製薬会社の品質管理とは?求人情報、年収相場などを解説

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公開日:2024/10/17 / 最終更新日: 2024/11/12

製薬会社における品質管理は、医薬品の品質をさまざまな試験により確認し、消費者に安全で効果的な薬を提供するために欠かせない業務です。
近年、製薬業界では品質管理の重要性がさらに高まり、転職市場でも品質管理職のニーズが増加しています。
ここでは、製薬会社における品質管理職の役割や最近の転職動向、必要なスキル、キャリアパスなどの基本的なことから、製薬業界未経験者の転職の可能性や転職成功のためのポイントなどについて、JAC Recruitment(以下、JAC)のヘルスケア領域専任コンサルタントが解説します。

製薬会社の品質管理とは?役割を解説


製薬会社における品質管理(QC: Quality Control)職の役割は、医薬品の品質を確保し、消費者に安全かつ効果的な薬を提供することにあります。

具体的には、薬の成分や形状、溶解性、効果持続性などを分析し、製造された医薬品が規格どおりであるかを確認する作業が中心です。

この作業には、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やガスクロ、安定性試験、微生物試験など、多くの試験手法が用いられます。

品質管理は、上流工程である試験法開発や研究部門によって作成された試験レシピに基づき、決められた手順どおりに行われます。
またそのため、製薬業界特有の試験として、人体への影響を考慮した溶出試験やGMP(製造管理および品質管理基準)に基づく厳格な試験が存在します。これが転職をする上で、他業界との大きな違いです。

製薬会社の品質管理 求人動向


製薬会社における品質管理職の重要性は年々増しており、特に日本政府がジェネリック医薬品の使用率を80%に引き上げようとする動きから、品質管理自体の強化が求められています。

過去には、複数の企業で品質管理に関する不正が明るみに出たため、業界全体で信頼の向上を図る動きが強まっています。この背景から、製薬会社における品質管理職の求人は増加しており、企業規模を問わず採用ニーズが高い状況です。

さらに、近年ではライフサイエンス企業や化学・素材などの異業界企業がCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)ビジネスに参入するケースが増えています。これにより、製薬業界における品質管理職の転職市場はさらに活性化し、今後も需要が高まる見込みです。

製薬会社の品質管理 求人検索


現在公開されている製薬会社における品質管理職の求人は下記にて検索が可能です。

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製薬会社の品質管理の転職で求められるスキルや経験・マインドについて


ここでは製薬会社の品質管理職の転職で求められるポイントについてご紹介します。

専門領域のコアスキル

製薬会社の品質管理職では、まず薬学や化学、生物学といったバイオ系の専門知識が必要です。
加えて、GMP(Good Manufacturing Practice)に関する知識も重要で、医薬品の製造や品質管理において欠かせません。

また、分析機器の操作も必須となっており、具体的には以下が挙げられます。

・HPLC(高速液体クロマトグラフィー)
・GC(ガスクロマトグラフィー)
・LC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析計)
・NMR(核磁気共鳴装置)

これらの機器を使用した定量分析や定性分析が必要で、溶出試験・安定性試験・微生物試験など、多様な試験を担当することになります。

加えて、データ管理のスキルがあると、より高い評価を得られやすいです。 ラボ情報管理システムであるLIMS(Laboratory Information Management System)や、品質管理マネジメントシステムとして知られるTrackWise®︎の使用経験があると、さらに評価が高くなるでしょう​。

規律を守る姿勢と柔軟な協調性

マインド面においては、品質管理職は高いコンプライアンス意識を持ち、定められたルールに忠実に取り組む姿勢が必要です。細部に注意を払いながら正確な作業を遂行する仕事であること、医薬品の品質を保証する業務では小さなミスでも大きな問題を引き起こす可能性があることから、緻密さと忍耐力が不可欠になります。

また一方で、コミュニケーション能力も大切な要素です。
品質管理職の業務はチームや他部門、社外のパートナー企業、公的機関の担当者と連携が必要であるため、協調性を持ちつつ、迅速かつ柔軟に対応する姿勢が求められます。

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製薬会社の品質管理の年収相場


製薬会社の品質管理職の年収は、企業規模や役職、領域によって大きく異なります。

一般的な年収相場は、400万円〜500万円程度ですが、JACを経由して転職された方々の平均年収は600万円〜800万円と高めの水準です。特に、大手製薬会社や外資系企業に転職した場合、英語力やマネジメントスキルがあると年収はさらに上がる傾向があります。

