JAC Recruitment(以下、JAC)では、管理部門の転職を専門的にサポートする組織を有し、採用企業の規模や業界、日系・外資系ごとに専門性をもって転職の支援をしています。この管理部門専門組織には、100名以上の転職支援実績を持つコンサルタントが10名以上、在籍しています。
今回は、管理部門に精通しているJACのコンサルタントが、HRBPの採用動向、求められるスキル、転職成功のポイントなどについてご紹介します。
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HRBPとは?
HRBP(Human Resource Business Partner)とは、人と組織の面から事業成長を促すことが役割です。
人事部門には、事業戦略・経営戦略の実現をサポートしていくうえで、以下の4つの機能が求められます。
・センター・オブ・エクセレンス(CoE)
・組織開発・人材開発部門
・オペレーション部門
・HRビジネスパートナー(HRBP)
現在、あらゆる業界から注目されている「戦略人事」を実現させるためには、HRBPの働きが重要です。
・HRBPと人事との違い
従来の人事部門においては、組織内の従業員をまとめる仕組みや制度を整えることが目的とされてきました。そこから人的リソースの効率的かつ有効活用につなげます。
そのため、ほとんどの企業で人事部が「管理部門」と呼ばれます。
しかし、HRBPは経営目標や事業目標の達成にコミットしなければなりません。
現在、変化や競争が激しくなっている経営環境下において、事業部門と同じく業績向上を目指した戦略の立案・実行を求められるのがHRBPです。
・HRBPの目的と役割
従業員と組織のパフォーマンスを最大限発揮させることによって、企業の業績向上を実現させることがHRBP最大のミッションです。
事業部門を支える役割を果たしている従来の人事部門とは、位置付けには大きな違いが見られます。
事業部役員や事業部長と緊密に連携し、成果を生み出すために人的側面から支援することが求められます。
たとえば、中長期の事業戦略を見直すと仮定してみてください。
戦略が変われば、当然必要となる人材のイメージや数にも変化が見られます。
HRBPは事業戦略から適切な答えを導き出し、目標を実現するための人員確保や育成方法、評価制度などを構築していく役割を果たします。
HRBPが求められる背景とは?
企業人事の中でも、経営者・事業部門の責任者のパートナーという位置付けで、目標達成を人材戦略面から支援する「HRBP(Human Resource Business Partner)」。
HRBPの求人は近年、増加傾向にあります。実際に、JACに寄せられたHRBP求人数を、10年前の3年間の平均と直近3年間の平均で比較すると、約10倍に達しています。
近年の求人増加の背景には、もともと外資系企業で導入されていたHRBPに、日本企業が注目するようになったことが挙げられます。実際、国内大手企業が外資系企業での戦略人事の経験者を人事のトップに招聘し、人事改革を進める事例も増えています。
かつて日本の大手企業は終身雇用を前提に、新卒社員を一括大量採用し、「ゼネラリスト」に育成する人事が主流でした。
しかし、昨今は終身雇用制が崩壊へ。ビジネスの変化のスピードが加速する中、その時々の戦略に応じて専門人材を活用する方向へシフトしています。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの施策にも注力され、多様なバックグラウンドを持つ人材を活用していこうとする意識が高まっています。雇用形態も、正社員に限らず、契約社員・派遣社員・業務委託など、多様化してきました。
このように、変化にスピーディに対応し、目標達成をサポートするため、事業部ごとにHRBP組織を設ける企業が増加しました。そこで、HRBPの経験者を外部から迎えたいとする採用が活発化しているのです。
しかし、まだまだ経験者が少ないため、HRBPそのものの経験がなくても、一定レベルの人事経験と素養がある方も採用対象となっています。
今後、外資系・国内系企業問わず、「戦略人事」の重要性はますます高まります。2020年、米国証券取引員会(SEC)が上場企業に対して「人的資本の情報開示」を義務付ける方針を発表しました。日本においても2021年、東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コード改訂の中で、人的資本の情報開示の強化が示されています。
