人事がIPO準備企業に転職するメリット・デメリットを解説

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公開日:2024/10/21 / 最終更新日: 2024/10/24

人事職のキャリアの選択肢の一つに、「成長途上のスタートアップ、ベンチャー企業の組織体制を整える」という道があります。IPOを視野に入れ、あるいは組織拡大を目指して、人事スペシャリストの参画を求める企業は増えています。IPO準備企業や組織拡大フェーズの企業による人事職の採用動向、求められる経験・スキル、IPO準備企業に転職するメリット・デメリット、転職成功のポイント、転職成功事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)の管理部門職種専任のコンサルタントが解説します。

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人事のIPO準備企業への転職動向と求人の傾向


スタートアップ、ベンチャー企業の数が増えているなか、IPOを視野に入れて準備している企業や、組織の拡大を図る企業で人事職のニーズが高まっています。

近年、スタートアップ、ベンチャー企業の資金調達額が伸びており、政府もスタートアップ支援に注力。人材に投資し、さらなる事業拡大へつなげる好サイクルに入った企業が多数あります。採用・人事制度・労務管理などの体制を整えていくにあたり、責任者クラスで、かつプレイヤーとして自分で手を動かせる人事職が求められています。

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人事の転職事情

人事のIPO準備企業への転職で求められるスキル・経験・マインド


人事職採用で重視される経験・スキルは、企業の成長フェーズによって異なります。急拡大を目指す企業においては、「採用」活動を主導できる方が求められます。スカウトやリファラル採用といったダイレクトリクルーティングを含め、多様な採用手法を使い分ける知見・経験に期待が寄せられます。

50名~100名規模になると、中間マネジメントが増え、等級制度などが必要となるため、人事制度企画の経験が必要とされます。100名を超えると、組織拡大における「100人の壁」とも言われるように、情報共有やコミュニケーションが希薄になり、経営層とメンバークラスの乖離も生じがちです。そこで、「ミッション・ビジョン・バリュー」の作成・浸透など、経営の考え方や理念を各部門メンバーに落とし込んでいく力も求められます。IPOを目指す企業では、法令に則した労務管理体制を整備する力も必須です。

なお、近年のスタートアップはIT関連企業が多いことから、IT業界での採用や制度企画の経験があればプラス評価につながります。

求められるマインド・スタンス

マネージャークラスの採用では、「管理者」としてだけでなく、自身も一人のプレイヤーとして手を動かす姿勢が求められます。また、これまでの経験を生かすことに加え、事業成長のために何が必要かを考え、未知の手法などにもチャレンジしていく主体性、コミットも期待されます。

そして、「人事」という枠に収まらず、経営の視点に立って「どのような方向を目指すのか」を上流から考えられる方が重宝されます。

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人事のIPO準備企業の年収相場


人事職がIPO準備企業に転職する場合の年収相場は下記のとおりです。

マネージャークラス700万~900万円
部長クラス900~1100万円
CHRO1000~1500万円

なお、ストックオプションが付与されることもあります。


IPO準備企業に転職するメリット・デメリットをご紹介します。転職を検討する場合は、メリットだけでなくデメリットを受け入れられるかどうかも考えてみてください。

IPO準備企業へ転職するメリット

●経営層の近くで事業の拡大・成長に貢献するダイナミズムを体感できる
●大きな裁量権を持って組織制度を推進できる
●ゼロベースから人事の仕組みを構築できる

これらのメリットは、面白さややりがいを感じられるのはもちろん、今後のキャリア形成にもプラスになり、将来の選択肢が広がるでしょう。

●裁量権を与えられる分、プレッシャーも強い
●経営状況が変動しやすく、戦略や方針の「朝令暮改」も起こりがち
●人員が少ないため1人にかかる負荷が大きく、労働時間が長くなることもある
●導入したい施策・制度に対し、十分な予算を確保できなこともある
●総務などとの兼務を求められることもある

ここに挙げたデメリットは、人によっても感じ方が異なります。変化を楽しめる方や、幅広い業務に携わりたい方にとっては、むしろ面白みを感じられるともいえるでしょう。

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人事職としてIPO準備企業で経験を積んだ場合、その先には次のようなキャリアパスが考えられます。

人事マネージャーから「CHRO」として経営陣に加わるといったキャリアパスのほか、拡大する人事部門において「部長」へのステップアップが視野に入るでしょう。また、IPO達成により「上場企業の人事部長」のポジションを手に入れられる可能性もあります。

人事スペシャリストのみにとどまらず、「総務」「法務」などを兼務して管理部門職としての幅を広げる道もあります。最終的には「管理部門長」「CAO(Chief Administrative Officer/最高管理責任者)」を目指すキャリアもあります。

