経営企画の転職は難しい?年収相場、成功のポイントなどを解説

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公開日:2022/01/21 / 最終更新日: 2024/11/26

業績好調を背景に、多くの企業が「攻めの戦略」を推進している今日、経営企画の採用ニーズが高まっています。「海外」を志向する経営企画職の方々にとっても、チャンスが広がっている現状です。経営企画職の採用動向、求められるスキル・経験、年収相場、キャリアパス、転職成功のポイント、転職成功事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)の管理部門職種専任のコンサルタントが解説します。

経営企画の仕事内容


「経営企画」は、企業の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。企業規模がさほど大きくない場合や、各事業部の経営が独立しているような場合には、これらの区別が曖昧になることがあります。
しかし、それぞれには明確な役割と特徴が存在します。

経営企画とは

経営企画は、その名の通り、企業の経営全体を見据えた企画を行う部署です。その主な仕事内容は、経営層の方針や企業のビジョン、ミッションを具体的に実現するための長期的な経営戦略を策定することにあります。
企業が持つリソース、すなわち人材、物資、資金は有限です。この限られたリソースの中で、どのようにして競合他社との競争を勝ち抜くか、どのようにして企業の成長を実現するかを考えるのが経営企画の役割です。
そのため、市場の動向を正確に把握し、新規事業の可能性を探るとともに、既存の事業においても投資の方向性や、効果的なリソースの配分、さらには赤字事業の撤退など、企業全体の最適化を図る戦略を検討します。
戦略が定まった後は、具体的な事業計画の策定に移ります。この段階では、経営層との緊密な連携が不可欠です。経営企画は、企業の「頭脳」とも言える部署であり、情報の収集・分析、意思決定のサポート、そして戦略の提案など、多岐にわたる能力が求められるポジションです。

事業企画との違い

一方、事業企画は、特定の事業やプロジェクトに焦点を当てた企画を行う部署です。その主要な役割は、事業の目標を明確に設定し、その目標達成をサポートすることにあります。
具体的には、経営戦略に基づいた売上目標や利益率の設定、そしてそれに伴う予算や人事の調整を行い、実際の事業計画を策定します。
事業が多岐にわたる場合、どの事業にどれだけのリソースを配分するか、リソースの最適化を図ることも事業企画の重要な役割となります。
また、事業計画の策定だけでなく、事業の実際の進捗を監視し、設定された目標やKPI(Key Performance Indicator)の達成状況を評価することも求められます。そして、その評価結果をもとに、次の事業計画の策定に反映させることが必要です。
「経営企画」と「事業企画」は、それぞれ異なる視点から企業の成長をサポートする役割を担っています。経営企画は企業全体の方向性を定める「羅針盤」として、事業企画は具体的な事業の成功を追求する「舵取り役」として、それぞれのポジションで企業の発展に寄与しています。

経営企画の転職・求人のトレンド


円安を追い風に、多くの企業が業績好調。新たな取り組みへの投資意欲が高く、経営企画職の採用ニーズが高まっています。大手企業からIPO前後のベンチャー企業まで、幅広く求人が増えているなかで、今回は主に、2000名以上規模の大手企業の経営企画採用動向についてお伝えします。

求人増加の主な背景として、次のような動きがあります。

M&Aの活発化

事業拡大や新規事業開発を強化するなか、M&Aを検討する企業が増えています。M&A関連の経営企画採用といえば、数年前まではM&A後の子会社管理を担うポジションの求人が多かったのですが、現在はそれ以上に、M&A戦略の策定やディールに携わる人を求める傾向が強まっています。

グローバル展開の強化

現在、2020年頃から停滞していた海外展開が再開され、今後加速していこうと思案する企業が多数存在します。海外現地法人のマネジメントに限らず、「海外へどう打って出るか」「進出するならどの国・エリアが有望か」といった戦略を経営陣と協議し、意思決定を行っていく役割が求められています。

サステナビリティへの取り組みの推進

「サステナビリティ」や「SDGs」への意識が高まり、取り組み状況が投資家からシビアな目で見られるようになっています。これまではCSR担当部署などが担っていた役割が経営企画の中枢に置かれ、サステナビリティ戦略を中期経営計画に盛り込む動きが出てきています。

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経営企画転職で求められるスキル・経験・マインド


ここでは、経営企画転職の転職で重視されるポイントについてご紹介します。

共通して求められる6つの要素

前提として、経営企画職の役割範囲や業務内容は企業によって異なります。経営戦略の策定を中心とすることもあれば、事業部に近い立ち位置で数値管理を行うこともあります。そのため、経営企画求人の要件となる経験・スキルも企業によってさまざまですが、主に共通して求められる要素としては、次の6つが挙げられます。

1)財務・会計の知識
2)経営数値の分析・管理能力
3)経営層を動かすためのプレゼンテーションスキル
4)複数部署と連携するコミュニケーションスキル
5)業界の知見・経験
6)(グローバル展開している企業の場合)海外事業の管理経験/語学力

