「CCO(最高コミュニケーション責任者)ポジションに興味があるけど自分が適しているか分からない…」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、CCOポジションの役割・必要なスキルや導入事例を解説します。
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CCO(最高コミュニケーション責任者)とは?
本章では、CCOの役割と、CCOと略されるほかのCxO職について解説します。
CCOとは、「Chief Communication Officer」の略で社内外のコミュニケーション全般を統括する役職のこと
CCOとは「Chief Communication Officer」の略称であり、日本語では「最高コミュニケーション責任者」と訳されます。CCOは、企業における社内外のコミュニケーション戦略全般を管理する責任者であり、企業のメッセージがステークホルダーに正確かつ効果的に伝わるよう、広報戦略や企業ブランディング、クライシスコミュニケーションなどを統括し、広報活動や社内コミュニケーション、IR、渉外などの活動を推進します。
CCOの役割は、企業のビジョンやミッションの発信を通じて、ステークホルダーと良好な信頼関係を築き、ブランド価値を向上させることにあります。そのため、単に広報活動に従事するポジションではないことを理解しておきましょう。
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CxOとは?CxOの役職一覧やCxO人材へのなり方を解説
「CxOに興味があるけど詳しく役職が分からない…」という方もいるのではないでしょうか。本記事では、CxOの役職やCxO人材になる上でのポイントを解説します。 エグゼクティブ転職を検討中ですか? 今現在、 非公開求人を知り… 続きを読む CxOとは?CxOの役職一覧やCxO人材へのなり方を解説
最高コミュニケーション責任者以外にもある「CCO」
CCOという略称は、「Chief Communication Officer:最高コミュニケーション責任者」以外にも、以下の役職を指す場合があります。
■Chief Customer Officer(最高顧客責任者)
Chief Customer Officerは、企業が提供する顧客体験を最適化する役職です。具体的には、顧客満足度の向上を目指し、サービスの品質改善、顧客のフィードバック収集や活用などを主導します。
特に、顧客ロイヤルティがビジネス成功を左右する企業では、最高顧客責任者の役割が事業活動に大きな影響を与えるでしょう。
■Chief Creative Officer(最高クリエイティブ責任者)
Chief Creative Officerは、企業のクリエイティブ活動を統括し、ブランドイメージや広告表現をはじめとするビジュアル戦略を策定・推進する役職です。広告やデザイン、コンテンツ制作など、クリエイティブに関わるあらゆる活動を監督し、ブランドイメージの向上やメッセージ発信に貢献します。
■Chief Compliance Officer(最高コンプライアンス責任者)
Chief Compliance Officerは、企業内のコンプライアンス(法令遵守)体制を構築・維持する役職であり、法令遵守のための規程策定や研修の実施、内部監査などを担当し、内部統制やリスクマネジメントの強化を通じて、社会的信用を確保する役割を担います。
また、従業員に対するコンプライアンス研修の実施や内部通報制度の整備も最高コンプライアンス責任者の職務に含まれます。
CCO(最高コミュニケーション責任者)という役職が求められる背景
CCOという役職が求められるようになった背景には、次の要因があると考えられます。
・戦略的な関係性広報の重視
・リモートワークの波及によるコミュニケーション希薄化
本章では、上記2つの要因について解説します。
戦略的な関係性広報の重視
CCOは、企業における社内外のコミュニケーション戦略を統括する役職ですが、特に1990年代を境にCCOを必要視する企業が増加しました。
その背景として、市場が成熟し、消費者がプッシュ型の広告への不信感を抱くようになった一方で、ニュース性を持つ広報活動や戦略的な関係性広報への信頼が高まったことが挙げられます。このような環境変化に対応するため、企業は単なる広告活動にとどまらず、顧客や社会全体との信頼関係を築くことを目的とした関係性広報に取り組むようになりました。
