「CBO(最高ブランディング責任者)ポジションに興味があるけど自分が適しているかわからない…」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、CBOポジションの役割・必要な能力・経験や導入事例などを解説します。
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CBO(最高ブランディング責任者)とは?
本章では、CBOの役割やCBOと混同されることの多い「CMO」との違い、CBOと略されるほかのCxO職について解説します。
CBOとは、「Chief Branding Officer」の略で企業のブランド戦略を立案・実行する役職のこと
CBOは「Chief Branding Officer」の略称であり、日本語では「最高ブランディング責任者」もしくは「最高ブランド責任者」と訳され、企業のブランド価値を最大化するための戦略立案と実行を統括する責任者を指します。
CBOは、消費者や社会が、企業や製品に対してポジティブなイメージを抱くよう、企業理念やビジョンに基づき、ブランド価値向上に努める役割を担います。具体的には、ブランドアイデンティティーの定義やブランドメッセージの開発、ブランド体験のデザイン、ブランドイメージの管理などを推進します。
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CxOとは?CxOの役職一覧やCxO人材へのなり方を解説
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CBOとCMOの違い
CBOと混同されやすい役職として、CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)が挙げられます。両者はブランドやマーケティング活動に関わる点で類似していますが、目的と役割には明確な違いがあります。
CMOは主にマーケティング活動全般を統括する役割を担い、売上向上を目指すためのプロモーション戦略や市場調査、デジタルマーケティングなどに取り組みます。一方、CBOはマーケティング活動を含む全ての企業活動において、ブランド価値の向上に取り組みます。
CMOは短期的な売上向上に寄与する戦略立案を担いますが、CBOはより長期的な視点を持った売上向上を目指し、ブランドの確立と維持に努めます。
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CMO(最高マーケティング責任者)とは?役割・必要な能力や求人・転職情報を解説
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最高ブランディング責任者以外にもある「CBO」
CBOという略称は、「Chief Branding Officer:最高ブランディング責任者」以外にも、以下の役職を指す場合があります。
■Chief Business Officer(最高ビジネス責任者)
Chief Business Officer(最高ビジネス責任者)は、主に事業全般の戦略を統括する役職であり、新規事業開発や収益最大化、パートナーシップ構築を主導します。企業全体のビジネス戦略を推進し、収益向上に貢献します。
■Chief Breakthrough Officer(新規事業創出責任者)
Chief Breakthrough Officer(新規事業創出責任者)は、既存の枠にとらわれない革新的な新規事業の創出を推進する役職です。新しい価値を生み出すプロジェクトの推進や既存事業の変革、新規市場の開拓をリードする役割を担います。
CBO(最高ブランディング責任者)という役職が求められる背景
ここでは、CBOが多く企業で求められるようになった、次の3つの背景について解説します。
・モノや情報が飽和し機能的価値が同質化してきているため
・働く価値観の多様化や社員獲得競争の激化
・持続的な競合優位性を確立し企業価値を向上させるため
モノや情報が飽和し機能的価値が同質化してきているため
モノや情報が飽和状態にある現代社会では、製品やサービスの機能的な価値だけでは差別化が図りにくくなってきています。また消費者は、単に機能的な価値だけでなく、ブランドが持つストーリーや世界観、共感性といった情緒的な価値を重視するようになりました。
このような市場や消費者動向の変化にともない、会社や商品のブランド力を強化し、競合他社との差別化を図る取り組みが必要とされるようになりました。そのためCBOは、ブランドが持つ無形の価値を最大化する戦略を主導し、競争市場でのポジショニングを強化する役割を担うことから、多くの企業で求められるようになったと考えられます。