以上が、経営企画職において重要なスキルセットになります。またこれらは、今後優れたキャリアを築くための大切な土台となるため、常に考慮に入れたうえで、経験を積んでいくことをお勧めします。

戦略策定とコミュニケーション力

経営企画では「机上での戦略策定」と「部門に入り込んでのコミュニケーション」のバランス感覚が重視されます。どちらか一方に偏っても、経営戦略の実行は難しいといえるでしょう。

例えば「メーカーの製造部門で工場長や製造メンバーに働きかけ、直接対話しながら業務改善を行ってきた」といった経験などは、プラスで評価されます。このような実践的なアプローチが、経営側と部門側双方の信頼を築き、成果を効率的に生み出す鍵となるのです。

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経営企画の年収相場


経営企画の年収は企業規模によって異なりますが、マネジャークラスの場合、およそ1000万円前後が相場となっています。

階層別の年収相場は下記のとおりです。

メンバークラス
(第二新卒含む)
400万~700万円
リーダークラス500万~800万円
マネジャークラス800万~1300万円
※業種により異なる

年収アップを目指すには

経営企画の方が転職によって年収アップを目指すなら、まず「業界知見」を生かすことが有効です。業界をまたいでの転職も可能ではありますが、これまでと同一、あるいは類似の業界を選ぶことで「即戦力」と見なされ、年収アップでオファーを受ける可能性が高まります。

また、会計関連の知識やスキルを磨き、資格も取得すれば、さらに評価が高まるでしょう。「海外事業経験」や「語学力」を持っている場合は、求人の選択肢が広がり、年収アップも図りやすいといえます。現職で海外事業に携わるチャンスがある際は、率先して手を挙げて経験を積んでおくことで、将来のキャリアも選択肢が増えていくでしょう。

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経営企画の転職理由とキャリアパス


経営企画職の方に多く見られる転職理由と、今後のキャリアパスの可能性についてお伝えします。

どのような転職理由が多いのか?

経営企画職の方が転職を決意する理由としてよく見られるのは、「会社の方向性とのギャップ」です。例えば「攻めの戦略から、守りに転じる」「海外市場開拓から国内市場へ回帰する」など、自身の志向ややりがいに合わなくなったり、自身の強みを生かしにくくなったりしたときに転職に踏み切る方が多い傾向にあります。

特に、子会社に出向し、裁量権を持って幅広い仕事をしていた方が、本社勤務に戻って裁量の幅が狭くなったことを機に、再び裁量権を持てるポジションを求めて転職を図るケースは少なくありません。

このほか、経営陣と部門の板挟みとなり、人間関係の悩みを抱えて転職を希望する方も多く見られます。

経営企画のキャリアパス

経営企画職として経験を積んだ方の「次のキャリア」「先々のキャリア」としては、以下のような選択肢があります。

●経営企画職として、より上のポジションを目指す
●子会社に出向し、幅広いマネジメントを経験する
●経理・財務部門にキャリアチェンジする
●経営企画経験を生かし、より大規模な企業、ブランド力が強い企業に転職する
●前職より小規模の企業に転職し、ポジションを上げる(スタートアップの経営メンバーなど)
●コンサルティング業界に転職し、コンサルタントとして経営支援を行う

経営企画未経験での転職の可能性について

経営企画を経験していない方が、経営企画のポジションに転職することは、やはりハードルが高いといえます。
とはいえ、以下の経験をお持ちの方は、経営企画職としては未経験であっても、事業会社の経営企画部門に迎えられるケースがあります。

●公認会計士資格を持ち、監査法人でアドバイザリー業務に従事してきた方
●大手戦略コンサルティングファームで、経営支援の経験を積んだ方
●金融機関で投資判断、M&A支援などを手掛けてきた方

未経験の業界・企業規模への転職の可能性について

経営企画職から未経験の業界への転職を目指すことは、ややハードルが高いものの、不可能ではありません。ビジネスモデルや職種が近い業界であれば、ハードルを越えやすいといえます。実際、製造業出身の方がエネルギー企業に採用された事例もあります。「固定資産を保有している」「数字のスケールが近い」という点で共通しており、経験が生かせると評価されたのです。

「扱う経営数字の規模」は重視されるポイントであるため、中小企業から大手企業への転職はほぼ見られません。大手企業から中小ベンチャーに移る方は、一定数いらっしゃる傾向にあります。

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経営企画の転職を成功させる3つのポイント


経営企画職の方が転職を成功させるためには、次のポイントを意識してみてください。

では、それぞれ解説いたします。

【1】守秘義務違反をしない範囲で「実績数字」を伝える

経営企画職の方の「実績数字」は、守秘義務があることから、職務経歴書や面接で伝えづらいものです。そのため、守秘義務違反とならない範囲でアピールすることをお勧めします。

例えば、コスト削減や利益構造の再構築といった取り組みによる「変化のパーセンテージ(○%→○%、○%増加、○%削減など)」を示すなどして、工夫することが大切です。そして、「なぜその成果を出せたのか」を、面接で語れるように準備しておきましょう。