その結果、関係性広報を統括する責任者として、CCOが求められるようになったと考えられます。
出典:「戦略的広報とチーフオフィサーの役割の変化」(日本広報学会)
リモートワークの波及によるコミュニケーション希薄化
リモートワークの波及によるコミュニケーションの希薄化もCCOが求められるようになった一因です。オフィスでの対面コミュニケーションが減少する環境下においては、従業員間の情報共有不足や一体感の喪失、企業文化の浸透不足などが懸念視されるようになりました。
CCOは、そういったリモートワークの波及によるコミュニケーションの希薄化を防止・改善するため、オンラインミーティングの活用や情報共有プラットフォームの整備、社員間の交流を促進する取り組みなどを実施し、従業員が企業のビジョンやミッションに共感することで、結束力を持って業務に取り組める支援を行っています。
CCO(最高コミュニケーション責任者)が担う主な役割
本章ではCCOが担う、次の5つの役割について解説します。
・パブリックリレーションの課題特定
・企業の経営理念や事業方針発表などPR活動の実施
・記者会見等の対外的なコミュニケーション最適化
・外部メディアとの関係性構築
・インナーブランディング
パブリックリレーションの課題特定
CCOの主な役割の一つに、企業のパブリックリレーション(PR)活動における課題を特定し、効果的な解決策を提案することが挙げられます。効果的なPR活動を行うためには、現状の課題を正確に把握し、改善策を講じなければなりません。
CCOは、ブランドイメージや社会的評価に影響を及ぼす外部要因を分析し、導き出された数値や推察される影響や要因から企業のPR活動における強みと弱みを明確にします。その上でPR活動の目標を設定し、最適な戦略を設計します。
企業の経営理念や事業方針発表などPR活動の実施
経営理念や事業方針をステークホルダーに効果的に伝えるPR活動を主導することもCCOの役割に含まれます。
PR活動は、企業が目指す方向性や社会に提供する価値をステークホルダーに伝える重要な機会であり、ステークホルダーとの信頼関係を構築する上で不可欠な取り組みです。具体的には、プレスリリースや報道発表、イベントの開催などを通じて企業の活動や経営層のメッセージを広く社会に発信し、企業イメージや認知度の向上に貢献します。
記者会見等の対外的なコミュニケーション最適化
記者会見やインタビューなど、対外的なコミュニケーションの最適化もCCOが担う役割の一つです。対外的なコミュニケーションは、企業の印象を大きく左右することもあるため、CCOは発信するメッセージが適切であるか、誤解を招く表現がないかなどを確認し、対象者に合わせた発信戦略を立案します。
外部メディアとの関係性構築
外部メディアとの良好な関係を築き、企業の広報活動をスムーズに進められる報道環境を整えることもCCOの職務に含まれます。報道機関や業界メディアと良好な関係を築くことで、企業メッセージの発信力を高められるでしょう。また、情報の発信は、メディアの特性に合わせた戦略が不可欠です。そのため、より効果的な情報発信ができるよう、各メディアの特性を理解することもCCOの役割です。
インナーブランディング
CCOは、従業員がブランドの一員として自覚を持ち、企業のビジョンや価値観に共感できる環境を整えるインナーブランディングにも注力します。従業員一人ひとりが企業の理念やビジョンを理解し、共感していなければ、外部に対して一貫したメッセージを発信することはできません。
そのため、CCOは、社内報の発行や社内イベントの企画・運営、社内SNSの活用などに取り組み、従業員がブランドのアンバサダーとして活躍できるよう働きかけます。
CCO(最高コミュニケーション責任者)に求められる能力・経験
CCOには、主に次のような能力や経験が求められます。
・事業・組織への深い理解と当事者意識
・組織内外のステークホルダーとのコミュニケーション力
・中長期でPR活動の効果検証を回す胆力
・発信に対する倫理観・危機管理能力
本章では、上記4つの能力・経験について、なぜCCOにその能力や経験が求められるのか解説します。
事業・組織への深い理解と当事者意識
CCOには、企業の事業や組織、理念への深い理解が求められます。その理由として、効果的なコミュニケーションを実施するためには、企業の全体像を正確に把握し、自社の強みや弱み、課題などを理解している必要があるからです。また、経営層の一員として、自らが企業の「顔」として発信する場面も多いため、当事者意識も求められるでしょう。
