CAO(最高管理責任者)とはどんな役職?役割・必要な能力や求人・転職情報を解説

公開日:2025/01/22 / 最終更新日: 2025/02/12

「CAO(最高管理責任者)ポジションに興味があるけど自分が適しているか分からない…」という方もいるのではないでしょうか。

本記事では、CAOポジションの役割・必要な能力や求人・転職情報を解説します。

 

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本章では、CAOの役割と、混同されることの多い「CFO」との違いや同じ表記をするChief Analytics Officer(最高分析責任者)の役割について解説します。

CAOとは、「Chief Administrative Officer」の略称であり、日本語では「最高管理責任者」または「最高総務責任者」と訳されます。
人事や法務、経理、総務など、バックオフィス機能を総合的に管理・運営する責任者であり、管理部門の連携強化や経営戦略を支える基盤構築などを通じて、企業の持続可能な成長をサポートします。また、リソースの最適化や業務プロセスの改善に取り組み、企業全体の生産性向上を目指します。

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CAOと混同されやすい役職として、CFO「Chief Financial Officer(最高財務責任者)」が挙げられます。CFOは財務戦略の策定や資金調達、財務計画、投資戦略、財務リスクの管理など、財務課題が伴う経営の意思決定を促す役割を担います。また、株主や投資家などのステークホルダーに対して、透明性を担保した財務状況の報告を実施することもCFOの職務に含まれます。

一方で、CAOは財務を含む管理部門全体を管理する役割を担い、中でも人事や総務、法務などの非財務的な分野を統括する傾向があります。CAOが経営基盤の構築を担うのに対し、CFOは財務面から経営の安定化と成長を支えます。

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CAOは、「Chief Administrative Officer(最高管理責任者)」以外にも、「Chief Analytics Officer(最高分析責任者)」を指す場合があります。
Chief Analytics Officer(最高分析責任者)とは、データ分析やビジネスインテリジェンスを統括する役割を担うポジションを指し、データドリブンの経営を推進したり、AIや機械学習などの最先端技術を活用したりして、企業の競争力を高める役割を担います。


ここでは、CAOが求められるようになった、次の3つの背景について解説します。

・企業に求められる管理業務の高度化
・コンプライアンス・コーポレートガバナンスの重要性向上
・特にスタートアップにおけるCEOの負担軽減

CAOが求められるようになった背景の1つとして、企業に求められる管理業務が高度化している点が挙げられます。
デジタル化やグローバル化の進展にともない、管理部門が果たすべき役割はより高度化し、従来の人事や総務といった枠を越えた戦略的な管理が求められるようになりました。特に企業の持つリソースを効率的に活用するためには、管理業務を最適化するだけでなく、部門間の連携を促進する仕組みづくりも欠かせません。
このように企業が対応すべき管理業務が複雑化・高度化しつつあることから、専門的な知識と経験を持ったCAOによる管理体制の強化が必要視され、結果的に多くの企業がCAOを求めるようになりました。

コンプライアンスやコーポレートガバナンスの重要性が高まっていることも、CAOが求められるようになった一因です。特にESG(環境・社会・ガバナンス)への注目が高まる中で、社会的な責任を果たす企業姿勢が投資家や消費者から注目されるようになりました。
その点、CAOは、企業のコンプライアンス体制を統括し、リスク管理や内部監査を含めた健全なガバナンスを確立する役割を担います。CAOの取り組みは適切な内部統制の構築やリスク管理の徹底にも寄与し、企業の持続的な成長をサポートするでしょう。

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スタートアップ企業では、CEOの負担軽減を目的にCAOを設置するケースも少なくありません。
特に急成長を遂げるスタートアップ企業では、CEOは経営戦略の立案や実行だけでなく、管理業務にも時間を割かざるをえない状況にあり、本来の役割を十分に果たせないケースが散見されます。

そこで、CAOを配置することで、CEOの負担を軽減し、経営戦略に集中できる環境を整えることができます。特に、スタートアップ企業では柔軟で効率的な管理体制が成長の鍵になることもあり、CAOの設置が組織の成長に直結することもあるでしょう。
このようにCAOは企業の成長基盤を支える存在になることから、スタートアップ企業も含め多くの企業で求められるようになったと考えられます。


本章では、CAOが担う次の主な5つの役割について解説します。

・管理部門全体のマネジメント・強化
・効率的な業務オペレーションの構築
・株主総会や取締役会などの議事録作成・管理
・保管が義務付けられている書類・文書の管理
・内部監査の実施

CAOが担う重要な役割の1つとして、企業の管理部門全体の組織マネジメントを通じて体制強化を図ることが挙げられます。
CAOは、全社的な効率向上とリスク管理の強化を目指し、総務や人事、法務、ITなど、各部門が個別に遂行している業務を横断的に管理します。また、各部門の連携強化を図り、効率的な運営体制を構築するのもCAOのマネジメント業務に含まれるでしょう。

