「CKO(最高知識責任者)ポジションに興味があるけど自分が適しているか分からない…」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、CKOポジションの役割・必要な能力・経験や導入事例などを解説します。
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CKO(最高知識責任者)とは?
本章では、CKOの役割と、CKOと混同されやすいCIO(最高情報責任者)との違いについて解説します。
CKOとは、「Chief Knowledge Officer」の略で企業のナレッジマネジメントを統括する役職のこと
CKOは「Chief Knowledge Officer」の略称であり、日本語では「最高知識責任者」と訳されます。
CKOの主な役割は、企業内外に蓄積された知識資源を適切に管理・活用し、企業の競争力を強化することです。
具体的には、従業員の経験やスキル、顧客情報、技術情報など、企業が持つさまざまな知識やノウハウを組織全体で共有・活用し、業務効率向上やイノベーション促進、競争力強化を図ります。
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CxOとは?CxOの役職一覧やCxO人材へのなり方を解説
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CKOとCIOの違い
CKOと混同されやすい役職として、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)という役職があります。
CIOは主に情報技術戦略全般を統括する役割を担い、情報システムの導入・運用や情報セキュリティ対策、ITインフラの整備などに取り組みます。一方、CKOはITを含む全ての情報源から得られる「知識」を管理し、組織の知的資産の活用に注力する役割を担います。
CIOは「情報をどのように管理するか」という視点でIT戦略を立案するのに対し、CKOは「企業が持つ知識資産をどのように活用し、価値を創造するか」という視点でナレッジマネジメント戦略を立案するという違いがあります。
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CIOとは?役割や求められるスキル、転職事例などを解説
近年の日本企業におけるCIOの需要増加の背景には、デジタル化やAI活用の進展にともなうIT戦略の重要性の高まりがあります。多くの企業がIT人材不足に直面するなか、CIOには経営戦略とIT戦略の融合や、IT投資の価値を経営… 続きを読む CIOとは?役割や求められるスキル、転職事例などを解説
CKO(最高知識責任者)という役職が求められる背景
本章では、以下の2つの観点から、CKOが求められるようになった背景を解説します。
・創造的破壊の重要性向上
・求職者の流動性の高まり
創造的破壊の重要性向上
現代のビジネス環境は変化が激しく、既存のビジネスモデルや技術が急速に陳腐化することも珍しくありません。企業が持続的に成長するためには、既存の知識や方法に依存せず、新しい知識資産を定義し競争優位性を生み出す「創造的破壊」が不可欠となりつつあります。
さらにこういった、一昔前と比較して創造的破壊の重要性が増したことが、CKOの必要性を高める一因になっていると考えられます。
「知識資産」とは、単なるデータや情報に限らず、従業員の経験やノウハウ、顧客情報、市場データ、技術情報など、企業の強みとなる資産のことを指します。CKOは、創造的破壊の促進に向けて、新しい価値を生み出すために必要な知識資産を定義し、実現可能な形で組織に組み込み、イノベーションの創出や競争力の強化に貢献するでしょう。
求職者の流動性の高まり
求職者の流動性が高まっていることも、CKOが求められる要因の一つです。
近年、転職市場の活性化や働くことに対する価値観の多様化などを背景に、求職者の流動性が高まっており、従業員の転職や退職によって、企業が保有する貴重な知識資産が失われるリスクが増大しています。特に、経験豊富なベテラン従業員の退職は、企業にとって大きな損失を招くこともあるでしょう。
そういった求職者の流動性に対応した知識共有の体制構築が求められる中、CKOは流動による知識損失を最小限に抑え、組織全体の知識レベルを維持・向上させる役割を担うことから、多くの企業で求められるようになりました。
CKO(最高知識責任者)が担う主な役割
ここでは、CKOが担う次の4つの役割について解説します。
・ナレッジマネジメントの戦略立案
・従業員が持つ知識を組織内で共有するシステムの導入・運用
・従業員が知識の蓄積・共有を積極的に行うような意識改革
・特許権・著作権などの資産の把握・活用
ナレッジマネジメントの戦略立案
CKOが担う役割の一つに、企業のナレッジマネジメントに関する戦略立案が挙げられます。
効果的なナレッジマネジメントを実現するためには、企業の経営戦略や事業戦略と整合した戦略の策定が不可欠です。そのため、CKOは企業の事業目標を達成するために必要な知識を特定し、その知識をどのようにして獲得、蓄積、共有、活用していくのか、具体的な戦略を描きます。
また、立案したナレッジマネジメントを効果的に推進できるよう、体制や評価指標などを構築し、組織全体でナレッジマネジメントに取り組む基盤を整えます。
従業員が持つ知識を組織内で共有するシステムの導入・運用