以下は、企業規模と年代の観点からの相場感です。

年代大手製薬会社
(内資/外資)
中堅製薬会社
30代600万円〜1000万円500万円〜700万円
40代700万円〜1300万円600万円〜800万円
50代800万円〜1500万円700万円〜1000万円

バイオ医薬品の分野など、専門知識が求められる領域では、さらに高い年収が期待されます。 品質管理職のポジションは企業規模や分野によって年収が下振れることもありますが、マネジメントスキルを持ち、品質保証(QA)業務にも通じていると、年収が向上する可能性があります。

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製薬会社の品質管理職は、そのままキャリアを積み上げて管理職になることも、経験を生かして他職種に転職することも可能です。 ここでは、キャリアパスについて、また、他職種への転職の可能性について、それぞれ解説します。

品質保証職はより俯瞰した立場で品質に関わることができるため、品質管理職からのキャリアアップとして一般的です。
品質管理職で得た試験や分析の経験を生かして医薬品の品質全般に関わるポジションで、GMPに準拠した規制対応や、品質システムの管理、製品のリリースに関わる重要な業務を担当します。

・品質保証職(QA)に転職する際のメリットデメリット

品質保証(QA)職に転職するメリットは、試験業務にとらわれず品質全般的な理解を得ることができることや、俯瞰した位置から業務に従事できること、分析機器がある場所に依存せず働き方が柔軟になることなどです。
デメリットは、デスクワークなど書類を扱う事務作業がメインになること、製造現場と対立した立場で業務に取り組む場合があることです。また、製造現場への出張や、監査対応で社内だけでなく社外の方とも緻密なコミュニケーションを取る必要があります。

分析手法や試験データの知識を生かし、研究開発部門の分析研究職へのキャリアチェンジも考えられます。
分析研究職は、品質管理職として行なっていた試験方法を考える立場になります。

・分析研究職に転職する際のメリットデメリット

分析研究職に転職すると、分析手法の開発業務に自身の経験や考えが反映されるというやりがいが生まれます。
一方、自身が開発を行うことから、常に最新の情報をキャッチアップしながらの、技術や手法の開発と改善が求められます。品質管理職よりも、主体性を求められるポジションです。

製薬会社の品質管理職から上記のような他職種へ転職する際には、必要なスキルや知識を習得する姿勢は必須です。また、いずれの職種も、コミュニケーション能力や主体性を求められる傾向にあります。

スキル面であれば、品質保証(QA)職はオフィスツールを使用した書類の作成やメールのやり取りなどに慣れること、分析研究職なら、データを客観的に見る力や論理的な思考力などが必要です。

職種名は同じであっても、企業規模や内資・外資系の違いによって業務内容には差があります。
転職先の企業文化や業務内容を事前に調査し、自分に合った職場かどうかを確認することも大切です。


未経験から製薬会社の品質管理職に転職するケースは多くはありません。
ただし、化学や化粧品、食品業界の経験で分析機器を使用していた方は転職が可能な場合があります。
最近ではバイオ医薬品の開発も多いため、細胞培養やELISAなど、生物学的手法への知識や経験が評価されています。

未経験者でも採用される背景は、業界全体で品質向上に取り組んでいることが挙げられます。
人員不足によって品質を担保できないケースがないように、品質管理職の採用自体が活発になっているのです。

また、製薬業界の経験がない方でも、入社後には研修や教育ブログラム、場合によってはOJTなど、業務開始までの環境が整えられている企業が多く存在しています。

必要な資格


製薬会社の品質管理職において必須の資格はありません。
ただ、薬剤師免許やGMPに関する資格があると有利になります。 分析機器の操作に関する資格や経験年数、データ解析に関する資格も評価されることがあるため、チェックしておきましょう。

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製薬会社の品質管理の転職を成功させる4つのポイント


製薬会社の品質管理職への転職を成功させるために、意識しておきたいポイントを4つご紹介します。

では、それぞれ解説いたします。

取り扱える分析装置の範囲及びそのスキルレベルを明確にすることが重要です。企業によって異なる試験手法と装置を採用しているため、履歴書や職務経歴書では、これまで利用した経験のある分析機器の名称と使用期間を具体的に記載しましょう。

