広報のポジションは、企業のブランディングやマーケティング戦略の主要な一翼を担い、競争が激しいビジネス環境で企業の価値を伝える重要な役割です。特にハイクラス・ミドルクラスの転職市場では、実績や経験の有無に加え、柔軟な思考や多文化理解能力が求められます。
また、近年は企業のグローバル化にともない、海外市場へのアプローチや国際的なメディア対応のスキルが評価される場面も増えてきました。そのため単なる広報スキルだけでなく、多岐にわたるビジネスの理解や戦略的思考が求められる状況です。
ここでは、ハイクラス・ミドルクラスにおける広報の転職について、JAC Recruitment(以下、JAC)の広報領域専任コンサルタントが解説します。
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広報の転職動向・求人の傾向
大手企業を中心に広報の業務経験×英語の求人相談をいただく機会が増えています。5年以上など一定期間の広報業務経験を求める求人がボリュームゾーンであり、近年はグローバル化の影響によって、以前とは求人傾向にも変化がみられます。ここでは、広報の転職動向・求人の傾向をご紹介します。
・傾向1:英語力が求められている
近年、英語力を必須とする広報の求人が増えており、特に大手企業からの相談が多い傾向です。大手企業は海外進出や、外国籍の社員の採用などを積極的に進めており、その結果、社内広報・社外広報ともにさまざまな場面で英語力が求められています。
例えば、社内報や社外向けに使用していたパンフレットなどを現地の言語に翻訳し、ニュアンスも含め適切に伝えることが求められたりしています。
・傾向2:海外向けに情報を発信する必要性が高まっている
大手企業のグローバル化にともない、BtoB企業で海外向けのプレスリリースに携わったことがある方の求人も増えています。
数年前は、BtoBに比べBtoCの方が広報に人やお金をかけているところがあり、領域を超えた転職をご支援することもありました。しかし現在では、BtoBの大手企業の広報にもノウハウが蓄積されてきており、さらなる発展を目指して「海外に向けてどのように発信していくか」といった観点の求人が増えています。
広報の転職で求められるスキルや経験・マインドについて
転職傾向の変化にともない、広報で求められるスキルや経験、マインドにも変化がみられます。ここでは、広報の転職で求められるスキルや経験、マインドについて解説します。
・英語力と広報経験は必須。海外向け社外広報の経験があると有利
大手企業ではグローバル化が進んでいるため、英語で業務を進めるスキルは欠かせません。また最近の求人の傾向として、30代以降のミドル人材を未経験者で採用するケースは少なくなっており広報経験が必須となることも一つの特徴です。
さらに、社外広報に強い方が特に求められています。近年、大手企業におけるビジネスの多角化が進んでいるなかで、株主を含むステークホルダーに対してどのようにアピールして関係を築き、支持を得ていくかが課題となっているためです。
企業は、国内外のメディア対応の経験がある方を求めています。そのため、未経験の場合はチャンスがあれば現職で積極的に取り組んでおくことが得策です。プレスリリースの作成などに関わっている方は、グローバル対応の経験がなくても、語学力を生かして英語での広報活動に挑戦することで、さらに可能性が広がります。
・経営層の意向を汲み取り、グローバルな視点でビジネスをリードする姿勢が必要
広報の業務は多岐にわたりますが、その1つとして、経営層や部門のトップと直接やり取りをしながらその考え方を的確に理解し、記事として形にすることが求められます。そのため、社内の多くの人と対等にコミュニケーションできる柔軟な姿勢や、相手の意図を深く理解する能力が求められます。
また、管理職以上のポジションでは、グローバルな視点で組織をリードし、作り上げていくことへの意欲やビジネスに対する深い関心を持ち、本質を理解しようとする姿勢も重視されています。広報への期待から業務も多角化してきていますが、企業価値向上へいかに貢献できるか・するかという視点でご自身をアピールしていただく事が重要なポイントになってきています。
広報の年収相場と年収アップのポイント
JACでご支援した、広報に転職した方の平均年収は約850万円です。ここからは、年代ごとの年収相場と年収アップのポイントをご紹介します。
・英語力があれば30代で1000万円以上も
当社経由で転職した広報の方の、年代ごとの相場は以下のとおりです。
20代 | 600万円~ |
30代 | 800万円~(英語力がある場合は1000万円以上) |
40代 | 1000万円~ |
50代 | 1000万円~ |