管理業務全体の効率化を図るために、業務プロセスの見直しや最適化を行うのもCAOの職務の1つです。
具体的には、デジタルツールの導入や業務の標準化、アウトソーシングの活用などを推進し、反復的な業務を自動化することで、社員がより戦略的な業務に注力できる環境を整えます。効率的なオペレーションの構築により、コスト削減だけでなく、業務の正確性やスピードも向上するでしょう。

株主総会や取締役会での議事録作成および管理も、CAOが担う職務です。
CAOは、株主総会や取締役会が法令にのっとって運営されるよう監督し、議事録を正確に記録・保管したり適切な情報開示を行ったりします。
企業の透明性の担保とガバナンス強化に直結する重要な職務であり、本業務の遂行にあたっては会社法など関係法令の知識が求められることもあります。

CAOは、契約書や法定帳簿、労務関連の記録など、保管が義務付けられている文書の管理責任も担います。
法令や業界の基準、社内で定めた規則などに基づき、適切な方法で管理・保管に努めます。また、必要に応じて文書を迅速に取り出せる体制を整備したり、適切な管理システムを構築したりすることもCAOの役割の一つです。

CAOは内部監査を実施し、業務への適正やリスク管理体制の有効性を評価することもあります。内部監査は、企業内の不正やリスクを未然に防ぎ、企業のリスク管理体制の強化に貢献します。また、企業の透明性を高め、健全な経営維持にも寄与するでしょう。
内部監査の実施にあたっては、業務が適切に遂行されているかを確認した後、経営層への報告や改善提案が行われることもあります。


CAOには、主に次のような能力や経験が求められます。

・経営者の考えを汲み取り言語化し伝播させる力
・内部統制を進める推進力・リーダーシップ
・財務・法務・経理・人事領域それぞれに対する深い知見
・急拡大する組織への対応力・柔軟性

本章では、上記4つの能力・経験について、なぜCAOにその能力や経験が求められるのかを解説します。

CAOには、経営者のビジョンや方針を正確に汲み取り、管理部門の各担当者に分かりやすく伝える能力が求められます。その理由として、経営戦略と管理部門の業務が密接に連携していることが挙げられます。
CAOが経営陣の意図を正確に理解し、現場に落とし込むことで、社員全員が同じ方向に向かって業務に取り組む基盤が整います。もし、経営層の意図が各部門の社員に正確に伝わらなかった場合、方針が形骸化してしまうかもしれません。
CAOは、このようなリスクを回避するため、経営者の考えを具体的な業務計画や指示に落とし込み、部門間での共通理解を促す役割を担います。ときには、経営陣と現場社員との間に立ち、双方の意見を調整し、円滑なコミュニケーションを促進することもあるでしょう。

内部統制の強化は、企業の透明性やガバナンスを向上させるために欠かせない取り組みです。しかし内部統制を強化するためには、関係者を巻き込みながら企業の健全な運営を支える仕組みを構築・運用する推進力やリーダーシップ力が不可欠です。
また、内部統制を推進する際は、法令遵守やリスク管理、業務効率の向上など、さまざまな革新に取り組まなければならないこともあります。そのため、幅広い業務を包括的に推進する能力も求められるでしょう。

CAOには、財務や法務、経理、人事といった各分野に関する深い専門的な知見も不可欠です。例えば、人事部門では多様な働き方への対応、法務部門ではコンプライアンス体制の強化、財務部門では予算管理や資金調達の最適化など、それぞれの課題に対する実効的な指示が求められます。
全ての分野において専門家レベルの知識が求められることはありませんが、各分野の基本的な概念や業務プロセスを理解していれば、部門ごとに応じた適切な指示や判断が可能になるでしょう。

企業が成長する過程においては、組織体制や業務プロセスが変更されることも珍しくありません。また、組織の拡大にともない、さまざまな課題が発生することも想定されます。そのため、CAOには予測不能な課題に柔軟に対応し、変化する組織構造や業務プロセスにも迅速に適応できる能力が求められるでしょう。
さらに、変化を恐れず、積極的に新しいことに挑戦する姿勢も不可欠です。過去の成功体験にとらわれず、常に最適な方法を模索し、変化をチャンスと捉えて組織の成長に貢献できる姿勢が重要となってくるでしょう。


ここでは、CAOの導入事例として、次の3社の事例を紹介します。

・株式会社Grand Central
・株式会社ユーグレナ
・株式会社Acompany

株式会社Grand Centralは、管理統括と人事領域の強化を目的に、2024年11月に中家一稀氏をCAOに任命しました。
本人事戦略の背景には、同社が掲げる「経済社会に灯火を」というビジョンを実現するため、組織体制を強化し人的資本経営を推進することで、顧客への貢献を最大化しようとする様子がうかがえます。
CAOに就任した中家氏のミッションは、コーポレート部門全体の強化や採用と育成の強化を通じて、ほかに類を見ない組織を創り上げていくことです。単なる人事制度の整備にとどまらず、人材育成や組織文化の醸成に取り組み、企業の持続的な成長を支える基盤構築を目指します。

