サステナビリティ推進の転職事情|企業の取り組みや求人傾向を解説

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公開日:2024/10/31 / 最終更新日: 2024/11/01

近年、日系の大手グローバル企業においてサステナビリティ推進が活発化しています。経営企画や広報部門から独立させ、専任の部門を新たに作る企業が増加。そのため、新規部門の立ち上げに必要な、サステナビリティ推進の経験を持つ方を対象とした求人も増えています。

ハイクラス・ミドルクラスのサステナビリティ推進に携わるポジションの転職動向について、JAC Recruitment(以下、JAC)の管理部門領域専任コンサルタントが解説します。

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サステナビリティ推進の企業取り組みと求人傾向


近年、サステナビリティ推進に取り組む日系大手グローバル企業が増えており、それにともない求人数も増加傾向にあります。ここでは、企業のサステナビリティ推進のトレンドと求人動向について解説します。

日系大手グローバル企業におけるサステナビリティ推進のトレンド

サステナビリティ推進に取り組む企業には、次のような傾向がみられます。

傾向1:ステークホルダー対応の重要性

日系の大手グローバル企業では、株主をはじめとする外国籍のステークホルダーがも増加し、求められる対応や取り組みのレベルが高まっている状況です。社内外からの期待に応えるため、企業のサステナビリティ活動の透明性が求められています。

傾向2:情報開示ニーズの増加

企業がどのようなサステナビリティ活動を行い、どのような評価機関から評価を受けているのかを外部に発信する必要性も増しています。その結果、情報開示に関する職務の経験者への需要が急増しており、求人の多くが評価機関対応の実務経験者を求めています。

傾向3: グローバル評価機関の重要性

日系大手企業では、海外の機関投資家・個人投資家から投資先企業として選定されるため、グローバル基準での情報開示が求められています。特に、CDPやTCFD・TNFDといった国際的に認知度の高い機関からの提言に基づいた情報開示が一般的になっています。

トレンドにともない増えている求人

従業員が1,000名以上の企業や、特に10,000名規模を超える大手企業から、サステナビリティ関連の求人が急増しています。サステナビリティへの取り組みを本格化した時期に違いがあり、従業員規模でくくることは難しいですが、サステナビリティ推進に関するポジションを新たに設立する動きが進んでいます。よって、特に組織の立ち上げから推進までを担うことができる方へのニーズが高まっています。

特に近年は、コンサルティングファーム出身者へのニーズが非常に高く、サステナビリティ推進に関心のある企業が採用するケースが多くみられます。コンサルティングファーム出身者は年収が高いため、若手層でも1000万円以上のオファーが出ることは珍しくありません。担当していた業界や語学力との掛け合わせによっては、さらに市場価値が高くなる可能性があります。

サステナビリティ推進に関する部門や業務は、企業によって異なります。ただし、サステナビリティへの取り組み意識が強い企業では、サステナビリティ推進部門が独立して設置されるケースが多くみられます。以前は、経営企画部門や広報部門の一部の業務でしたが、こうした変化からも社内外の意識やニーズの変化を感じます。

サステナビリティ推進の仕事で求められる経験やスキル・マインド


サステナビリティ推進に携わる求人では、どのようなスキルやマインドが求められているのでしょうか。ここでは、サステナビリティ推進の求人で、求められる経験やスキル、マインドについて解説します。

サステナビリティ推進の求人で、求められる経験やスキル

サステナビリティ推進の求人では、以下のスキルや経験が重要視されています。

サステナビリティ領域での実務経験
事業会社やコンサルティング会社、投資会社、官公庁などでサステナビリティ推進に関わった経験が求められています。まったくの未経験者を採用する企業は少なく、実務経験が重視される傾向です。例えば、サステナビリティレポートの企画・編集や、ステークホルダーエンゲージメントに関する業務経験も高く評価されます。これらのスキルを持つ方は、特に需要が高いです。

国際的な評価機関対応経験の重視
サステナビリティ情報は、企業の長期的な持続可能性や社会的責任への取り組みを評価するために必要な情報となります。よって、グローバルな基準での情報開示経験があることで、グローバルな視点で企業の説明責任を高めるばかりではなく、外部ステークホルダーとの対話・エンゲージメントを通じた活動の進展が期待されています。

