内部監査の転職事情

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内部監査の求人が活発化しており、内部監査および内部統制の経験を持つ方に転職のチャンスが広がっています。内部監査の転職市場動向、求められる経験・スキル、年収相場、転職成功のポイント、転職成功事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)の管理部門職種の専任コンサルタントが解説します。

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内部監査の転職動向・求人情報


JACに寄せられている内部監査の求人数は、10年前と比較して約6倍に増加しています。なかでも、「システム監査」領域の求人は7倍に伸びています。

採用の活発化の背景としては、次の要因が挙げられます。

●J-SOXが2008年の制度開始から15年ぶりに改正され、2024年4月から適用
●大手企業において、グループ内での不正や法令違反が発覚するケースが続出し、リスク管理意識が高まる
●M&Aの活発化にともない、買収先のガバナンス強化が課題に
●DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、サイバーセキュリティへの取り組みを強化(※システム監査)

特に採用意欲が高いのが、銀行・証券・保険などの金融機関です。金融庁からの要請が強いことに加え、これまで合併を繰り返してきたことでシステムがつぎはぎ状態となっていることから、システム障害対策も課題となっています。

また、以前は専門性が高い「会計監査」「IT 監査」の求人が中心でしたが、「業務監査」のニーズが増えてきているのも近年の傾向です。内部監査のほか、内部統制の求人も増加しています。

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内部監査の転職で重視される3つのポイント


内部監査の採用においては、以下の要素が重視されています。

組織を横断するフットワークとコミュニケーション力

内部監査は組織横断で動くため、自ら各部門・拠点へ足を運ぶフットワークの軽さ、各部門の立場や視点に立ってコミュニケーションをとるスキルが重視されます。監査法人出身の方は「外部からチェックする」という目線になりがちですので、内部に入り込んで「内側から変える」というマインドへの転換が求められます。

「リスクベース監査」の経験

J-SOX改正点の大きなポイントが「リスクベース監査」であり、採用においてもこの経験が注目されます。海外子会社やM&Aで買収した企業が抱えている問題を早急に解消すべく取り組む企業が多く見られます。

事業会社でのリスクベース監査の経験者は需要が高まっているものの経験者がまだ少ないため、少しでも経験があれば選考で有利となります。また、内部統制側でリスク管理に取り組んできた方は、経験を生かし、内部監査領域で新たなキャリアを積むチャンスがあります。

金融業界の監査経験

金融業界での監査経験を求める声が多くあります。会計の仕組みが特殊であり、障害が起きた際の社会への影響力が大きいだけに、高い緊張感を持って実務にあたってきた経験が評価されています。

内部監査の年収相場は800~1300万円、年収アップのポイントは?


内部監査職の方が転職する場合の年収相場は、800万~1300万円です。階層別では下記が目安となります。

メンバークラス700万~900万円
課長クラス800万~1300万円
部長クラス1000万~1800万円

現在、内部監査職は採用ニーズが高いため、ほとんどの方が転職によって年収アップを果たしています。

年収アップを目指すには

転職で年収アップを目指すには、企業選びが重要です。「守り」だけでなく「攻め」の監査に取り組む企業であれば、採用意欲も高く、年収アップにつながりやすいでしょう。監査において攻めている企業とは、「業績が伸びて成長している」「新たな事業領域へ進出している」「海外展開に積極的」といった特徴が挙げられます。企業がポジティブなフェーズにあるかどうかを見極める必要があります。企業の詳しい状況はJACのコンサルタントが把握していますので、ぜひご相談ください。

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内部監査の転職理由とキャリアパス


内部監査職の方々はどのような理由で転職に踏み切っているのか、どのようなキャリアパスの可能性があるかについてお伝えします。

どのような転職理由が多いのか?

内部監査職の方々が転職を考える理由として、次のようなものが多く見られます。

●事業縮小などにより、内部監査も「攻め」から「守り」へシフトしていて物足りない
●グローバルな業務に携わりたいが、自社にはない、あるいは積極的ではない
●経営トップのコンプライアンスへの意識が低く、「グレーな状態」を許容している
●監査法人に勤務しているが、事業会社側で「当事者」として監査を手がけたい

内部監査のキャリアパス

内部監査は、さまざまな部署を経て最終的にたどり着く部門・職務といえます。そのため、内部監査の経験を生かして他部署に移るケースはほとんど見られず、監査領域内で専門性を極めていくキャリアパスが主流です。内部監査には5つほどの領域があるため、未経験領域へも守備範囲を広げていく、あるいは軸足を移していく道も考えられます。昨今、「業務監査」のニーズが高まっているため、「会計監査」から「業務監査」へキャリアを広げていくのも有効です。

スペシャリストとしての道を歩むほか、「内部監査部長」「内部監査室長」としてマネジメントを担っていく道、子会社に出向して責任者を務める道もあります。

責任者のポジションを希望するものの社内でかなえることが難しい場合、IPO前後の企業では監査室長のニーズがあるため、そのポジションを狙うのも一つの手です。

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未経験の業界・企業規模への転職の可能性について


監査法人から事業会社への転職は一般的です。事業会社から事業会社に移る場合、同業種・類似業種の方が受け入れられやすいのですが、業界をまたぐ転職も可能です。ただし、「非製造業」から「製造業」への転職についてはハードルが高いといえます。

内部監査の転職を成功させる4つのポイント


内部監査職の方が転職を成功させるために意識しておきたいポイントを4つご紹介します。

部門との関わりの経験を伝える

選考では、監査対象となる部門や子会社などとのやりとりの経験が着目されます。どのようなフェーズにおいて、どのような課題を抽出し、どのようにコミュニケーションをとりながら改善案や妥協案を提示していったのか、プロセスを整理して具体的なエピソードとともに伝えられるように準備しておくといいでしょう。面接で話すだけでなく、職務経歴書にも簡潔に記載しておくことが大切です。