グローバル展開している企業では、英語力が必須条件のため、30代でも年収が1000万円を超えるケースが多々あります。一方、中小企業では広報が独立した部署として存在しないことが多く、他業務と兼任するケースもみられます。そのため、広報として専門性を磨きスペシャリストを希望するのか、ゼネラルに企業に貢献していくことを希望するのか、ご自身の将来を見据えた企業選びが重要です。
日系・外資間での大きな年収差はみられません。外資系から日系企業へ転職する方も増えていますが、30代以降の年収に関して、大幅に差がつくことは少ないです。
・高い語学力による年収アップの可能性
広報の分野で転職を考える場合、ビジネスで通用する英語力を身につけることが重要です。多くの企業では、TOEICのスコアや英語でのビジネス経験が重視されています。
広報の転職理由とキャリアパス
広報の転職理由として最も多いのは、「より大きな規模の会社でインパクトのある広報活動に関わりたい」というものです。次に多いのが「年収」と「働き方」で、これら2つは同じくらいの頻度で挙げられます。おおむね、これらの3つの理由に集約され、その優先順位は人によって異なります。
・広報のキャリアパス
広報は専門性の高い職種のため、ほかの職種へ転職することは少なく、その分野で専門性を高めてスペシャリストになることが一般的なキャリアパスです。キャリアの進め方としては、自ら手を動かすスペシャリストとしてのポジションを確立するか、課長・部長といった管理職として役職を上げていくかの2つのパターンがあります。
また近年は、CSRなど広報に関連する近しい領域にキャリアを広げたいと考える方も増加傾向です。
・広報未経験者が転職できる可能性
ミドル以降の年齢の広報未経験者が広報へ転職できる可能性は、かなり低いです。基本的に即戦力を求めているため、未経験者のハードルはかなり高くなってきています。そのため、未経験者が広報に挑戦したい場合、現職で社内異動を検討される方が可能性が高い場合があります。
未経験の業界・企業規模への転職の可能性
広報の分野で異なる業界への転職は、不可能ではありません。しかし、年収アップなど本人が期待する条件を満たすためには、同じ業界内で規模の大きな企業へ転職する方が実現しやすいのが現状です。以前は、BtoCの広報経験者が業界をまたいで求められる時代もありましたが、現在は業界ごとに広報のノウハウが確立されつつあり、異なる業界への転職は難しくなっています。例えば過去には、飲食業界からメーカーへ転職し、年収がアップするケースなどもありましたが、現在はあまりみられません。
一方で、同じ業界内で広報としてのスキルを磨き続けることで、大手企業への転職のチャンスは広がります。英語のスキルが高ければ、その可能性をさらに高めることも可能です。
広報の転職時に有利な資格
広報において必要な資格についてですが、特に必須の資格はありません。ただし、あると有利な資格としては、英語力を示すTOEICのスコアが挙げられます。大手企業における広報の一般的な求人では、TOEIC700〜800点を求められることが多いです。
しかし、スコアそのものよりも、ビジネスの場で英語を使った経験の方が重視されます。例えば、外国籍の上司にレポートを提出していたり、海外拠点とのテレビ会議で英語を使っていたりした経験がある場合、スコアが基準に満たなくても選考時には有利です。
広報の転職を成功させる3つのポイント
広報転職を成功させるために意識しておきたいポイントを3つご紹介します。
それぞれの内容について解説します。
【1】同じ業界での経験を強調する
広報の転職では、同じ業界内での動きが有利になる場合が多いです。そのため、転職先の業界にとって強みとなる自身の経験を明確化しておく必要があります。
職務経歴書では、具体的な業務内容を詳細に記載する必要があります。その業界でどのようなことをしてきたのか、そしてその経験がどのように新しい職場で生かせるのかを、具体的に示すことが重要です。可能な範囲で、実際に行った業務やプロジェクトの詳細を書き出すことで、採用担当者に自身の経験がどのように役立つかを伝えやすくなります。
【2】英語の使用経験を明確に示す
近年、広報の転職では、英語力が重視される場合が多いため、これまでの英語使用経験を職務経歴書でしっかりとアピールすることが大切です。例えば、上司が外国籍であったことや、業務でどのように英語を使ってきたのか(例:文書の翻訳、英文化対応など)を具体的に書き出すことが求められます。
【3】実績の具体例を添付する
自身で制作した英語のパンフレットや翻訳した資料など、実際の成果物を職務経歴書の最後に添付することで、スキルやレベルを視覚的に示す方法も効果的です。採用担当者がどのようなレベルのスキルを持っているのかを、より具体的に理解しやすくなります。
企業によっては守秘義務があるため、公開できる情報に制約があることもありますが、可能な範囲内で効果的なアピールを心掛けてください。。