これらに対応し、企業価値の向上を図るためにも、戦略人事の人材ニーズはさらに高まるでしょう。
HRBPは担当事業部のビジネスパートナー
HRBPは、担当事業部のビジネスパートナーとして事業部ヘッドに伴走する立場です。事業部が設定した目標に基づき、人事戦略を策定・実行する役割を担います。
具体的には次のような業務を手がけます。
●事業推進に必要な人材要件(経験・スキル・人員数など)の定義
●自社組織内の人材のデータの把握・整理
●事業推進に必要な知識・スキルの研修の企画
●不足している人材の採用の検討・企画
●評価制度の検討・企画
●労務管理の検討・企画
実際の採用活動はリクルーティングチーム、評価制度の仕組み作りなどはCOE――といったように専門部署が担うケースが多いのですが、HRBPは事業部側の立場でそれらのプロジェクトをリードします。
HRBPの業務内容
HRBP(Human Resources Business Partner)は、今日のビジネス環境で、経営戦略を具現化する中心的な役割を果たしています。主要な業務と責任は、以下の3点です。
・事業拡大に基づく人事戦略の策定
・経営陣の思想を従業員に広める
・フロアの意見を経営陣に報告する
各点について詳しく説明します。
・事業拡大に基づく人事戦略の策定
HRBPは、通常の人事業務を超え、戦略的な人事計画を行います。事業の成功には優秀な人材が欠かせません。そのため、HRBPは必要な人材の特性、育成方法、そして最も効果的な組織構造を考察します。具体的な活動としては、報酬構造やキャリアパスの設計などがあります。
加えて、HRBPは経営陣の一員としても機能するため、戦略的な観点から人事活動を推進することが求められます。
・経営陣の思想を従業員に広める
HRBPは、経営陣と密接に連携し、その思想や方針を従業員に理解させる役割を担います。もし経営陣の理念や価値観が従業員に浸透しないと、従業員は方向感を失い、それが結果として生産性の低下や社内モラルの低下につながる可能性があります。
このような状態を防ぐために、HRBPは経営陣の思想や方針を明確かつ適切な形で現場に伝達します。これにより、組織全体が一致した方向で動き、目標達成がスムーズになります。
・フロアの意見を経営陣に報告する
HRBPの仕事は、経営陣から従業員への一方的なコミュニケーションだけではありません。現場の声やフィードバックも、事業運営において重要です。これは、現場の意見が経営判断に反映されることで、より賢明な経営が可能になるからです。
そのため、HRBPは従業員からの意見を集約し、それを基に経営陣に対して問題点や課題、不満を提案します。これが効率的な業務運営や働きやすい環境の構築に寄与します。
HRBPの役割は、経営戦略を具体的な人事計画に変換するだけでなく、組織内の多様な声を経営層に伝えることも含まれています。このような多面的な責任を持つHRBPは、現代ビジネスにおいて、その重要性が増しています。
HRBPの年収相場
HRBPの年収相場は外資系企業も日本企業もほぼ同じ水準です。中途採用においては、以下の金額が提示されるケースが多いといえます。
●シニアスタッフクラス/年収700万円前後
●マネジャークラス/1000万円前後
●シニアマネジャークラス/1200万~1500万円
HRBPの転職事情
HRBPは、企業や外資・日系によって、採用意欲が異なる職種と言えるでしょう。また、経験によっては、HRBPの経験がなくても、受けることは可能となります。この項ではHRBPの転職事情について解説いたします。
HRBP採用に意欲的な企業傾向
HRBPを導入しており、現在採用に意欲的なのは、中堅~大手の外資系企業および3000名程度規模以上の国内大手企業です。業種は多岐にわかれます。
今後、大手だけではなく、準大手~中堅クラスにも徐々にHRBP導入が広がっていくと予測できます。
HRBPの転職動向
HRBPの採用ポジションは、シニアスタッフからマネジャー、CHROクラスまで幅広くあります。
シニアスタッフクラスの採用では、HRBPそのものの経験がなくても、下記の経験を持つ方であれば受け入れられるチャンスがあります。
●数百名規模以上の企業での、人事としての何らかの専門領域の経験3年以上
●事業部門のトップマネジメント層との折衝・調整を行った経験
マネジャークラスの採用となると、下記の経験が求められます。
●数百名規模以上の企業での、HRBPの経験5年程度以上
●人事分野の豊富な専門知識
●プロジェクトマネジメント経験