従業員が持つ知識を組織内で共有するためのシステム導入や運用も、CKOの役割に含まれます。
いち従業員が持つ知識を組織内で共有することは、特定の個人に依存しない、持続可能な組織を構築するために欠かせない取り組みの一つです。個々の従業員が持つ知識を組織全体で共有することで、業務効率の向上やイノベーションの促進、属人化の解消などに寄与できるでしょう。
具体的には、社内ポータルサイトなどのツールを導入し、各従業員が容易に知識を共有・検索できる環境を整備する、導入したシステムが効果的に活用されるように利用促進のための施策や運用ルールを策定するなどの取り組みが挙げられます。単にシステムを導入するだけでなく、従業員にとって使いやすく、継続的に利用されるような仕組みを構築することもCKOの役割です。
従業員が知識の蓄積・共有を積極的に行うような意識改革
CKOは、従業員が知識の蓄積や共有を積極的に行うような意識改革を推進する役割も担います。
ナレッジマネジメントを成功させるためには、単にシステムを導入するだけでは不十分であり、従業員の意識改革が必要です。
例えば、ナレッジ共有のメリットや重要性を伝えるための研修の実施、ナレッジ共有を促進するインセンティブ制度の導入などが例として挙げられます。また、ナレッジ共有を称賛する文化を醸成することも重要な役割の一つです。ほかにも、CKOが率先してナレッジを共有する姿勢を示すことも、従業員の意識改革につながるでしょう。
特許権・著作権などの資産の把握・活用
知的財産は、企業の競争力を高める資産となります。そのためCKOは、企業の特許権や著作権などの資産の把握に努め、活用に取り組まなければなりません。
具体的には、企業の知的財産を棚卸しし、どのような知的財産を保有しているのかの把握に努めます。また、保有する知的財産を新しい製品開発やライセンス供与に活用し、収益化を図ることもあるでしょう。
加えて、知的財産の侵害リスクに対する管理もCKOの管轄です。知的財産を守るためのルールや手続きを整え、不正利用や情報漏えいを防ぎます。
CKO(最高知識責任者)に求められる能力・経験
CKOには、主に次のような能力や経験が求められます。
・プロジェクト・従業員の管理能力
・理想や目的を各部署と共有し動かす力
・中長期的なビジョン実現に向けた推進力・胆力
本章では、上記3つの能力・経験について、なぜCKOにその能力や経験が求められるのか解説します。
プロジェクト・従業員の管理能力
CKOに求められる能力・経験として、ナレッジマネジメントに関わるさまざまなプロジェクトや従業員を適切に管理する能力が挙げられます。
これは、ナレッジマネジメントは単独の部署だけで完結するものではなく、全社的な取り組みとして推進する必要があるからです。そのため、業務の推進にあたっては、進行管理や従業員への育成・教育、適切な管理手法の選択など、経営者的な視点を持った管理能力が必要になるでしょう。
理想や目的を各部署と共有し動かす力
CKOには、ナレッジマネジメントの理想や目的を各部署と共有し、組織全体を動かす力も不可欠です。
また、ナレッジマネジメントは一部の従業員だけが取り組むものではなく、全社的な文化として根付かせる必要があります。そのため、単に情報を伝えるだけでなく、共感を呼び、自発的な行動を促すようなコミュニケーション能力も必要となるでしょう。
中長期的なビジョン実現に向けた推進力・胆力
中長期的なビジョンに基づきナレッジマネジメントを推進していく力と胆力も、CKOには欠かせない能力です。
ナレッジマネジメントはすぐに効果が現れるものではないため、中長期にわたり継続的に取り組む姿勢が不可欠です。短期的な成果にとらわれず、途中で困難に直面した場合でも、ビジョン実現に向けて粘り強く推進していく力と胆力は、CKOにとってなくてはならない素養といえるでしょう。
CKO(最高知識責任者)の導入事例
ここでは、CKOの導入事例として、次の3社の事例を紹介します。
・NASA(アメリカ航空宇宙局)
・株式会社フィラメント
・株式会社TBM
NASA(アメリカ航空宇宙局)
NASAで最初の宇宙飛行センターとして設立されたゴダード宇宙飛行センターでは、ミッションの成功を支える学習文化を育み、維持することを主な目的として、OCKO(最高知識責任者オフィス)を設置しました。
またOCKOの設置には、過去のミッションから得られた教訓や重要な知識を組織全体で共有し、将来のミッションに生かすことで、プロジェクトの成功確度を高めるという明確な意図も掲げられています。
具体的な活動としては、プロジェクト管理や技術開発、契約管理といった課題に対処するための教訓を抽出した技術ケーススタディを作成し、プロジェクトチームが自らの経験を反省して、新たな学びを得るための文化形成補助が挙げられます。また、組織全体での学習が促進されるよう、従業員が自由に意見を述べられる環境整備にも取り組んでいるとのことです。
NASAにおけるCKOの導入は、単なる知識管理にとどまらず、全体的な業務効率の向上とミッションの成功を支える基盤となっている様子がうかがえます。特にゴダード宇宙飛行センターでは、CKOが率いるオフィスが学習型組織としての進化を遂げるための中心的な役割を果たしており、中長期的なプロジェクト成功の向上に寄与しているといえるでしょう。
株式会社フィラメント
株式会社フィラメントは、新規事業創出を支援する「伴走型アイディエーションファーム」としての活動を強化するため、2022年4月付で田中悠氏を取締役CKOに任命しました。