広報転職で多い質問の傾向
広報の転職を目指す方々から、以下のような質問をよくいただきます。基本的に企業側へ問い合わせる必要がある内容であるため、詳細はコンサルタントが商談時に確認することが一般的です。
・組織に関する質問
・広報としての課題と役割に関する質問
・ビジネス成長への関わり方に関する質問
・組織に関する質問
まず多いのが、組織にどのような人がいるか、誰がレポートライン(報告先)になるのかという質問です。組織や体制の情報からご自身の求める経験やキャリアが築けるのかを確認される方が多いです。特に、語学力があって英語を使いたいという希望を持つ方の場合、業務以外にも社内コミュニケーションでも使える機会があるのかを確認される方もいらっしゃいます。
・広報としての課題と役割に関する質問
広報として現在抱えている課題や、ミッションは何かという質問も多いです。ご自身の経験や持っているスキルが単に「グローバルにビジネス展開しているので活かしてください」というだけでなく、ビジネスとしての目標に対して、どう生かしていけるのか、納得感・満足感をもって仕事ができるかという軸で検討される方が多いです。
・ビジネス成長への関わり方に関する質問
転職後のポジションが、ビジネスの成長や拡大にどのように関わるのかについての質問も多くあります。例えば「広報としてどのような貢献が期待されているのか」「自分がそのポジションでどれだけ成長に寄与できるのか」といったビジネスとの関連性を問うことが多いです。
広報の転職事例
ここからは、広報の転職事例を2つご紹介します。
40代で外資系メーカーから日系大手メーカーの広報へ転職
外資系医療機器メーカーで広報を務めていたFさん(40代前半/女性)は、家族の事情で一旦退職後、日系企業への転職活動を開始しました。自身のスキルを生かせる職場を求めてJACに登録。Fさんは帰国子女で、ビジネスレベルの英語力を持っていましたが、退職から4ヵ月のブランクがあったため、ご自身の希望に曖昧なところがあったり、家庭都合での退職後のブランクの伝え方などに課題があり転職活動に苦戦されている状況でご相談をいただきました。当社以外での転職活動は厳しい状況だったそうです。
JACでは、Fさんの理想像を明確化していく必要があると判断。具体的にどのような企業が希望に合致するかを話し合いながら、応募先の選定を進めた結果、「社会貢献性が高く、自分が携わることに誇りを持てるビジネスを行っている会社で働きたい」という思いが明確になりました。
Fさんの語学力やバックグラウンドを丁寧にJACから企業へ提案し、最終的にはご自身が希望する日系大手医療機器メーカーA社で内定を獲得。年収が950万円から850万円にダウンしたものの、入社後、すぐにその実力を発揮し、企業側からの評価も高く、業務範囲が広がるなど活躍されています。
転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。
広報の転職成功事例|40代で外資系メーカーから日系大手メーカーへ転職
異業界での経験を生かし、年収アップを実現した転職事例
外国籍のGさん(37歳/男性)は、上級レベルの英語力と日常会話レベルの日本語力を生かし、日系大手のメーカーを中心に4社での経験を積んでこられました。Gさんは「年収を上げたい」「役職/レイヤーを向上させたい」という強い意志を持ち、業界を気にせず、転職を繰り返しながらキャリアアップを図ってきた方です。
JACでは、Gさんのスキル・経験に基づき、年収をアップさせることが可能な業界に絞って求人を紹介。Gさんの希望軸をしっかり把握し、その軸に合った求人情報を提供することで、転職活動をサポートしました。その結果、転職前の年収1100万円から1300万円にアップするかたちで新しい職場に転職し、現在もその企業で順調にご活躍されています。
広報の転職ならJAC
広報の転職においてJACが提供できる最大の価値は、企業側と直接つながっている担当者が求人をご紹介できることです。広報に特化したコンサルタントによって編成されたチームが社内に存在するため、単純に求人を紹介するだけでなく、企業のビジネスの将来性や目指している方向性、広報に求められる役割について、背景を踏まえて詳しくご説明しています。
応募段階から納得感を持っていただき、自身が活躍できる環境をしっかりとイメージして転職活動を進めていただくことが可能です。これこそが、JACが提供できる最大の価値であると考えています。広報の転職を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
広報転職:職務経歴書の書き方
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