「洞察力」「分析力」をアピールする

面接では経験・スキルだけでなく、人物面も見られています。特に、内部監査職に必要な「洞察力」「分析力」を備えた人物かどうかに着目されます。

洞察力・分析力を発揮したエピソードを語れるようにしておくことも重要ですが、面接担当者は、面接中の受け答えの仕方からこれらの能力を感じ取っています。質疑応答では、自身がアピールしたいことを一方的に話すのではなく、面接担当者の質問を受けて「相手がなにを知りたがっていて、どのような意図でその質問をしているのか」を考えながら対応しましょう。

「リスク管理」に関わる経験をアピールする

先述のとおり、「リスクベース監査」のニーズが高まっています。内部監査あるいは内部統制において、リスク管理やリスク管理の体制作りに携わった経験があれば、職務経歴書に明記し、面接でもアピールできるように準備しておくとよいでしょう。

英語力・海外経験をアピールする

英語力がある監査人材は重宝されます。海外での往査経験、英語を使ってローカルスタッフにインタビューを行った経験があれば評価されますので、少しでも経験があればアピールしましょう。

英語力についてはTOEICのスコアだけでは計れない面が多いので、実際に英語を使用されてきた場面を職務経歴書に箇条書きして記載されると企業に対しても誤解が生まれにくくなります。

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内部監査の転職に必要な資格


内部監査に転職するにあたり、資格は「必須」とされません。とはいえ、「公認内部監査人(CIA)」を取得していれば、内部監査について体系的な知識を有していることの証明となり、プラス評価につながります。また、あらゆる企業がDXを推進するなか、情報システムの監査・セキュリティ・コントロールに関する指導的役割を担う「公認情報システム監査人(CISA®)」の取得を目指す方も増えています。

「公認会計士」「USCPA(米国公認会計士)」も、会計の仕組みを理解しているという点で評価されます。

企業の選考においては実務経験が重視されますが、実務経験が同等の候補者が複数いる場合、これらの有資格者が優遇される可能性もあります。


内部監査の転職を検討する方々からいただくことが多い質問にお答えします。

Q. 金融業界から離れたいと考えていますが、製造業への転職は可能でしょうか。

A. 一般的に、製造業の求人では製造業の経験を求められることが多く、非製造業からの転職はハードルが高いといえます。とはいえ、監査に新たな仕組みを導入した経験、システム監査を厳しめにチューンナップした経験など、求人企業が抱えている課題に近い課題を解決した経験があれば、受け入れられる可能性が十分にあります。金融業界ご出身者であれれば金融庁からの厳しい要請に対応していた経験は期待が寄せられるでしょう。なお、メーカー側に金融業界出身の役員がいる場合などには、採用されるケースもみられます。

Q. 志望動機をどのように伝えればいいか分かりません。

A. 業界・企業によって、どの領域の監査に力を入れているか、どのような手法を用いているかが大きく異なります。まずは応募先業界・企業を研究したうえで、自身のこれまでの経験・スキルとの共通性を見いだしましょう。「自身のこの経験・スキルをこのように生かしたい」と、自己アピールも含めた志望動機を語りましょう。JACでは企業側が求める人材像をつかんでいるため、それを踏まえて志望動機のストーリー作成をサポートします。

内部監査の転職事例


監査法人に勤務していたHさん(40代前半/男性)は、監査経験を生かして新たなキャリアを築きたいと考えて転職活動を開始。漠然と「事業会社」を考えていたものの、「どのような切り口で企業を選べばよいかアドバイスがほしい」と、JACに相談されました。

コンサルタントとの対話を通じ、興味を持てる業種や領域、仕事に対する価値観、希望する働き方などを整理。大切にしたいポイントとして「家族との時間を持てる働き方」「変化があって、刺激を得られる環境」が浮かび上がりました。

この条件を満たす複数の内部監査求人に応募した結果、Hさんが選んだのは、組織のフェーズが変わるタイミングに差しかかった大手企業・A社です。A社は次の成長に向けて組織体制の整備をし直す必要があり、内部監査を募集していました。大きく変化していく環境のなか、自身の経験・スキルが生かせることに魅力を感じ、入社を決意。リモートワークが可能で、柔軟な働き方ができる点でも希望をかなえられました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

内部監査の転職成功事例|監査法人から事業会社の内部監査への転職に成功

内部監査の転職ならJAC


JACは、コンサルタントが転職希望者の方とも求人企業とも直接対話する「コンサルティング型」の転職エージェントです。コンサルタントは企業の幹部層と直接対話し、採用背景や求める人物像、選考で重視する要素など、求人票には書かれていないリアルな情報を入手。提供できる情報の量と質に強みを持っています。

応募書類の添削や面接対策のサポートはもちろん、面接後には企業から詳細なフィードバックを受け、次の面接に生かせるようにアドバイスを行っています。私たちが介在することで、転職希望者の方の強みが企業に伝わり、適正な評価を得られることを大切にしています。

もし転職の意思がまだ固まっていなくても、まずはお気軽にご相談ください。


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この記事を監修した転職コンサルタント

岩橋 和哉

岩橋 和哉

管理部門専門ディビジョン プリンシパルコンサルタント

2006年に入社以来、一貫して管理部門の転職を支援。延べ4000人以上の転職希望者と面談してきたプリンシパルコンサルタント。前職は法律系・会計系資格試験予備校で弁護士や公認会計士本試験対策の指導を10年以上にわたり経験。豊富な法律、会計系知識をベースとして、管理部門の転職における精度の高いコンサルティングを行います。