英語での対応力

海外の機関との回答書のやり取り等は英語で行われるため、英語力も必須です。また、外国籍のステークホルダーが増えていることもあり、日本語だけでなく英語での情報発信ができる方への需要が高まっています。

サステナビリティ推進の求人で、求められるマインド

まず、自身がサステナビリティ推進にどれほど関心を持っているか、そして企業の取り組みに共感できるかが重要な要素です。面接前に企業のホームページなどを確認し、その取り組みに共感を示すことが期待されています。

近年は、サステナビリティに注目する人たちがかなり増えています。サステナビリティへの取り組みが企業イメージや企業ブランドの向上につながるまでに社会の関心が高まっています。

よって、顧客や取引先などのステークホルダーから社会的な信頼を得られ、企業価値の向上につながる業務に携わる責任感や業務に対する専門性が求められます。

また、企業が掲げるサステナビリティの目標を達成するためには、従業員の意欲を高め、彼らの力や知識を活用することが重要になります。こういったマインドを醸成するための社員教育の実施も重要な業務となりますので、社員や関係者を巻き込こみながら役割を遂行するリーダーとしての姿勢も求められています。

さらに、サステナビリティを取り巻く環境は常に変化し続けており、上司の指示ではなく、社会情勢や法改正など企業を取り巻く環境・状況の変化を自らとりにいくことも求められます。変化に柔軟で、企業の更なる成長への貢献意識の強い方が求められています。

サステナビリティ推進の年収相場

JAC経由でサステナビリティ推進のポジションに転職した方の平均年収は、ピープルマネジメントを含めて担当する場合は、語学力を含めて1200万以上のオファーも検討する企業も出てきています。管理職手前のポジションでは、800万~900万円程度が一般的です。

また、企業におけるサステナビリティ推進やCSR部門の成熟度によっても年収の相場は異なります。成熟度が高い企業では、1000万円以上の年収を提示できるポジションが出てくることもあります。一方で、成熟度が低い企業では今後の課題として手つかずになっているところもあり、今後も引き続きサステナビリティの業務経験者へのニーズが高いことが予想されます。

サステナビリティ推進の年収相場


JAC経由でサステナビリティ推進のポジションに転職した方の平均年収は、ピープルマネジメントを含めて担当する場合は、語学力を含めて1200万以上のオファーも検討する企業も出てきています。管理職手前のポジションでは、800万~900万円程度が一般的です。

また、企業におけるサステナビリティ推進やCSR部門の成熟度によっても年収の相場は異なります。成熟度が高い企業では、1000万円以上の年収を提示できるポジションが出てくることもあります。一方で、成熟度が低い企業では今後の課題として手つかずになっているところもあり、今後も引き続きサステナビリティの業務経験者へのニーズが高いことが予想されます。

サステナビリティ推進の転職理由とキャリアパス、年収アップの方法


サステナビリティ推進では、どのようなキャリアパスを経て年収アップを実現していくのでしょうか。ここでは、サステナビリティ推進の転職理由とキャリアパス、年収アップの方法をご紹介します。

サステナビリティ推進に携わりたいと考えている方の主な転職理由

最も多いのは、「より規模の大きな企業でインパクトのあるプロジェクトに関わりたい」という理由です。

次に、現職の組織構造によってこれ以上のキャリアアップが難しいと感じるケースです。例えば、上層部のポストが埋まっていて昇進の機会が少ない場合などが挙げられます。また、女性がより活躍できる環境を求めて転職を考えるケースもみられます。

サステナビリティ推進のキャリアパス

CSRやサステナビリティ推進は比較的最近検討されるようになってきたポジションであり、10年以上の経験を持つ方はほとんどいません。そのため、明確なキャリアパスはまだ確立されていないのが現状です。ただ、一般的なキャリアパスと同様に、スタッフから管理職などへ職位を上げていく方向性はあります。