働く価値観の多様化や社員獲得競争の激化
働く人々の価値観が多様化し、社員獲得競争が激化していることも、CBOが求められる背景の一つとして挙げられます。
近年、求職者の企業選びの基準が一昔前と変化しており、企業の理念やビジョン、社会的責任への取り組みを重視する働き手が増えつつあります。そのため、CBOは、企業ブランドを社内外に浸透させる役割を担っていることから、企業が掲げるビジョンやミッションを明確にし、ブランド戦略を通じて、企業文化に共感する優秀な働き手を引きつける力が求められています。
持続的な競合優位性を確立し企業価値を向上させるため
企業が持続的な競合優位性を確立し、企業価値を向上させるためには、短期的なマーケティング施策だけでは不十分です。長期的な視点に立ったブランド戦略も必須となるでしょう。
CBOは、経営戦略と連動したブランド戦略を立案・実行することで顧客からの信頼と支持を獲得し、企業全体の評価を高めます。結果的に、競争の優位性に寄与する企業ブランド価値の向上にも大きく貢献するでしょう。
CBO(最高ブランディング責任者)が担う主な役割
ここでは、次の4つのCBOが担う主な役割について解説します。
・経営戦略に基づくブランドアイデンティティー・ビジョンの策定
・企業・事業・製品の一貫したブランドイメージの構築
・インナーブランディング
・アウターブランディング
経営戦略に基づくブランドアイデンティティー・ビジョンの策定
CBOの役割の一つとして、経営戦略に基づき企業のブランドアイデンティティーとビジョンを策定することが挙げられます。ブランドは企業の存在意義や目指す方向性を表現するものであり、経営戦略との整合が求められます。
具体的には、企業の理念やビジョンを明確に定義するとともに、市場調査や顧客インサイトをもとにブランドの方向性を決定します。その上でブランドメッセージやロゴ、カラー、トーンなど、ブランドの基礎的な要素を決定し、企業全体で統一されたブランドイメージを構築します。
企業・事業・製品の一貫したブランドイメージの構築
CBOは、企業全体や事業部門、個々の製品に至るまで、一貫したブランドイメージを構築する役割も担います。各商品や体験におけるブランドイメージが一貫していなければ、ブランドに対するイメージに混乱が生じ、消費者の信頼を損なう懸念があります。
そのためCBOは一貫したブランドイメージを構築するため、ブランドロゴやデザイン、メッセージ、訴求スタイルなどを統一し、あらゆる顧客接点において一貫したブランド体験の提供に努めます。具体的には、広告キャンペーンやプロモーション、SNS活動など、あらゆるタッチポイントにおいて、ブランドの一貫性を保つよう管理します。
インナーブランディング
社内におけるブランディング活動、すなわちインナーブランディングもCBOの重要な役割の一つです。
従業員はブランドを体現する存在でもあり、従業員がブランドを理解し、共感していなければ、外部に対して一貫したメッセージを発信することはできません。
CBOは、組織全体で一貫したブランド体験を提供するための基盤を構築するべく、企業理念やビジョンを従業員に浸透させるための研修やイベントを実施したり、社内コミュニケーションツールを活用してブランドメッセージを発信したりするなどの施策を講じます。このようなCBOの働きかけにより、従業員がブランドアンバサダーとしての役割を果たすことも可能になるでしょう。
アウターブランディング
アウターブランディングは、外部のステークホルダーに対してブランドの価値を伝えるための活動を指し、CBOは広告やPR、デジタルマーケティングなどを通じて、ブランド認知度の向上やブランドイメージの醸成を図ります。
具体的には、広告や広報、イベント、Webサイト、SNSなどを活用して、ブランドメッセージを発信し、ブランドイメージを構築します。また、市場調査や競合分析を行い、ターゲットに適した戦略を策定し、実行することもCBOのアウターブランディング業務に含まれます。
これらの活動を通じて顧客の認知度と好感度を高め、競争優位性の確保に努めます。
CBO(最高ブランディング責任者)に求められる能力・経験
CBOには、主に次のような能力や経験が求められます。
・経営視点での課題発見・課題設定力
・戦略的・論理的思考
・マーケティングスキル・クリエイティブスキル
・リーダーシップ・推進力
・市場・競合・顧客の変化などへの適応能力
本章では、上記5つの能力・経験について、なぜCBOにその能力や経験が求められるのか解説します。
経営視点での課題発見・課題設定力
CBOには、経営視点でブランド課題を発見し、定義する能力が求められます。なぜなら、ブランド戦略は経営戦略と密接に連動しており、経営全体の視点からブランド課題を捉えなければ、効果的な戦略を立案できないからです。