通常の人事職採用であれば、選考では人事としての専門スキルが評価されます。一方、HRBPの場合、事業部サイドのリーダーも選考を行うため、人事としての専門性だけでなく、事業に対するマインドも見られています。
指示された業務をこなすだけでなく、人事の知識・経験をベースに事業部の「人事のあり方」を主体的に考え、提案していくマインドやスタンスが求められます。
HRBPに求められるスキル
HRBPは、事業責任者や経営層のビジネスパートナーとの位置付けにあります。そのため、経営層と対等に議論できるビジネス感覚や経営視点が必要です。
人事のスペシャリストであることは前提条件となり、優れた人材を見極める力や育成への深い知見、高いリーダーシップなどが求められます。
また、採用後の社内全体において「HRBPに何でも相談したい」と感じさせるような人柄や継続力、現場目線から行動できる力が必要です。
HRBPとして転職に臨む方は、下記に挙げるスキルを選考でアピールできるように整理しておくことをおすすめいたします。また、これからHRBPのポジションを目指す方は、下記のスキルを積極的に身につけることでチャンスをつかみやすくなるでしょう。
PL(損益計算書)の理解
事業部の戦略を支える立場にありますので、その事業のPLを理解する力が必要です。利益を生み出していくために、適正な人件費を判断しなくてはなりません。
PLのデータを分析し、レポーティングするスキルが重視されます。
数値分析力
従業員の離職率、女性管理職比率など、人事施策におけるさまざまな指標を数値化し、分析する力が求められます。
ビジネスへの深い理解
HRBPは、事業を運営している現場のメンバーとの連携が重要な仕事です。人事の立場から一方的に話をするのではなく、現場の状況や課題を的確につかむ必要があります。
そのため、組織管理のみでなく、ビジネスへの理解力も求められます。
自ら課題を見つけ、解決できる課題解決力
HRBPは、事業部が設定した目標と現状のギャップを埋める役割を担っているともいえます。
現場から上がってきた課題に対応するだけでなく、自ら課題を発見し、解決策を導き出す力が必要です。
さまざまな立場の人とのコミュニケーション力
人事の課題は1人で解決することはできません。状況に応じて事業部ヘッドやCOE組織と相談・協議する必要がありますので、さまざまな立場の人とのコミュニケーション力が欠かせません。
HRBP転職を成功させるためには。経営視点を持つこと
HRBPとしての転職を成功させている方々に共通している要素があります。
それは、人事の一機能としての役割を忠実に果たしてきただけでなく、「経営」の視点を持って課題解決に取り組んできたこと、あるいはそうした志向を強く持っていることです。
選考においては、経営戦略を踏まえた人事の課題を意識し、その解決に向けての行動を起こしてきたかどうかが問われます。
そのような経験を持つ方であれば、どのような課題意識を持ってどのような戦略を立てたか、周囲とどのように連携して実行したか、どのような成果につながったかを、ストーリー立ててプレゼンができるようにしておきましょう。
そのような経験がまだない方は、今の会社で意識して行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
また、前述の通り、「数字に強いこと」も重要な要素です。人事にまつわるさまざまな施策と成果を数値化し、分析する力はアピール材料となり得ます。
データ分析力を磨くことで、HRBP経験がなくても、HRBPとして採用される確率は高まるでしょう。
HRBP転職に強い転職エージェントに相談する
一口にHRBPと言っても、企業によって課題や取り組み姿勢、HRBP担当者が担う役割などは異なります。
入社後、「想定していた状況・役割と異なる」と気付くケースは実は少なくありません。
ご自身の経験・志向にマッチする企業を選ぶために、転職エージェントが持つ情報を活用してください。
JACでは、コンサルタントが採用企業と転職ご希望者、双方とコミュニケーションを取る「コンサルタント型」コンサルティングのスタイルをとっています。
つまり、企業側の採用背景や課題など、内情に関する多くの情報を持っており、転職ご希望者の疑問に応じてすぐに情報提供が可能です。
また、HRBPだけに選択肢を閉ざさず、経験と志向に応じて人事領域でのさまざまなキャリアの可能性を探るうえでも、一度JACの客観的視点とアドバイスを取り入れてはいかがでしょうか。
HRBPの転職関連情報
転職に役立つ、HRBPの転職成功事例や職務経歴書の書き方・よくある質問も合わせてご確認ください。