化学、生物学、薬学など、学生時代に何を専攻していたかを含めてアピールしましょう。 なぜなら、研究対象の分野から話が広がり、実務経験がなくても今後の活躍を期待されて採用に繋がる場合もあるため、職務経歴書には詳細に書くことをおすすめします。

チーム内での活躍や、発揮してきたリーダーシップもアピールすべきポイントです。 部下の指導や育成、プロジェクトの進捗管理、他部門との協業など、成功例を具体的に語れる準備をしておきましょう。

受け身な姿勢で業務に取り組むのではなく、未経験の業務にも過去の経験や事例をもとに積極的に解決策を模索し、実行に移すことも大切です。

面接時は、製薬会社に従事したい理由や想いを伝えることが重要です。たとえスキルがあっても人の健康や命を救うことに対するマインドがなければ採用に至ることは難しいです。製薬会社でのキャリアを志望する動機と、患者中心の価値観を持って業務に取り組む姿勢を語れる準備しておくことが重要です。

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ここでは製薬会社の品質管理職に関して、転職希望者の方からよくある質問についてお答えします。

Q. 未経験でも品質管理職に転職できますか?

A. はい、未経験者でも品質管理職に転職することは可能です。ただし未経験から製薬会社の品質管理職に転職するケースは多くはありません。品質管理に力を入れている企業が多いため、食品・化学・化粧品業界で同様の経験がある方は採用される可能性があります。
また、企業側が研修や教育プログラムを充実させているため、未経験でもスムーズに業務に適応できる環境が整っており、入社後の不安は軽減されることが多いです。

Q. 30代後半で公式なマネジメント経験はないのですが次の転職で管理職になることは可能でしょうか?

A. 企業の状況によるものの、プロジェクトをリードした経験があれば可能な場合があります。
チームにおいて、納期・コスト・役割分担などを担当した経験がある、プロジェクト全体を見て、こういった思考や工夫を持って取り組んだなど、具体的に話せる経験があれば、転職成功の可能性はより高くなるでしょう。


ここでは実際にJACを通じて転職をされた方の事例を一つご紹介します。

Eさん(男性/50代後半)は、製薬会社の品質管理部門の管理職として活躍されていましたが、ご自身の中でその企業では一通りをやりきったように感じていたことから、新しい環境での挑戦を考え、JACへ相談されました。
JACからご紹介したのは、大手グローバル企業Y社の品質管理職です。Eさんが経験してきた分野とY社の専門分野に親和性がある点と、医療や患者に対する考え方や姿勢においても合致するものがあり提案しました。

Eさんは定年も目前の50代後半のため、Y社でも前例がなく難しいと思われましたが、企業状況を熟知しているJACがY社にはEさんのような方が必要であると強くアピール。結果、Eさんの分析研究から品質管理の実務経験や、国内外の業務にも携わっていた経験、マネジメント力が評価され、現職よりも200万円アップで入社が決まりました。

50代後半のシニア層の転職は一般的には難しいと思われますが、転職希望者の希望や経験・スキルをヒアリングし、企業側の課題感と照らし合わせて、適切におつなぎできた事例です。

転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。

製薬企業の品質管理職の転職成功事例|数十年にわたって培った力を新たな環境で発揮

製薬会社の品質管理の転職ならJAC


JACでは、ヘルスケア分野でチームを細分化しており、製薬業界への転職支援に強みを持っています。
品質管理職への転職支援につきましても、同様に経験豊富な専門のチームで行っており、特に転職希望者と採用企業の両方の要望をくみ取る「コンサルタント型」のサポートを取っている点が、特長として挙げられます。

またそれらは、年齢やスキルに対して、画一的に当てはめるようなコンサルティングではありません。その方のお人柄・ご経験・スキル・ご要望など、本質的な部分に目を向けているため、その方のプロフェッショナルな特性に合わせてサポートを行うことが可能です。一方、企業側についても、それぞれの組織文化、抱えている課題、将来的な展開へ着目し、転職希望者と親和性がある場合におつなぎしています。

さらにJACでは、企業の採用担当者だけでなく、部門スタッフや経営層の方とも情報交換をすることで、密に連携を取っております。そのため、市場の動向をリアルタイムで把握することができ、JAC独自の貴重な情報をお届けすることが可能です。
転職活動で不安をお持ちの方へもご安心いただける環境を提供していきますので、少しでも気になる点があれば、お気軽にご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。




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