このように、CCOには自ら経営陣との密な連携を通じて経営戦略を理解する、各部門の業務内容や課題の把握に努める、従業員とのコミュニケーションを通じて企業文化を理解するなど、自ら事業や組織の理解を深める姿勢が求められることを理解しておきましょう。
組織内外のステークホルダーとのコミュニケーション力
CCOには、社内外のさまざまなステークホルダーと良好な関係を構築するための高いコミュニケーション能力が不可欠です。
社内に対しては経営陣と従業員の橋渡し役となり、ビジョンや理念を従業員に浸透させます。一方、社外に対しては、メディアや取引先と協力し、企業イメージやブランド価値を向上させる役割を担います。
このようにCCOは、異なる背景やニーズを持つ多様な相手とコミュニケーションを取るため、明瞭かつ簡潔に情報を伝える能力はもちろん、相手の意図を正確に理解する傾聴力や異なる意見や立場を調整する交渉力、良好な人間関係を築くための社交性など、多様なコミュニケーション能力が求められるでしょう。
中長期でPR活動の効果検証を回す胆力
CCOの業務は短期的な成果が見えにくい場合が多いため、中長期的な視点でPR活動の効果を検証し、改善を繰り返していく胆力が求められます。
短期的な結果に振り回されず、中長期的な視点で物事を考えられる我慢強さや困難な課題にも物怖じせずに立ち向かう気概は、CCOに不可欠な素養といえるでしょう。
発信に対する倫理観・危機管理能力
CCOには、情報発信に対する高い倫理観を持っていなくてはなりません。なぜなら、企業が発信する情報は、社会に大きな影響を与える可能性があり、倫理観に欠けた情報の発信は、企業の信頼を大きく損なう恐れがあるからです。
また、トラブルやリスクを未然に防ぐ先見性や炎上リスクに直面した際に、迅速かつ適切に対応する危機管理能力も、CCOに不可欠な資質となります。
CCO(最高コミュニケーション責任者)の導入事例
ここでは、CCOの導入事例として、次の3社の事例を紹介します。
・株式会社Sansan
・株式会社マネーフォワード
・株式会社GA technologies
株式会社Sansan
Sansanは、社員数2,000名に迫る組織拡大にともない、創業時から大切にしてきたクリエイティブとブランディングをさらに強化し、企業価値向上につなげていくことを目的にCCOを設置し、室健氏を執行役員兼CCOとして迎えました。
CCOの設置にあたっては、経営視点の一貫性のあるメッセージを発信するべく、従来分かれていたHRコミュニケーション室とコーポレートブランディング室を統合し、CCOを中心とした新たな体制を構築しました。
新たにCCOに就任した室氏のミッションは、社内外のコミュニケーション活動を統括し、一貫したブランディングを推進することです。特に、社内外のステークホルダーとのタッチポイントにおいて、Sansanらしい体験を提供し、ファンを増やしていくこと、そして、社員が「この会社を選んでよかった」と感じ、社員同士の絆が深まるような社内コミュニケーションの推進が期待されています。
CCOに就任した室健氏は、新卒で大手広告会社に入社し、19年間にわたりPR戦略の立案やグローバル企業のキャンペーン設計、海外エージェンシーのM&Aなど、多様な経験を培ってきました。広告業界での幅広い実績をもとに、コミュニケーションを通じて事業成長に貢献してきたキャリアが評価され、2022年にSansanへと転職し、CCOに就任しました。
参考:株式会社Sansan
株式会社マネーフォワード
同社の子会社であるマネーフォワードビジネスカンパニー(以下、MFBC)では、2023年6月に山本華佳氏が執行役員CCOに就任しました。本人事戦略の背景には、MFBCが提供するtoB向けプロダクトが二十近くに増加し、組織も500人規模に拡大する中で、情報発信が多岐にわたり、ユーザーやメディアに対して全体像が伝わりにくくなっているという課題が関係していました。そこで、MFBCが実現したい世界観や働く仲間の熱い思いを効果的に届けることを目的にCCOが設置されました。
山本氏は、CCOの役割を「会社・プロダクト・組織・人が持つ情熱や思いを、ステークホルダーの心に響くように届け、その熱によって世の中が少しでも良い方向に向かうことを実現する仕事」と定義しています。MFBCのプロダクトが実現したいビジョンや働く仲間の熱い思いを、ユーザーやメディアなどのステークホルダーに届けることで、共感を呼び、より良い社会を創っていくことを目指しているとのことです。
