転職の選考における「適性検査」の重要性|実施の意図と対策を解説

公開日:2024/08/08 / 最終更新日: 2024/10/16

転職の選考を受けるにあたって、一部の企業では応募者のスキルや適性を評価するために「適性検査」が行われます。適性検査は新卒で就職活動をしていた際に取り組んだ人も多いかと思いますが、内容を完全に覚えている方は少ないでしょう。
そこで今回は、適性検査の概要について説明しつつ、適性検査が実施される理由や具体的な対策方法について、ハイクラス転職のJAC Recruitment(以下、JAC)が解説していきます。

ぜひ、本記事を参考に、適性検査の対策に取り組み、目標企業への転職を成功させる足がかりとしてください。

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適性検査とは、応募者のスキルや性格を評価するためのテストです。多くの企業は、応募者が企業の求める基準を満たしているかどうかを確認し、面接だけでは把握しきれない情報を補完することを目的として適性検査を実施します。

適性検査には「性格診断」と「能力検査」の2種類がありますが、それぞれの概要と、出題される内容について紹介します。

性格診断は、応募者の性格や行動の傾向を評価するために行われるテストです。応募者の価値観やコミュニケーション能力、ストレス耐性やチームで行動できるかを把握するために実施されます。
性格診断の結果は、応募者が企業の文化や社風に適合するかどうかの検討材料となります。質問に対しての回答を分析して、企業に適合する人物かを判断されているため、正直に回答しましょう。自分の性格をアピールする場であるため、無理に取り繕う必要はありません。

能力検査は、応募者の知識や論理的思考力、基礎学力や一般常識を確認するために行われるテストです。言語能力や数理能力、論理的思考力や一般教養などに関する問題が出題されます。
応募者が社会人として必要な常識や知識をもっており、職務を遂行するために必要な基礎的なスキルを有しているかどうかを判断するために実施されるものです。
言語能力のテストでは言葉の理解度、文章読解などの国語力が評価され、数理能力のテストでは数学的な問題解決能力が問われます。一般教養のテストでは社会常識など、社会人として基本的な知識が問われることが多いです。

転職で実施される「筆記試験」の内容と対策、選考における重要性を解説


1. 選考の補助的な役割
2. 自社に適した人物か見極めるため
3. 基礎的な教養があるか判断するため

続いて、企業側が適性検査を実施する意図や目的についても紹介します。企業は候補者の中から即戦力として活躍し、長く働いてくれる人を見極めたいと考えています。

企業側の立場になって考えて、どのような意図・目的で適性検査を実施しているかを確認してみましょう。

企業が転職選考において適性検査を実施する背景として「選考の補助のため」という目的があります。適性検査は応募者が多い場合には足切りラインを設定するために使われることが多く、これにより効率的な選考ができます。

例えば、応募者全員を面接することが難しい人気の企業の場合、適性検査の結果をもとに、基礎的な学力や、性格面での適合が不足している応募者を適性検査で落とし、面接に進むべき候補者を絞り込んでいます。
また、適性検査は面接では見極めにくいスキルや特性を評価するためにも利用されます。例えば、基礎的な計算力や論理的思考力を測る筆記試験では、応募者の問題解決能力や集中力を確認していることが多いです。性格診断を通じて応募者の性格やモチベーションの源が何かを把握し、企業の文化やチームに適応するかどうかも判断しています。

このようにして、企業は面接だけでは把握しきれない応募者の特性を、適性検査を用いて総合的に評価しています。

自社に適した人物かどうかを見極めるためというのも、適性検査を実施する理由の一つです。企業にはそれぞれ求める人物像があり、役職ごとに求める能力を定義しているため、適性検査を通じて応募者がこれらの基準を満たしているかどうかを確認しています。
例えば、リーダーシップが求められるポジションにおいては、統率力や対人関係能力を重視して確認している企業が多いです。

また、性格診断の結果をもとに、応募者が職場の雰囲気や業務に適応できるかどうかも判断しています。
例えば、チームワークが重要な職場においては協調性やコミュニケーション能力が評価される傾向にあります。このようにやりとりが積極的に行われる企業においては、自己中心的で他人に興味がない人は評価されにくいでしょう。

以上のことから、企業文化や価値観に合う人物かどうかを適性検査で見極めている企業が多いといえます。企業は長期的に働ける人を求めているため、企業の理念や働き方に共感できるかどうかもチェックしています。適性検査の結果だけで判断されることは少なく、基本的には面接の比重が大きいとはいえ、適性検査も重要な判断材料の一つといえます。

多くの企業は、適性検査を通じて、応募者に基礎的な教養があるかどうかを確認しています。企業は日常業務を遂行する上で必要な一般常識や基礎知識を持った人物を求めています。

例えば、言語能力検査を行う目的は、一般的な読解力や文章の構成力、国語力をチェックすることです。これにより、日常業務で必要なコミュニケーション能力や理解力について確認しています。
数理能力検査では基本的な計算力や論理的思考力を測定します。数字を扱うことが少ない職種だったとしても「一般常識」といえるレベルの計算ができるか、論理的な考え方ができるかは確認されることが多いです。
一般教養のテストも、応募者が基本的な常識があるかを確認するために行われます。一般教養があるかを確認し、応募者の最低限の知識と社会人としての基礎力を判断しています。


適性検査は選考の過程で補助的な役割で使用されるため、重要度でいえば「面接」の方が高いです。適性検査がメインの判断材料となることはあまりありません。しかし、性格診断で企業の求める人物像にまったく合わないと判断された場合や、一般常識や教養が足りていないと判断された場合は、足切りをされてしまうことがあります。
また、面接選考の評価が僅差のライバルがいた場合、適性検査の結果が合否を左右する可能性もあります。
とはいえ、基本的には面接の内容が最も重要です。時間をかけるべき対策は「面接」の部分であるため、適性検査の対策は出題傾向と回答方法を一通り確認し、ある程度自信がついたら他の対策を進めるといった形で問題ないでしょう。