また、日系グローバル企業において、サステナビリティ推進が進んでいる欧州の拠点に派遣され、現地での取り組みを学ぶ機会も少しずつ増えてきています。

また、サステナビリティ推進に携わる方の背景もさまざまです。必ずしも広報出身の方だけが担当するわけではなく、営業や工場勤務の経験者からこのポジションへ移るケースもあります。そのため現状では、ほかの職種に比べてキャリアスタートの間口が広いように見えますが、今後は業務の専門性が高く求められる職種になっていくことが予想されます。

サステナビリティ推進の年収アップのポイント

サステナビリティ推進の領域で年収アップを目指すためには、英語力と評価機関への対応経験が重要です。また、海外向けに英語でのレポートやプレスリリースを作成した経験も評価されます。


サステナビリティ推進の業務は、部門の立上げや体制強化が背景となる募集が多く、ミドル層以降のキャリア採用では未経験者のハードルが高くなっています。しかし、以下のケースであれば、未経験で転職できる可能性があります。

サステナビリティ推進の領域、特に専門の部門が新設される場合、未経験者の採用はかなり厳しいといえます。
ハイクラス・ミドルクラスの場合、企業側が即戦力を求めているため、未経験者を求める求人は非常に少ないのが実情です。

ただし、若手層で高い英語力(例えば、TOEICであれば800~900点以上)のある方であれば育成を前提に採用されるケースはあり得ます。

未経験者がサステナビリティ推進に携わる方法として、最も多いのは社内異動ですが、そのほかに理系のバックグラウンドを持つ方が担当するケースがあります。特に大学で理系を専攻し、工場や生産ラインでの経験がある方の場合、二酸化炭素排出削減などの環境分野での知識を生かし、ESGの環境チームに入るケースなどがみられます。


ここからは、サステナビリティ推進の領域において、未経験の業界・企業規模への転職は可能なのかについて解説します。

サステナビリティ推進の領域では、業界横断での転職はあり得ます。実際に、人材系の会社からメーカーへ転職した例もあります。そもそもサステナビリティの業務経験者が少ないなかで経験者が求められているため、業界よりも「どんなフェーズの企業、組織で業務として何をやってきたのか」が重視されることが背景にあります。

一般的な転職では「中小企業から大手へ」というキャリアアップの流れはありますが、サステナビリティ推進に関しては、そもそも中小企業にポジションが少ないため「大手から大手」「準大手から大手」、または「コンサルから大手」という動きが主流です。逆に、大手から中小企業への転職がほぼ見られないのが現状です。

外資系企業では、サステナビリティの業務として日系グローバル企業のように企画力や対応力が求められるケースは少なく対外的な部分での実績が不足しがちです。


サステナビリティ推進のポジションで必須の資格はありません。しかしながら、評価機関への対応をふまえ、TOIEC750点から850点のスコア、もしくは英語の使用経験が求められます。


ハイクラス・ミドルクラスの方が、サステナビリティ推進の転職を成功させるために意識しておきたい2つのポイントを解説します。。

・【ポイント1】職務経歴書には実務レベルを明確に示す


まず重要なのは、実務経験のレベルを具体的に示すことです。組織としてのミッションと、それに対して担当した業務と実績などを明記されると、業務レベルも含めてアピールできます。

一例ですが、『中長期計画をもとにサステナビリティウェブページを全面刷新』や『評価機関〇〇総合スコア「〇」から「〇」にアップ』などを記載されると経験業務のイメージがわきやすくなります。

ポイント2】中期経営計画に対する自身の考えや施策を示す

経営層が掲げる中期経営計画に対して、どのように自身が関わり、具体的にどのような活動をしてきたかを伝えることも重要です。サステナビリティ推進に対する関心も大切ですが、経営の意図を理解し、それの実現に向けてどのように行動してきたことをしっかりアピールしなくてはなりません。

面接では、企業の中期経営計画やサステナビリティに関する情報をどれだけ深く読み込んでいるかも問われるため、十分な準備が不可欠です。例えば、現職のベンチマークとしている企業や課題に対する取り組み、どのように目標を立てているかといった具体的な質問が出ることもあります。面接を受ける企業の情報を集めに加え、自身の経験の棚卸も重要です。

サステナビリティ推進転職で多い質問と回答


ここからは、サステナビリティ推進の転職を検討する方々からいただく、よくある質問にお答えします。

Q. サステナビリティ推進の組織体制は、どのような状況ですか?

A. 企業がどれだけサステナビリティに注力しているかを知るために、レポートラインや部門の独立性や組織の体制からより現状理解を深めようとする姿勢が伺えます。

Q.現在まで評価機関対応の経験はありませんが、ほかにアピールできる経験やスキルはありますか?