山本氏は、2014年にマネーフォワードに入社後、営業部門を中心に活躍し、スタートアップ企業のコンサルティング業務やファンドの組成といった新しいチャレンジも経験しています。
参考:株式会社マネーフォワード
株式会社GA technologies
GA technologiesは、事業規模が拡大し、プロダクトやサービスの数が増加する中、顧客体験やブランド価値の一貫性を確立する必要性に迫られていました。また、組織の急激な成長にともない、社内コミュニケーションの強化や文化醸成の重要性が増したこともあり、2020年12月に同社で社内外におけるコミュニケーション領域の責任者を担当してきた川村 佳央氏をCCOに任命しました。
CCOに就任した川村氏は、事業成長を加速させるべく、GAテクノロジーズグループ全体のプロダクトやサービスブランド、コーポレートブランド、急拡大する組織の社内コミュニケーションの3種の強化に取り組むとのことです。
川村氏は、学習院大学卒業後、サイバーエージェントに入社し、広告営業や子会社の代表取締役を経験しています。その後、電通に移籍し、コミュニケーションデザイナーとして広告企画やサービス開発に従事しました。2018年にGA technologiesに入社し、「Communication Design Center」のゼネラルマネージャーとして活躍。その後、同社のコミュニケーション領域を管掌する役員として執行役員兼CCOに就任しました。
CCO(最高コミュニケーション責任者)になるには?
CCOは、社内外のコミュニケーション戦略を統括する重要なポジションであり、相応の経験と能力が求められます。そのため、未経験からいきなりCCOに就くことは難しいでしょう。CCOを目指す場合、広報やPR、マーケティング、ジャーナリズムなど、コミュニケーションに関わる幅広い分野の知識と経験を積むことが不可欠です。まずは広報部門やPR会社、広告代理店、メディア企業などでキャリアをスタートし、実務に携わり、基礎となる知識と能力を築いていきましょう。
現職でCCOを目指す場合は、広報部門などで実務を経験した後、リーダーポジションに就き広報戦略やコミュニケーション戦略に関するプロジェクトを牽引する経験を積みます。その後、広報部門長などのポジションに就き、経営戦略に直接関与するコミュニケーション戦略の立案や規模の大きな組織をマネジメントする経験を積みましょう。さらに経営層の直下でより責任範囲の大きいコミュニケーション施策に携わりながら経営視点を養い、最終的にCCOのポジション就任を目指します。
転職でCCOを目指す場合は、まず現職でIRや渉外などの経験と実績を十分に積み上げることが大切です。一定の経験を積んだ後は、CCO候補など、CCOに近いポジションへの転職を目指しましょう。ただし、CCOをはじめとするエグゼクティブポジションは、企業の重要な情報戦略や機密情報に関わるため、非公開で採用が進められるケースが大半です。そのため、転職活動では、エグゼクティブ向けの求人を豊富に取り扱う転職エージェントを活用しましょう。
なお、CCOになるにあたって必須の資格はありませんが、英語をはじめとする高度な語学力は、グローバル企業や海外とのコミュニケーションが多い企業で高く評価されるでしょう。
CCOとしての経験を積んだ後は、より規模の大きな企業のCCOに転職する、上位のポジションであるCEO(最高経営責任者)を目指すなど、いくつかのキャリアパスがあります。また、独立してコンサルタントとして活躍する道もあるでしょう。
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CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説
これまで経営に携わってきた経験をお持ちの方のなかには、より関心の強い分野やご自身の能力を発揮できる企業でCEOとして会社を牽引していきたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。 CEOへの転職は簡単なことではあり… 続きを読む CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説