具体的には、市場環境の変化や競合の動向、顧客ニーズの変化などを分析し、ブランドが抱える課題の明確化に努めたり、ブランド価値を向上するための戦略を立案したりします。単に課題を発見するだけでなく、実現可能な目標を設定するスキルも求められるでしょう。
戦略的・論理的思考
ブランド戦略の構築にあたっては、戦略的かつ論理的な思考が不可欠です。ブランド戦略は、企業の長期的な成長を支える重要な施策であり、場当たり的な対応ではなく、市場分析や競合分析、顧客分析などの多角的な要素に基づいた、論理的な計画と実行が求められます。また、複数の選択肢を比較・検討し、最適な戦略を選択する能力も必要になるでしょう。
さらに、戦略を実行する際には、適切なKPIを設定し、効果測定を行いながら、必要に応じて戦略を修正していく柔軟性も求められます。
マーケティングスキル・クリエイティブスキル
ブランド戦略は、マーケティング活動と密接に連携しています。そのため、効果的なブランド戦略を実行するためには、マーケティングに関する幅広い知識と、ブランド表現に関わるクリエイティブなスキルが必要になります。
各スキルや能力を総合的に活用することで、ターゲットに響く効果的なブランディング戦略を立案・実行できるでしょう。
リーダーシップ・推進力
CBOには、関係者を巻き込みながらブランド戦略を推進するリーダーシップと推進力も必須です。ブランド戦略の実行にあたっては、社内外のさまざまな関係者との連携が不可欠であり、社内の各部門と連携し、目標達成に向けて推進していく力が求められるでしょう。
また、広告代理店やデザイン会社などの外部のパートナー企業と連携し、ブランド表現のクオリティを高めることもCBOの役割に含まれます。そのため、関係者と円滑にコミュニケーションを取り合う能力も培っておく必要があるでしょう。
市場・競合・顧客の変化などへの適応能力
CBOには、常に変化する市場や競合他社、顧客のニーズに適応する能力も不可欠です。
その理由として、変化に適切に対応できなければ、時代に後れを取り、競争力を失う恐れがあるからです。そのためCBOは常に、市場調査や競合分析を行い、最新のトレンドや顧客ニーズの把握に努めなければなりません。
また、変化に合わせてブランド戦略を柔軟に見直し、必要に応じて軌道修正していく能力も求められるでしょう。
CBO(最高ブランディング責任者)の導入事例
ここでは、CBOの導入事例として、次の3社の事例を紹介します。
・UUUM株式会社
・ウォルト・ディズニー社
・トヨタ自動車株式会社
UUUM株式会社
UUUM株式会社は、「コンテキストドリブンマーケティング」領域の強化を図るため、2023年6月1日付でCBOを新設し、ByteDance株式会社 執行役員広報本部長の後藤隆之助氏を新たに迎え入れました。
本人事戦略の背景には、PRとクリエイティブの専門性を強化することで、より高度なマーケティングソリューションを提供し、事業の多角化と成長を加速させる狙いがあると考えられます。
CBOに就任した後藤氏には、PRの専門知識とデジタルプラットフォーム事業の知見を生かし、同時期にCCOに就任した丹羽貴紫氏と連携し、クリエイティブとPRの両輪で、UUUMのマーケティングソリューションをエンパワーメントすることが期待されています。
後藤氏は、2002年に株式会社博報堂に入社し、広報・PRの視点からクライアントの課題解決に取り組んできました。その後、2019年にByteDance株式会社に入社し、執行役員広報本部長としてTikTokをはじめとする複数プロダクトの立ち上げと成長に寄与し、ByteDance日本事業の礎を築きました。
参考:UUUM株式会社
ウォルト・ディズニー社
ウォルト・ディズニー社では、世界中のあらゆるタッチポイントで一貫したブランド体験を提供し、各事業の相乗効果を最大化することを目的として、創立100周年に先駆けて新たに設置したCBOにアサド・アヤズ氏を任命しました。
現在アヤズ氏は、コンテンツと消費者体験を統合した包括的なブランドマーケティングキャンペーンの実施、社内外でのブランド活性化、デジタルおよびソーシャル戦略の策定、企業提携とパートナーシップの監督、企業間の相乗効果とフランチャイズの優先順位の設定など、非常に広範囲にわたる業務を担当しています。さらに、パーソナライズされたダイナミックな消費者体験の提供に焦点を当て、グローバルな消費者調査と分析も統括しているとのことです。また、ウォルト・ディズニー・スタジオとDisney+のマーケティングプレジデントとして、映画や配信コンテンツのグローバルマーケティング戦略全般を監督する役割も担っています。
CBOとマーケティングプレジデントを兼務する理由としては、ブランド戦略とマーケティング戦略を一体化することで、より効果的なブランド構築と事業成長を目指している背景があると考えられます。