「立ち上げ」のフェーズに面白みを感じる方であれば、IPO達成後、別のIPO準備企業に転職し、経験を生かして活躍する道もあります。IPOが未達成に終わったとしても、制度・組織整備の経験は別のIPO準備企業で生かせる可能性があります。

経験を積んだ後、ミドル・シニア層になると「人事・組織コンサルタント」として複数の企業を支援する方も見受けられます。コンサルティング会社に所属するほか、個人事業主として業務委託のスタイルで働く道もあるでしょう。

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管理部門職は、比較的、業界の垣根を越えた転職がしやすいといえます。人事職の採用においても、前職の業種が問われることはあまりありません。業界経験よりも重視されるのは、経験してきた「組織規模」「成長フェーズ」です。同等の規模・成長フェーズの企業で「どのように拡大に貢献してきたか」が選考で重視されます。

なお、「人事コンサルタント」として経験を積んだ若手の方が、スタートアップやベンチャー企業に移って人事の経験を積み、人事スペシャリストとしてのキャリアを築いていくケースも見られます。


人事職の転職においては、「実務経験」が重視され、資格が必須とされることはほぼありません。とはいえ、IPO準備企業で人事規程・人事制度・労務管理体制の整備に携わる場合、「社会保険労務士」の資格を持っていればプラス評価につながります。


人事職の方がIPO準備企業への転職を成功させるために、意識しておきたいポイントをご紹介します。

例えば、「30名規模の段階で入社し、在籍中に300名規模へ拡大した」といった経験がある場合、その変遷を明記しましょう。職務経歴書で、これまでの在籍企業の「現在の従業員数」だけを記載した場合、「数百名規模の企業にいた人は、まだ数十名規模の自社には合わない」と思われてしまう可能性があります。応募先企業と同等の規模・フェーズで「拡大のプロセス」を支えた経験があるなら、ぜひアピールしてください。

成長途上のスタートアップ、ベンチャー企業においては、指示に従って動くのではなく、主体的に考えて行動を起こせる方が求められます。これまでに、主体性を持って提案や行動をした経験、プロジェクトなどでリーダーシップを発揮した経験があればアピールしましょう。

人事責任者は、経営者の理念やビジョンを具現化する役割を担います。そのため、ビジネスの成長性や報酬などの条件面だけでなく、「理念やビジョンに共感できるか」という観点で企業を選ぶことをおすすめします。理念やビジョンに共感できてこそ、人事組織の立ち上げフェーズのハードワークを乗り越える覚悟も持てるでしょう。

ただし、「理念」や「ミッション・ビジョン・バリュー」の言語化、ホームページでの発信にまで至っていないスタートアップ、ベンチャー企業も多数あります。経営者とコミュニケーションをとっている転職エージェントから情報を得たり、面談・面接で確認したりしてください。

創業から日が浅いスタートアップ企業などでは、ホームページがまだ充実していない、ニュースリリースやメディア記事も少ないなど、公開情報が限られていることも多くあります。転職エージェントから情報を入手するほか、応募前に設けられる「カジュアル面談」を活用するといいでしょう。面接よりもリラックスして対話ができる場ですので、ビジネスの特徴や仕組み、会社立ち上げの経緯、経営者の思いなどを確認してください。株主構成や資金調達先なども確認しておくと、今後の成長性の判断材料になります。

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IPO準備企業を目指す人事職の方々からいただくことが多い質問にお答えします。

Q. リモートワークは可能でしょうか?

A. 多くの企業がリモートワーク制度を導入しています。ただし、オフィスで社員と直接コミュニケーションをとることを重視する企業が多く、「フルリモートOK」の企業はあまり見られません。週2日程度のリモートワークが可能な求人は多数あります。なお、「フルフレックス」を含め、フレックス制度を導入している企業は多く、働く時間の柔軟性は高いといえます。

Q. IPO準備の経験を積みたいのですが、IPOできなかったときを考えると不安です。

A. IPOが頓挫してしまった場合も、組織の「拡大」「整備」を手がけた経験を生かして、別のIPO準備企業への転職を果たしている方が多数いらっしゃいます。「IPOできなかった要因」を経験し理解していることも、次の企業で歓迎されるでしょう。何度でも再チャレンジが可能ですので、安心してください。

Q. IPO企業は忙しいイメージがあります。残業も多いのでしょうか。

A. .多忙であることは事実ですが、実際に働いている方々を見ていると「ムダな残業」はあまり発生していないようです。皆さん、裁量権を持って働いているので、多忙は覚悟のうえで生産性を高める工夫をしています。業務量は多くても、フレックスタイム制を活用して働く時間をコントロールしている方が多く見られます。


