化学メーカーではSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を担う方の採用を強化しています。他の製造業と同様、DX推進やスマートファクトリー化、海外情勢の変動、SDGs・ESGへの意識の高まりなどを背景に、化学メーカー各社は変革に迫られているため、異業界出身者を迎える動きも活発です。本記事では、化学メーカーのSCM職の転職市場動向、求められるスキル、年収相場についてJAC Recruitment (以下、JAC)のコンサルタントが解説します。
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化学メーカーのSCM職が重視される理由
製造業全般において、SCMの強化を図る企業が増えています。原材料の調達においても製品の供給においても、グローバルへの展開を進めるにはSCM体制の整備が必須。加えて、昨今はDX(デジタルトランスフォーメーション)やスマートファクトリー化など、生産~物流のプロセスに変革が起きており、その対応に迫られているためです。また最近では、ロシアによるウクライナ侵攻が世界各国のサプライチェーンに大きな影響を及ぼしました。今後も各国で情勢が変動するリスクに備え、調達先の開拓も必要となっています。さらに、「SDGs」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の意識が高まるなか、調達先のコンプライアンスへの配慮も欠かせず、監査も強化されています。
そして、化学メーカーのSCMにおいては、さらなる高いハードルがあります。危険物の運搬や管理については国内外でさまざまな法規制が敷かれており、許認可の手続きが煩雑。SDGsへの取り組みの一環で、環境規制がさらに厳しくなるなか、調達・供給を円滑化させるためのSCM戦略が重要となっています。
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化学メーカーSCM職の最新転職事情
上記に挙げた背景から、他の製造業と同様、化学メーカーにおいてもSCM人材の採用が活発です。
プロセス改善や新規開拓など難易度が高い業務を担うため、メンバークラスよりもリーダー・マネジャークラスの求人が多くを占めています。
異業界からの転職も多数
元来SCMは、業界をまたいでの転職がしやすい職種といえます。化学業界の経験を必須とせず、自動車部品・食品・アパレルなど、異分野のメーカーからもSCM経験者を迎えています。
ただし、法規制の強化などでSCMの難易度が高まっているため、材料や製品の知見を必要とする求人も出てきています。
化学業界が扱う材料は幅広く、国内調達が可能なものもあれば海外への依存度が高いものもあります。そのため、扱う材料・調達先・供給先により、SCMの役割範囲は企業によって大きく異なります。
SCM部門の経験がなくても、海外営業を経験してきた方が、サプライヤーの開拓力や価格交渉力などを買われてSCM担当のポジションに採用されるケースもあります。
一方、調達・供給が国内に限られる分野では、英語力を不要とする求人もあります。
また、業務のプロセスの改善に向け、「SCM」×「DX」の取り組みも進められています。化学業界の知識は不問で、ITコンサルティングファームやSIerなどからシステム導入経験者を迎えるケースも増えています。
「日系→外資」「外資→日系」に移ることも可能
ここまでお伝えしたのは日系大手化学メーカーの採用動向ですが、外資系化学メーカーから求人が出ることもあります。退職者が出たことによる後任者の採用、組織の年齢構成の是正などが主な理由。
本国が主導する研究開発や事業企画などとは異なり、SCMの場合、外資系企業でもハイポジションの採用ニーズがあります。日系企業から外資系企業に転職し、年収200万円ほどアップする事例もあるので、ご自身のSCMとしての市場価値を知りたい場合は、ぜひJACのコンサルタントにご相談ください。
また、外資系メーカーから日系大手メーカーに転職する事例も増えています。日系企業が、外資系のグローバルな組織・業務体系を取り入れるため、外資系でのSCM経験者を求めているという背景があり、人事制度や給与テーブルの刷新にともない、外資系の報酬水準で迎えられるようになっています。
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化学メーカーSCM職への転職で評価される経験・スキル
先に触れたとおり、化学メーカーのSCM採用においては、扱う製品により求められる知識やスキルが異なります。ここでは、持っていると求人の選択肢が広がる、あるいは評価アップにつながる知識・経験をピックアップしてお伝えします。
法規制に関する知識、および対象国・エリアのSCMの知識
化学製品の調達・供給においては、国・エリアごとに規制があるため、海外の法規制や環境規制に関する専門知識が求められます。
ただし、社内に専門部署が設けられていたり、委託先の物流企業に専門家がいたりするため、採用時にはそれほど強く求められないこともあります。
また、採用企業が到達・供給の対象とする国・エリアでのSCM経験が求められます。この場合、SCM専門職でなくても、海外営業のポジションで同様の業務を経験していた方も採用対象となります。
交渉力/調整力/推進力
SCMは社内外のさまざまな部署・担当者と交渉・調整する場面が多い職種のため、相手の立場や状況に応じたコミュニケーション力が重視されます。オーナーシップを持ってプロジェクトをリードし、推進していく力も欠かせません。
面接では、困難にぶつかった局面でどう乗り越えてきたかを聞かれることもあり、そこで具体的なエピソードを語れると評価アップにつながりやすいといえます。
デジタルの知見/システム導入の経験
SCMのプロセスでもDXの取り組みが行われています。デジタルを活用して既存業務の効率化・高度化を図るにあたり、デジタルの知見を持つ方、システム導入プロジェクトを経験した方が歓迎されます。
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化学メーカーSCM職の年収相場
日系大手化学メーカーのSCM担当の年収相場は次のとおりです。
20代~30代前半 | メンバークラス | 年収600万~800万円 |
30代半ば~40代前半 | 管理職クラス | 年収800万~1200万円 |
なお、SCM担当者は外資系企業からハイポジションの求人が出てくることもあり、外資系大手メーカーに移ることで年収1300万~1400万円にアップする事例も見られます。
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化学メーカーSCM職への転職を成功させるためには、JACの活用を
一口に「化学メーカーのSCM職」といっても、企業によって求める知識・経験はさまざまです。自身の経験にマッチする求人を選ぶためにも、選考で自身の強みを適切にアピールするためにも、転職エージェントの活用をおすすめします。
転職エージェントJACでは、化学業界に専門特化したチームを設けており、マーケットのトレンドや各化学メーカーの動きを常にキャッチしています。採用企業とも密にコミュニケーションをとっているため、各社の採用背景、求める人物像もつかんでおり、その情報をもとに適切なマッチングが可能です。
現在、化学業界では、異業界からも人を呼び込み、事業構造や組織体制の変革に取り組んでいます。変革へのチャレンジにやりがいや面白みを感じる方は、ぜひ注目していただきたいです。
なお、採用選考においては、各社注目しているポイントが異なりますので、「この企業の面接ではこんな質問をされる」といった情報もご提供します。
転職成功率を高めるために、JACのコンサルタントが持つ情報とノウハウをご活用ください。