50代経理の転職事情|求人傾向や年収相場を解説

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公開日:2024/11/11 / 最終更新日: 2024/11/18

経理というと入出金確認・請求処理、決算期には財務諸表の作成という細かな作業を正確にコツコツとこなしていくイメージがあると思います。しかし、会計ソリューションの導入が一層進み、経理は純粋な経理業務を遂行するだけでなく、数字をもとにした業務改善の検討や子会社の管理、最近ではインボイス制度対応など、業務の幅が広がる傾向が高くなっています。それらに対応するだけでなく、50代経理ともなれば、管理職として部下のマネジメントも重要な業務です。

現在、非常に多くの求人が出ている経理ですが、どういったスキルや経験が求められているのでしょうか。求人が多い背景と共に、JAC Recruitment(以下、JAC)の管理部門領域専任コンサルタントが解説します。



50代経理の 転職の現状・求人の傾向について


経理は転職市場においても需要が高い職種の1つで、それは50代人材も同様です。理由は以下のとおりです。

新しい施策への対応

2010年3月以降、日本の上場企業の連結財務諸表については会計基準のグローバルスタンダードと言えるIFRS(International Financial Reporting Standards、国際財務報告基準)を任意に適用することが求められるようになりました。しかし、その結果10年以上経過した現在においてもIFRS導入企業は上場企業ですらあまり増えておらず、ノウハウを理解している経理の方もまだまだ少ないです。ビジネスのグローバル化を見据えてIFRS導入を検討している企業にとって、導入経験のある転職希望者は非常に魅力的な存在と言えます。

また、IFRS導入だけでなく、「経理の視点から考えた業務フロー改善の検討」「会計システムの更新」「決算プロセスの改善」など、企業会計全般、ビジネス全体に影響のある施策はいくつも存在します。それらの策定・実施経験がある50代経理の方は、施策の策定を主導し、プロジェクトのリーダーとして活躍することが期待されます。また、それに伴い、「経理業務のデジタル化」「ツールの導入を含む業務データ分析メソッドの構築」「業務DXへの対応」を必要としている企業もあります。

課題解決力を求める傾向

企業が求める経理は、社内にあるありとあらゆる数字を分析して発見した社内の課題を経営層に報告し、同時に改善施策の提案を行うことができる存在です。

そのため、経理には数字から導き出される社内の課題を分かりやすく説明するプレゼンテーション能力や、関係部署との調整に必要なコミュニケーション能力、社内の関係部署を巻き込んで推進していく推進力が必要となります。特に50代の経理の方は、即戦力としてそれらを求められることが多くなります。



50代経理が転職で求められるスキルや経験・マインド


日系の中小・中堅企業においては、転職で求められるスキルや経験、マインドは、前述したとおり「通常の経理業務だけでなく税務や財務など他のファイナンス部門、法務など経理業務以外も把握し、社内をまとめて改善を推進できること」です。「日々の経理業務だけをやっていればいい」「数字のやり取りだけ把握できればいい」というセクショナリズムではなく、「刻々と変化する数字から何が見えるか」「経理の立場から会社をどう改善すべきかを提案できるか」を考え、分かりやすく共有できる方が求められています。50代ともなれば、即戦力として実際に動くだけでなく、部下を取りまとめるマネジメント能力、他部署と率先して調整し推進するための実行力も問われます。

なお、日系の中小・中堅企業では、海外拠点がある、海外との取引が頻繁にある企業以外は、語学力を問われることはあまりありません。英語など語学力を生かしたい方は、外資系企業を検討する方がよいでしょう。



50代経理の年収相場について


JAC経由でご転職された方の平均年収としては、以下の通りです。対象は、日系の中小・中堅企業(社員数2,000人程度)とお考えください。ただし、ベンチャー企業は含みません。

役職年収相場
課長級800万円~1100万円
部長級900万円~1300万円

中小企業では役職定年をなくす傾向にありますが、定年は今のところ60歳までの企業が多いです。「役職定年を設けても後任がいない」といった事例、再雇用後も再雇用前と同様の役職に就く事例などもあり、定年を65歳に延長する中小企業もこれからますます増えてくると考えられます。

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50代経理のキャリアパスとしては、経理部長や経理担当役員、CFOを目指すだけでなく、経営企画など会社全体のマネジメントを管轄するような部署に異動する例が考えられます。

ただし、50代からの経理の転職希望者の転職先は中小企業であることがほとんどです。経理、財務、税務などバックオフィス部門が細かく分けられて専門性が高い大企業とは異なり、中小企業では1人で複数のポジションを兼務しなければならないことも少なくありません。そのため、転職希望者は、転職によって自分が担当する業務範囲が大きく変わる可能性があることに前もって注意が必要です。


50代経理の転職に有利な資格としては、会計系の資格、例えば「公認会計士」「税理士」「日商簿記1級・2級」などが挙げられます。

しかし、資格があればよいというわけではありません。日常の経理業務以外の業務、例えば「分析ツールを用いて経理データを分析し、その結果に基づいて業務プロセス変革の提言をした」「数字から将来予測を立てて経営層に今後の改善ロードマップを示した」などといった経験をアピールした方が、企業も転職希望者の入社後の活躍ぶりをイメージしやすくなると言えます。



