、20代の若手層から、マネジャー・シニアマネジャークラスまで、幅広い層が対象となります。

  • シンクタンクとは?コンサルとの違いや企業一覧を紹介

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組織・人事系コンサルファームでは、M&Aに付随する組織統合、働き方改革、テレワークの拡大にともなう人事評価制度の見直しといったテーマの案件が増加しています。
そのため、同業種の経験者をはじめ、事業会社の人事経験者を採用対象にする場合もあります。
人事業務の経験を持つ応募者のなかでも、特に制度設計やグローバル人事の経験があると歓迎されるでしょう。


ここでは、外資系コンサルティングファームへの転職に向けて転職活動時に意識したい次の2つのポイントを解説します。

• 求められる人物像
• 選考の流れと面接のポイント

外資系コンサルティングファームの採用選考においては、専門性以外に次のような要素が注目されます。

• 論理的思考力
• 定性・定量分析力
• コミュニケーション力
• プロジェクトマネジメント力
• 柔軟な発想力
• 未知のものへの挑戦心

なお、事業会社から外資系コンサルティングファームへの転職を目指す場合、次のような経験を持っていると高く評価されることがあるでしょう。

• 何らかの「企画」業務の経験(経営企画・事業企画・サービス企画など)
• 新規事業の立ち上げ経験
• 何らかの「改善」「変革」に取り組み、実現させた経験
• 複数部門をまたいだ調整業務の経験
• 社内外の多様なステークホルダーをとりまとめてプロジェクトを推進した経験
• 海外勤務経験

若手層であれば、上記のような高度な経験がなくても、社外に対する「提案」「ソリューション提供」などの経験を有していれば、ポテンシャルが評価され採用に至ることもあります。
一方、特定の専門領域で突出した実績を持つ50代以上の方も迎えられることもあります。

外資系コンサルティングファームの選考は、一般的に書類選考→筆記テスト→面接の流れで行われます。
書類選考では、ドキュメント作成能力が見極められるため、単に経歴を羅列するだけでなく、読み手に自身の強みがしっかり伝わるよう、明瞭かつ簡潔にまとめることがポイントです。筆記テストは「SPI」「GAB」などの適性検査、もしくは論理的思考力を測る「GMAP」など、ファームによって実施内容が異なります。

面接回数は、2~3回程度が目安ですが、5回以上面接を行うファームもあります。過去には、半年間に8回の面接を経て採用に至った人もいます。しかし、売り手市場の現在は、「1日選考会」などを開催し、スピーディに採否を判断する動きも見られます。
また、外資系コンサルティングファームでは、「ケース面接」が行われる場合があります。すべてのファームで行われるとは限りませんが、ケース面接では、明確な回答を出しにくい課題を提示し、応募者がどのように論理的に考え、仮説を組み立てるかを見極めます。普段の思考の習慣が表れるものとあって事前対策は難しいですが、評価のポイントを理解しておくだけでも、面接を通過できる確度を高められるでしょう。

加えて、営業職など異業種からコンサルタントへの転身を目指す場合は、営業実績をアピールするだけでは不十分です。日々の業務を行うなかで課題を発見し、その改善に向けて取り組み、成果を挙げた経験などを具体的に伝えることができれば、プラスの評価につながるでしょう。同等の経験がない場合は、現職で一つでも業務改善に取り組み、コンサルタントに必要な素養をアピールできる経験を積んでおきましょう。


外資系コンサルティングファームへの転職を考える際、「未経験でも挑戦できるのか?」と考える人も多いのではないでしょうか。そこで、転職の難易度と転職に向けたアドバイスを紹介します。

外資系コンサルティングファーム企業への転職は、一般的に難易度が高いといわれています。これは、職務内容の高度さだけでなく、高額な平均年収とその業界の魅力から多くの人々が注目しているためです。
しかし、採用難が続く昨今においては、企業側の採用意欲が強まると予想されます。30代後半や40代の未経験者が上級の役職で採用される例も増えつつあります。これらの動向を踏まえると、未経験者でも外資系コンサルティングファームへの転職は決して不可能ではないでしょう。

外資系コンサルティングファームにはさまざまなタイプがあり、それぞれ手法や組織のスタイルが異なります。そのため、自身の求めるキャリアや適性を明確にし、それに合致するカテゴリーを選定して転職活動を進めることが重要です。
外資系コンサルティングファームへの転職を目指す際に、表面的な魅力だけで転職を決断すると、後悔する恐れがあります。自身の興味や適性、必要とされるスキルや経験をしっかりと洞察し、戦略的に転職活動を進めましょう。


外資系コンサルティングファームで培った経験は、その先のキャリアに確実にプラスとなるでしょう。興味があるなら、一歩を踏み出し、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
JACでは、各外資系コンサルティングファームの部門責任者、パートナー、マネージングディレクターの方々と毎月ミーティングを行い、各社の最新の採用ニーズの把握に努めています。

外資系コンサルティングファームが求める人物像は、その時々で抱えている案件、今後着手する案件などにより、刻一刻と変わります。つまり、外資系コンサルティングファームへの転職を検討している皆さんに、チャンスの時期についてタイムリーに情報を提供することが可能です。
また、応募先の外資系コンサルティングファームごとに、「面接でどのような質問をされるのか」「面接でどのようなポイントを見ているのか」などもお伝えできるため、面接対策のためにもJACが持つ情報を活用してください。


下記は、JACが提供する転職支援サービスを活用して外資系コンサルティングファームに転職した事例です。
転職活動の参考にお役立てください。

転職前転職後
中堅メーカー/製造部長総合コンサルティングファーム
業務改革×ITコンサルタント
(マネージャークラス)
年収1400万円
大手メーカー/ロボットソフト開発総合コンサルティングファーム
IoTコンサルタント
年収700万円
金融機関/営業担当中小M&Aコンサルティングファーム
コンサルタント
年収600万円
中堅SIer/ITインフラコンサルタント大手通信系企業
ネットワークエンジニア
年収800万円
大手SIer/マネージャー中堅SIer
事業部長
年収800万円
AIコンサルタント(起業)SaaSベンダー
事業企画マネージャー
年収800万円
  • 外資系コンサルティングファームとは?企業一覧や転職動向を紹介

    「外資系コンサルティングファームが自分に合いそうか検討したい」という方もいるのではないでしょうか。本記事では、主な外資系コンサルティングファームの企業一覧や転職動向などを解説します。 業界のプロがあなたにあった転職支援を… 続きを読む 外資系コンサルティングファームとは?企業一覧や転職動向を紹介

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


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