アヤズ氏は、20年近くディズニーに在籍するベテランであり、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『ブラックパンサー』、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』など、歴史上最も成功したといわれる映画のマーケティングキャンペーンを主導してきました。さらに、ウォルト・ディズニー・カンパニーの100周年を祝う世界的なDisney100ブランドキャンペーンも主導した実績を持ちます。
参考:ウォルト・ディズニー社
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)と呼ばれる世界的な自動車業界の大変革期において、従来の「移動手段」を提供する企業から「モビリティ」を通じて人々の生活を豊かにする企業へとトヨタブランドの価値を再定義しています。新しい時代に合わせたブランド構築が急務となっていたことを背景に、2023年にサイモン・ハンフリーズ氏をCBOに任命しました。
同氏のミッションは、自動車メーカーの枠を越えた「次世代モビリティカンパニー」としての認知浸透です。また、トヨタの「グローバルデザイン統括部部長」や「先進技術開発カンパニー統括」など、これまでのキャリアで培った経験を生かし、デザインとブランド戦略を統合した一貫性のあるブランド体験の創造が期待されています。
サイモン・ハンフリーズ氏は、英国のレスターポリテクニック(現デ・モントフォート大学)でインダストリアルデザインを学んだ後、プロダクトデザイナーとしてキャリアをスタートし、1994年にトヨタ自動車に入社しました。同氏は、トヨタのグローバルデザイン部門で要職を歴任し、デザインを通じたブランド価値向上に貢献した実績を持っています。その後、2018年には常務理事、2019年にはデザイン領域統括部長として、トヨタのデザイン戦略をグローバルに推進してきました。
参考:トヨタ自動車株式会社
CBO(最高ブランディング責任者)になるには?
CBOは、企業のブランド戦略を統括する重要なポジションであり、相応の経験と能力が求められるため、未経験からいきなりCBOのポジションに就くことは難しいでしょう。CBOのポジションに就くためには、段階的なキャリア形成を通して、必要な知識や経験、スキルを身に付けていくことが不可欠です。
CBOを目指す際は、マーケティングやクリエイティブに関する知見のほか、経営に関する幅広い知識と経験が不可欠です。現職でCBOを目指す場合は、マーケティング部門や広告代理店、デザイン会社などで実務経験を積み、ブランド構築に関する業務理解を深めましょう。また、クリエイティブ部門でアートディレクターやコピーライターとして経験を積むことも、ブランド表現に関する知識を学ぶ上で有効です。
さらにチームを管理するポジションに就き、リーダーシップスキルや戦略的思考を磨きましょう。続いてCBO直下やCBOに近い職務を担い、CBOの役割や業務内容を理解したり、経営視点を養ったりしながらCBOへの昇進を目指します。
転職でCBOを目指す場合は、まず現職で実績とスキルを十分に積み上げ、自身の市場価値を高めることが重要です。その後、CBO候補やブランドディレクターなど、CBOに近いポジションへの転職を目指しましょう。CBOは、企業の重要な戦略や機密情報に関わるポジションため、非公開で採用が進められるケースが一般的です。そのため、転職活動では、エグゼクティブ向けの求人を豊富に取り扱う転職エージェントを活用しましょう。
なお、CBOを目指すにあたって必要な資格はありませんが、MBA(経営学修士)など経営学に関する学位やマーケティング関連の資格を持っていると、専門知識を有していることを証明できるため、採用選考において評価される場合があります。
CBOとしての経験を積んだ後は、より規模の大きい企業のCBOに就く、CEO(最高経営責任者)を目指すなどのキャリアパス例が挙げられます。また、独立してブランドコンサルタントとして活躍する道もあるでしょう。
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CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説
これまで経営に携わってきた経験をお持ちの方のなかには、より関心の強い分野やご自身の能力を発揮できる企業でCEOとして会社を牽引していきたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。 CEOへの転職は簡単なことではあり… 続きを読む CEOとは?転職動向や転職事例、求められる実績などを解説