IPO準備企業への転職に成功した人事職の方の事例をご紹介します。

Fさん(40代前半/男性)は、大手企業をはじめとする複数社での人事を経て、数十名規模のネットベンチャーで総務人事部長を務めていました。IPOは達成したものの、今後は事業拡大・組織拡大の見通しが立っておらず、人事としてのキャリアをこれ以上伸ばせないと判断。「裁量権を持てる」「ポジションアップを目指せる」「事業に成長性がある」という条件を満たすスタートアップ/ベンチャー企業を求め、JACに登録されました。

コンサルタントはFさんのこれまでの転職経緯をお聞きし、志向に合う企業として設立数年のBtoCサービス企業・A社を提案しました。A社ではこれまで他職種の方が人事を兼務していましたが、IPO準備に向けての体制整備にあたり、人事のスペシャリストを必要としていたのです。

Fさんは、A社の事業が「どのような人に喜ばれるか」「どのような人を救えるか」というイメージを描き、理念に共感。経営者とも意気投合して、CHRO候補として迎えられました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

人事の転職成功事例|IPO達成経験を生かし、IPO準備企業のCHRO候補へ

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人事のIPO準備企業への転職ならJAC


IPO準備企業の人事責任者ポジションを目指す場合、納得感が高い転職を実現させるためには、「経営者の理念・ビジョンに共感できるか」が重要です。JACのコンサルタントは、経営者と直接対話を重ねており、起業の経緯や事業への思いを理解しています。それを踏まえ、転職希望者の方が大切にしている価値観や志向に合う企業をご提案します。

また、スペシャリストとしての経験を積んできた方でも、ご自身の価値観や志向が明確になっておらず、これから目指す方向性に迷うこともあります。私たちは「キャリアの棚卸し」を通じ、価値観や志向を整理する作業もお手伝いします。

今すぐには転職を考えていない方も、お気軽にご相談ください。

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年代別人事の転職


20代、ハイクラス・ミドルクラス(30-40代)、50代の人事転職事情は下記をご覧ください。

20代の人事転職動向を解説


近年、HRBPやHRIS、D&Iなど、人事部門における新たな職種への需要が高まる中で、企業が求めるスキルや経験も変化しています。特に実務経験が少ない20代の方が転職してキャリアアップを目指すためには、近年のトレンドを把握する必要があります。
トレンド1:HRBPやHRIS、D&Iなどの需要が高くなっている
トレンド2:人的資本経営に注力する企業が増えている
トレンド3:従業員の定着率向上とDX人事の推進を担う人材が求められている

記事全文はこちら

ハイクラス・ミドルクラス(30-40代)の人事転職動向を解説


日系企業におけるグローバル競争力強化に伴い、人事の領域も新たな段階へと移行しており、求人傾向に変化がみられます。
ここでは人事職求人のトレンドについて、どのような求人が増えているのか、需要が高まっている背景・理由も踏まえて解説します。
トレンド1:増加する国際的な業務に対応可能な方の需要が拡大
トレンド2:特定分野の専門経験を重視する傾向

記事全文はこちら

50代の人事転職動向を解説


人事職の求人は全般的に増加傾向にあり、50代の方の採用事例も増えています。
中小規模の企業では、今後、国内外での事業拡大を図るにあたり、増員のための採用戦略策定、労務管理体制の整備、労務規程・人事制度の見直しなどの課題に取り組む企業が多数存在します。これらの課題解決を主導できる即戦力として、人事のスペシャリストや管理職クラスの求人が増加。また、人材流動が活発化するなか、ベテラン層が退職したあとを引き継ぐポジションの求人も一定数あります。

記事全文はこちら

人事転職職務経歴書の書き方


人事転職の職務経歴書の書き方は下記記事をご覧ください。

人事の職務経歴書サンプルと書き方

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岸本 裕司

岸本 裕司

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成長・変革を目指す中小企業は、管理部門領域で変革を求める際に、なかなか適切な人材が見つからないと悩んでいます。変革を巻き起こせる方に、変革してほしい企業にご入社いただき、ご活躍いただきたいと考えております。ぜひお気軽にご連絡ください。


大岩直矢

大岩 直矢

管理部門専門ディビジョン マネージャー

管理部門職種×ベンチャー・スタートアップ・IPO準備領域専門チームの立ち上げにも参画し、チーム拡大に貢献。現在はマネージャーを務める。少しでもベンチャー・スタートアップ領域へのチャレンジをご検討であれば、ぜひお気軽にご連絡ください。



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