A.年齢によってハードルの高さは異なります。若手層で高い英語力があれば、今後の活躍を期待され、経験がなくても転職の可能性があります。


ここからは、JAC経由でサステナビリティ推進の転職を成功させた2つの事例をご紹介します。

Kさん(30代後半/男性)は、外資系コンサルティング会社でサステナビリティ推進に携わっていましたが、年収を約1100万円から600万円に下げて日系の大手グローバル企業へ転職しました。この決断の背景には、欧米でサステナビリティの先進的な取り組みに関わることで、自身のキャリアを大きく成長させたいという意志があったためです。

JACのコンサルタントは「海外で働きたい」「スキルアップを図りたい」というKさん要望を理解し、サステナビリティ推進が進んでいる欧州へ赴任できる求人を紹介。もともと学生時代から漠然と「いつかは海外でチャレンジしたい」という思いがあったそうです。キャリアのなかで「サステナビリティ」という軸ができたことで、その思いを実現できないかと相談してくださいました。キャリア実現後の展望について具体的な情報を提供し、今後のキャリアをどのように築けるかを明確に伝えるサポートを行いました。

Kさんが同社への転職を決めた要因は、転職先の企業が具体的なキャリアパスを明示してくれたことです。特に「6ヵ月後に海外赴任」「国と業務内容の具体的な提示」が、転職先を選ぶ決め手となりました。

加えて、年収は一旦下がるものの、海外赴任にともなう手当が支給されるため、6か月後には経済的な補填が見込まれ、1200万円ほどの年収に落ち着きました。今後、海外での経験を生かして、国内でもさらに活躍が期待される転職成功事例といえます。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

【サステナビリティ推進の転職事例】外資系コンサルから日系大手グローバル企業へ転職

大学院卒業後、公認会計士を目指していたSさん(30代後半/女性)は、その後1社目の企業で内部監査としてキャリアをスタートさせました。2社目では内部監査から環境安全部へ異動し、エネルギー管理や温室効果ガスの業務に従事。その後、サステナビリティ推進室の立ち上げにも携わりました。

Sさんの転職理由は、サステナビリティ関連のポジションでスキルアップし、かつ男女がフラットに活躍できる環境を求めたことです。転職先として選んだのは日系の大手企業で、Sさんが評価されたポイントは、全社的な視点からサステナビリティに貢献できる経験でした。

JACのコンサルタントはSさんと継続的にコミュニケーションを取り、自身でネガティブに感じていたポイントが実は強みであることをしっかりと伝え続けました。また、ほかのエージェントや直接応募も併用されていたため、その情報を共有してもらい、転職活動の全体像を把握できていたこともポイントです。直接応募では進捗状況が見えないことが多いのですが、その不安にもしっかりと向き合い、サポートしました。Sさんからは活動を振り返って、「転職活動のパートナーにJACを選んで良かった」とコメントいただきました。

入社後は、企業側もSさんが活躍しやすい環境作りをサポートしており、将来的には女性役員を目指して意欲的に取り組んでいます。

サステナビリティ推進の転職ならJACにご相談ください


JACには独占求人があり、他社にはないキャリアを生かせるポジションを紹介できるのが一つの強みです。また、サステナビリティ推進の経験が豊富な方であれば、既存の求人がなくても企業にタレントベースで提案し、新しいポジションをご提案することも可能です。

サステナビリティ推進の転職をご検討の場合は、JACまでぜひお気軽にご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

大村 薫子

大村 薫子

コーポレートサービスディビジョン マネージャー

入社以来、人事・総務・法務・広報などの職種に携わってきた経験から、求人票ではわからないニーズなどの情報もお伝えしながら、長期的にご活躍いただけるビジネスパーソンとしてのキャリアを一緒に検討いたします。ぜひお気軽にご相談ください。



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