本人事戦略は、同社が掲げる「未来と今を誰もが面白がりながら成長できる社会」を実現するため、田中氏の豊富なナレッジと示唆を経営に生かし、企業が社会に提供する価値をさらに向上させることを目的としています。
CKOに就任した田中氏には、経営に寄与する戦略的アドバイスや業務のデジタル化の実現が期待されています。田中氏自身も「面白がりながら成長できる」という理念の実現に対して意欲を述べており、クライアントや社内外の関係者とともに新しい価値を創出することへ前向きな姿勢を示しています。
田中氏は、東京大学大学院修了後、日系シンクタンクを経て2007年にアマゾンジャパン合同会社に入社。小売事業部やサプライチェーン事業部、決済サービス事業部において、アーリーステージ、グロースステージのビジネスを多数手掛けてきました。
2019年には外資系IT企業へ転職すると同時にフィラメント社のフェローに就任しており、クライアント企業の新規事業チームへのメンタリングを担当するとともに、フィラメントにおける経営戦略アドバイスと業務のデジタル化を牽引してきました。
参考:株式会社フィラメント
株式会社TBM
株式会社TBMは、国内外での事業成長と経営基盤の強化を目的として、2024年4月付で経営体制を一新し、国内外での更なる事業成長と経営基盤の強化を目的として、中村友哉氏をCKOに選任しました。
同社が推進する脱炭素と資源循環というテーマは、技術革新や市場動向の変化が激しく、常に最新の情報や知識を収集・分析し、事業戦略に反映していく姿勢が求められます。また、グローバル展開を加速する中で、海外の市場情報や規制動向、技術情報などを的確に把握し、活用していく必要性も高まりつつありました。このような状況下のもと、組織全体の知識を統合的に管理し、事業成長につなげる役割としてCKOが設置されました。
CKOに任命された中村氏は、2008年にアクセンチュア株式会社の戦略グループに入社後、製造業クライアント向けの中期計画策定や市場参入戦略、営業改革、デジタルトランスフォーメーションなど、幅広いプロジェクトを手掛けてきた実績を持ちます。その後、2017年にTBMに入社し、海外市場への展開や新しい用途開発に携わり、同社の成長に貢献してきました。また、SKグループとの資本業務提携や合弁会社の設立にも関与し、グローバルな視点で事業を推進してきた経歴も持ち合わせています。
参考:株式会社TBM
CKO(最高知識責任者)になるには?
CKOは、企業の知識資産を管理し、戦略的に活用する重要な役職であることから、高度な専門知識と経験が求められます。CKOとしての経験がない状態でいきなりCKOのポジションに就くことは難しく、段階的なキャリア形成を通して、必要な知識や経験、スキルを積み重ねていく必要があるでしょう。
CKOを目指すには、情報管理や知識経営、経営戦略、組織論など、幅広い分野の知識と、経営者視点で物事を考えられる経験をバランス良く積み重ねていくことが不可欠です。現職でCKOを目指す場合は、IT部門やプロジェクト管理の業務に携わり、知識資産の創造や共有、活用に関わる業務への理解を深めましょう。
またナレッジマネジメントは、複数の部署や従業員を巻き込むことが多いため、関係者をまとめ、目標達成に向けてプロジェクトを推進していく力が必要となります。そのため、リーダーやマネージャー職に就き、プロジェクトや部門を統括する経験も忘れずに養いましょう。その後、CKO直下のポジション、あるいはナレッジマネジメント部門の責任者など、CKOに近い職務を経験し、CKOの業務内容理解を深めたり、経営視点を養ったりしながらCKOへの昇進を目指します。
転職でCKOを目指す場合は、まず現職で実績とスキルを十分に積み上げ、自身の市場価値を高めましょう。特に、大規模なナレッジマネジメントシステムの導入や運用の経験、グローバル企業でのナレッジマネジメント経験などは、転職市場で高く評価される傾向があります。現職である程度の経験やスキルを養った後は、情報システム部長や経営企画部長など、CKOに近いポジションへの転職を目指しましょう。
ただし、CKOポジションは、企業の知的資産や経営戦略に関わるため、非公開で採用が進められるケースが大半です。そのため、転職活動においては、エグゼクティブ向けの求人を豊富に取り扱う転職エージェントの活用を推奨します。
なお、CKOになるにあたって必要となる資格はありません。しかし、MBA(経営学修士)など、経営学に関する学位や情報技術やナレッジマネジメントに関する資格を有していると、自身の専門知識を対外的に証明できるため、採用選考で評価されることもあるでしょう。
CKOとしての経験を積んだ後は、より規模の大きい企業やグローバル企業でのCKO、CEO(最高経営責任者)などのより上位のポジションを目指すキャリアパス例があります。また、独立してコンサルタントとして活躍する道も目指せるでしょう。
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CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説
これまで経営に携わってきた経験をお持ちの方のなかには、より関心の強い分野やご自身の能力を発揮できる企業でCEOとして会社を牽引していきたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。 CEOへの転職は簡単なことではあり… 続きを読む CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説