【2】経営企画以外の部門での「改善経験」をアピールする

経営企画職となる前、営業部門・マーケティング部門・製造部門など、他領域の部門を経験してきた方も多いでしょう。そうした部門での経験が評価されることもあります。これは経営企画として、部門に入り込んでコミュニケーションを取り、連携する姿勢が重視されるためです。

特に、所属していた部門において、単にオペレーションを回していただけでなく、「仕組みの見直し・変更」「新たなツールの導入」など、何かしらの改善・変革を主導した経験があれば、積極的にアピールすると良いでしょう。

ただし、ジョブローテーションによる多様な部署での経験をアピールすると、「器用貧乏」という印象を抱かれる可能性もあります。「コアとなる専門スキル」が求められますので、特定領域での強みが伝わるようにアピールすることが重要です。

【3】海外経験・英語力をアピールする

近年、多くの企業が海外展開を検討しています。そのため、海外事業経験が少しでもある場合は、積極的にアピールすることをお勧めします。

海外経験や英語力は、全ての企業で求められるわけではありませんが、求人の選択肢が広がる可能性があります。また、選考通過においても、有利な要素となることが多く、意識的に英語力を磨いていくことも大切です。

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必要な資格


経営企画職の求人においては「実務経験」が重視されるため、必須とされる資格はありません。

しかしながら、経営数字を扱える知識の証明として「公認会計士」「簿記2級以上」はプラス評価されます。これは、PLだけでなくBSまで読めることが重視されるためです。

「MBA」については、一時期ほど注目はされなくなりました。取得していれば一定の評価は得られますが、これから取得するために時間とパワーを投じるよりは、その分、実務経験を磨くことに集中する方が有効といえるでしょう。

経営企画転職でよくある質問と回答


経営企画職として転職を考える方からよくいただく質問にお応えします。

Q. M&Aに携わりたいと考えていますが、そのポジションに転職するには、M&Aの経験が必要でしょうか?

A. M&Aプロジェクトには金融機関やアドバイザーなど、外部の専門家も参加するため、経営企画職の採用において、M&A経験は必ずしも求められません。入社後に経験するチャンスは十分あるといえます。今後、M&Aを強化していく方針の企業を選ぶことが重要ですので、JACのコンサルタントにぜひご相談ください。

Q. 海外駐在していましたが、帰任して国内勤務となりました。これからも海外勤務を続けたいのですが、それが叶う求人はありますか?

A. 海外駐在の求人案件は多数あります。選考ではどの国・エリアのマーケットに強いのかに加え、「どんな相手とどう連携してきたか」「どんな相手とどんな交渉をしていたか」などが注目されます。単に「海外事業経験あり」ではなく「海外×○○」と、強みを掛け合わせてアピールできるように経験を整理しておきましょう。


経営企画職として転職に成功した方の事例をご紹介します。

大手メーカーに勤務するNさん(40代前半/男性)は、海外駐在で現地子会社運営を経験し、帰任後は国内子会社で部長を務めていました。しかし、本社勤務に戻ると課長ポジションとなり、業務や裁量権の幅が狭まることに。裁量権を持って幅広い業務を手掛けられることにやりがいを感じていたNさんは、本社に物足りなさを感じ、転職を決意しました。

Nさんの経験を生かせる求人は100件以上。そのなかから条件を絞り込んで大手企業複数社に応募し、インフラ企業・A社を選択されました。役員面接を通じ「海外事業の話にワクワク感を持てた」「裁量権を持って働けると確信できた」「候補企業のなかで一番スピード感があった」ことが、入社決意の決め手となりました。

40代で初めての転職ということで、面接に不安を抱いていましたが、JACのコンサルタントから応募企業が目指す方向性、事業・組織の状況や課題などの情報を得て対策した結果、高い評価を得ることが出来ました。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

経営企画の転職成功事例|海外事業・子会社運営の経験を生かせる企業へ転職

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経営企画の転職ならJAC


経営企画職の方々の転職においては、「経営陣の考え方や経営戦略が、自身の志向と一致しているか」が重要です。また、一口に経営企画といっても企業によって役割や業務内容はさまざまであるため、自身が強みとする経験・スキルを発揮できる企業かを見極める必要があります。

JACのコンサルタントは、経営陣と対話を重ね、採用背景、今後の方向性や課題、求める人物像など、公開されている求人情報だけでは分からないこともヒアリングしています。そうした詳細な情報を踏まえ、転職希望者の方の経験・志向にあう企業をご提案します。

「海外駐在員候補」など、グローバル案件に関わる求人も多数保有していますので、海外志向をお持ちの方、英語力を生かしたい方もぜひご相談ください。

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この記事を監修した転職コンサルタント

三條 皇

三條 皇

コーポレートサービスディビジョン マネージャー

大学卒業後、アパレル企業に就職。その後、大手人材エージェントを経てJAC Recruitmentに入社。一貫して管理部門領域の転職支援に従事。コンサルタントを経て、現在はマネージャーとしてプライム上場クラスの大手×管理部門領域(特に会計領域)のご支援をさせていただいております。転職、キャリア、適職、ご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。