中家氏は、慶應義塾大学を卒業後、株式会社キーエンスおよび株式会社リクルートでの勤務を経て、独立後に組織コンサルタントとして約100法人以上の教育・研修プロジェクトに携わった実績を持ちます。
2022年にGrand Centralに参画し、セールスデベロップメント事業の管理や新規事業の立ち上げ、バックオフィスの整備など、幅広い分野で成果を上げてきました。多様な経験や実績が評価され、2024年に取締役CAOに就任し、全社的な戦略推進に貢献しています。

参考:株式会社Grand Central

株式会社ユーグレナは、創業当初、社員数30名規模の単一企業として運営していました。しかし、現在では売上高やグループ企業数、社員数が数十倍に拡大。組織の急成長にともない、M&Aを含む多岐にわたる事業展開を支える管理体制が求められるようになったことから、2023年4月1日付で須佐大介氏が執行役員CAOに就任することになりました。

須佐氏はCAOとして、グループ全体のバックオフィス機能の統合や業務品質向上を図り、経営効率の最大化を推進しています。特に、「人と地球を健康にする」という同社のパーパス実現を、管理部門から支える役割が期待されています。

須佐氏は、2011年にユーグレナに入社以来、経理、人事、総務、法務など、幅広い管理部門の責任者を歴任しました。また、永田暁彦取締役代表執行役員CEOは、「須佐氏は同社の上場時から企業成長を支えてきた人物であり、『ユーグリズム』を理解していることから、組織規模が拡大しても安心して事業を進められる」と評価しています。

参考:株式会社ユーグレナ

株式会社Acompanyは、「2035年までに世界No.1の偉大なプライバシーテックカンパニーになる」というBHAG(大胆かつ野心的な目標)を掲げており、BHAGの実現に向けて組織体制の強化と事業拡大を推進しています。成長著しい業界環境に対応するため、経営管理体制を強化し、安定的な組織運営を確立する目的で嵯峨﨑隼大氏を執行役員CAOとして選任しました。

CAOに就任した嵯峨﨑氏には、Acompanyの成長を支える組織運営の基盤構築が期待されています。また、同氏は、Acompanyが大切にしているバリュー「Be Cool. Be Hacker.」と、カルチャー「妥協しない。選ばれる会社を自分たちで。」を実現する社内制度設計も継続すると表明しており、企業文化の醸成や浸透に対する貢献にも意欲を示しています。

嵯峨﨑氏は、慶應義塾大学卒業後、三菱UFJ銀行での法人営業やスタートアップ支援を経て、2023年にAcompanyに入社しました。銀行勤務時代は、愛知県内のスタートアップ支援や自治体×金融機関によるプロジェクト運営に従事するなど、幅広い経験を積んでいます。Acompanyではコーポレートマネージャーとしてバックオフィスを統括し、広報業務にも携わりながら、会社運営の基盤整備を推進しました。
これらの経験が評価され、2024年2月に執行役員CAOに就任。
「2035年までに世界No.1のプライバシーテックカンパニーになる」という企業目標を実現するため、同社のビジョンに沿った経営基盤の構築に尽力しています。

参考:株式会社Acompany


本章では、CAOの最新転職・求人情報を紹介します。

>>株式会社内村:コーポレート部門統括 ※イタリア駐在ポジション

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年1月最新)

本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。CAOをはじめとするエグゼクティブ求人は、競合他社に事業戦略や方針などの機密情報が洩れることを懸念視し、非公開で採用を進めるケースが大半です。
そのためCAOに関する求人情報を知りたい場合は、JACなどエグゼクティブポジションの求人を豊富に取り扱う転職エージェントの利用をおすすめします。

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CAOに就くためには、財務や法務、人事、IT、リスク管理など経営全般に関する深い知識や経験が不可欠です。また、CAOには組織全体を統括するリーダーシップ力も求められます。
そのため、CAOを目指すにあたっては、まず人事や法務、経理、総務など分野で業務経験を重ね、専門知識を習得したり実務を経験したりする必要があるでしょう。その後、管理職に就き、マネジメントスキルを磨くことが、CAOへのステップアップにつながります。さらに、部門全体を統括するポジションで戦略立案や予算管理など、より上流の業務に携わり、経営者としての視点や考え方を学びます。

転職でCAOを目指す場合は、まずCAO候補、あるいはCAOと同等レベルの管理業務を担うポジションへの転職を目指しましょう。CAOは、企業の重要な戦略や機密情報に関わるポジションのため、非公開で採用が進められるケースが大半です。そのため、転職活動では、エグゼクティブ向けの求人を豊富に取り扱う転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントは、CAOに関連する非公開求人を紹介してくれるだけでなく、キャリア相談や選考対策などのサポートも提供してくれるため、転職活動を効率的に進められるでしょう。

なお、CAOになるために必要な資格はありません。
ただし、経営学や法学、会計学などの関連分野の学位、公認会計士や税理士、社会保険労務士などの資格を持っていると、各分野の専門知識を有していることを証明できるため、採用選考において有利になることもあるでしょう。
CAOとしての経験を積んだ後は、CEOなど上位ポジションへの昇進や、より規模の大きい企業のCAOに転職するなどのキャリアパスを描くことができます。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。