50代経理が転職を成功させる3つのポイント


では、50代経理が転職を成功させるにはどんなポイントがあるでしょうか。

まず大切なのはマネジメント能力です。企業は転職希望者の経験を生かして部下をまとめ適切に指示を出し、正確性の向上とスピードアップを図ってほしいと考えています。それと同時に、持っているノウハウを後進の育成に役立ててほしいと考えています。

次に、経理のプロセスを変革していく推進力です。経理データを分析することによって会社全体を俯瞰し、課題を抽出し、解決へと導く能力は、50代経理にはこれまでの経験を発揮できる業務と言えます。

そして、「コミュニケーション能力」です。経理の中には、「日々の数字を扱うことだけが業務だ」と考えていて、これをおろそかにしている人が少なくありません。しかし、推進力に加えてコミュニケーション能力が高ければ、経営層や他部署との調整に役立ち、円滑な会社運営とビジネスの伸長に寄与することができます。例えば、経理データの数字だけで会社の現状を判断するのではなく現場に赴いて現状をより深く知る、営業に状況を細かくヒアリングする、既存の課題に対して経営層が望んでいる解決の方向性を把握する、など、一見すると経理の仕事ではない事柄が、提案に役立つことがあります。


Q. 入社後にどういったキャリアが考えられますか?

A. 経理での経験がそのまま生かせる経理部長や経理担当役員、CFOなどが考えられるポジションです。また、経理は経営層とのやり取りなども発生するため、経営企画などより経営層に近い部署への異動も考えられます。

Q. 経理としての市場価値をアップさせるにはどうしたらよいでしょうか?

A. 企業は、日々の経理業務だけではなく、業務全体を俯瞰できる能力を求めています。例えば「数字を分析して経営層に将来予測と対策案を説明した」などといった経験は方ご自身の市場価値をUPさせるのに最適です。

Q. 役職定年や再雇用についてはどのような状況にありますか?

A. 大企業と異なり、中小企業では役職定年を廃止している企業が増えています。しかし、65歳定年制を導入した企業はまだ少なく、60歳定年制が多いです。再雇用制度については企業により異なるので、JACのコンサルタントに確認してください。


ここでは、JACを通じて50代経理が転職に成功した方の事例を紹介します。転職のきっかけ・応募した企業・採用に至った決め手など、実例を元にお伝えします。

業種職種年収
転職前大手物流会社経理・財務管理職1,000万円
転職後中小物流会社経理・財務管理職候補900万円

Kさん(男性/50代前半)は大手物流会社などで、経理・財務、管理会計、海外駐在や海外法人への会計指導など幅広い経験をお持ちでした。今回JACが提案し、入社を決めた企業は中小の物流会社A社です。A社は海外事業を強化したいと考えており、Kさんの経験が十分に生かせると判断しました。当初この求人はもっと年収の低い想定でしたが、JACのコンサルタントは「Kさんは即戦力として活躍できる」と考えて企業の役員にKさんを提案して交渉、条件アップでの内定に至りました。Kさんは、将来的に役員への昇格が見込める点、ワークライフバランスが改善された点に満足しているとのことです。

業種職種年収
転職前中小企業経理課長700万円
転職後中小企業経理課長(部長候補)750万円

Fさん(50代前半/女性)は、経理だけでなく財務、IFRS対応、J-SOX対応、IPO準備など幅広い経験を積んでおり、以前の職場では経理課長としてマネジメントの経験も持っていました。しかし、その企業が買収されたことで転職を決意、JACに登録しました。JACのコンサルタントがFさんに紹介した企業の1社に、「伸び盛りの今のタイミングで社内制度を適切に整備し業務改善を実施したい」という意向を持った企業がありました。Fさんは穏やかな性格で面接があまり得意ではなかったのですが、コンサルタントから対策をアドバイス、無事に内定を獲得しました。将来の昇進が見込めるポジションを得ただけでなく年収もアップし、大変満足しているとのことです。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

50代経理の転職ならJAC


「社会人としての集大成」として50代での転職を検討される方も多いことでしょう。その大切な転職の決め手として、条件面以外に「企業の経営方針・ビジョン、組織活動に共鳴できたから」という点を挙げられる方は少なくありません。企業がビジネスを通してどのように成長していこうとしているのか、そのイメージが共有できれば、転職希望者の方も、自分が活躍しているイメージを描きやすいのではないでしょうか。

JACのコンサルタントは、転職希望者と企業の両方を支援する「コンサルタント型」のビジネスモデルを採用しています。JACのコンサルタントはパーパスやコーポレートスローガン、行動規範など広く一般に掲げられている情報だけでなく、組織活動や経営計画、年度目標のように社外にはなかなか公開されない企業の内情を深く知っています。そしてそれを転職希望者に共有することで、双方のニーズにずれが生じない満足度の高いサービスを提供しています。

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この記事を監修した転職コンサルタント

幸谷 大基

幸谷 大基

コーポレートサービスディビジョン プリンシパルコンサルタント

日系企業の管理部門(経理、人事、監査、法務など)専任の転職コンサルタント。企業としてのガバナンス強化の重要性が高まるにつれて、管理部門の強化を進める企業が増えてきています。それに伴い管理部門でご経験を積んでこられた候補者の方にとって、さまざまなキャリアの選択肢が増えています。まずはカジュアルに面談をしながらご自身の経験の棚卸しからお手伝いします。お気軽にお声がけください。


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