面接対策


転職選考における適性検査の実施タイミングは企業によって異なりますが、一般的には一次面接前に行われることが多いです。特に応募者が多い場合は適性検査を一種の足切りとして利用し、面接に進む応募者を絞り込むことで効率化を図ることもあります。
また、面接前に実施することで、応募者の能力や性格を事前に把握し、質問内容の変更や評価ポイントの設定が柔軟にできます。適性検査の回答において気になった部分を問われることもあるでしょう。
さらに、入社後に割り当てる役職を検討する、または教育方針を決めるにあたっての参考として、選考の後半に適性検査を実施する企業も中にはあります。


1. Webや書籍で例題を確認する
2. 非言語系テストの対策として基礎的な数式を復習しておく
3. 性格検査の対策は不要

ここでは、適性検査の対策方法について紹介していきます。

以下の3点を理解した上で、効率よく適性検査の対策に取り組んでみてください。

適性検査の対策として代表的なものは、Webや書籍で例題を確認することです。適性検査の内容はWebで公開されているものも多く、傾向を把握できます。問題の雰囲気を把握しておくだけでも対策になりますが、万全を期すためにも一通り問題を解いてみて、答え合わせまでしておくと良いでしょう。

非言語テストの対策として、基礎的な数式を復習しておきましょう。数学の問題には公式を知っていないと解けないものもあるため、例題を確認しながら復習しておくと、本番でもスムーズに回答を導き出せます。
大学で数学を学んだ人しか解けないような、非常にハイレベルな問題が出題されることはありません。しかし、大学受験が終わった後、数年間数学から離れていた人がすぐに解けるような問題ばかりではないため、あらかじめどのような問題が出題されるか確認し、解法がすぐに思い浮かぶかどうかを確認しておく必要はあります。

できれば例題を解いてみることが理想的です。忙しい方でも、例題に目を通して、思い浮かんだ解法が合っているかどうかは最低限確認をしておきましょう。

性格検査の対策は基本的に不要とされています。あなたの感じるまま、素直に答えましょう。仮に嘘をついてうまく入社できたとしても、入社後に「合わない」と感じてしまい、早期離職につながってしまうことも多いからです。
また、回答に整合性があるかをチェックされるため、良い印象を与えるために回答を取り繕って 、それぞれの回答の内容が矛盾していると判断された場合、その時点で落とされてしまう可能性もあります。
企業の求める人物像を把握しており、それに沿った回答をしてしまう人も多いかもしれません。しかし、自分を偽ると、入社した際に後悔することになるかもしれませんし、それぞれの回答に矛盾が生じてしまう可能性もあります。そのため、嘘をついてまで自分をよく見せようとするのではなく、正直に回答するようにしましょう。


適性検査にはさまざまな種類があり、代表的なものとしてはSPI、クレペリン検査、V-CAT、玉手箱、SCOAなどが挙げられます。それぞれの試験には特徴があり、出題内容や評価基準、用途が異なるため、以下の表を参考にしてください。

種類主な用途特徴
SPI高卒・新卒・中途まで幅広く利用される・最も広く用いられる
・能力検査と性格検査
V-CAT採用選考や管理職適性把握、指導育成など・受験者の持ち味とメンタルヘルスを把握
・単純問題が多い
・筆跡や筆圧、訂正箇所なども評価する
・長時間にわたる集中力を問う
クレペリン検査採用選考や管理職適性把握、指導育成など・能力、性格、行動面の特徴を問う
・一桁の足し算を繰り返し行う
・長時間にわたる集中力を問う
玉手箱III新卒採用・知的能力とパーソナリティを確認
・能力検査は言語と計数に分かれ、英語力も問われる
・個人の特性、職務適正、マネジメント適正も問われる
GAB・CAB新卒採用・中途採用・GABは総合職採用向け
・CABはSEやプログラマー向け
・知的能力(言語分野、計数分野)とパーソナリティを問われる
・CABは暗算、法則性、命令表、暗号などが出題される
SCOA新卒採用・中途採用・基礎能力、事務能力、パーソナリティを問われる
・基礎能力テストでは「言語」「数理」「論理」「常識」「英語」が出題される
・事務能力テストでは「照合」「分類」「言語」「計算」「読図」「記憶」が出題される
・パーソナリティテストは性格・意欲などを問い、行動傾向やストレス耐性を確認

SPIは言語能力と非言語能力、そして性格診断の3つで構成されており、基礎能力と性格特性を評価します。

V-CATは視覚的な問題を通じて、認知能力や視覚情報処理能力を評価する適性検査です。図形やパターンの認識、空間認知能力を測定する問題が出題されます。

クレペリン検査は計算問題を通じて応募者の注意力や集中力、作業ペースを評価します。計算問題で作業ペースの変動や疲労の影響を視覚的に確認できるため、集中力やストレス耐性の把握を目指すことができます。

玉手箱Ⅲは日本の企業が多く採用する適性検査の一つで、言語能力、数理能力、図形認識能力の3つのカテゴリーから構成されています。

GABはSEやプログラマーに必要な知的能力を判断する検査で、暗算や法則性、命令表、暗号問題が出題されます。一方、GABは総合職向けで、「言語理解」と「計数理解」が出題される検査です。

SCOAは言語能力と数理能力、性格診断の3つの部分から構成されるもので、応募者の総合的な能力を評価するための適性検査として用いられています。


この記事では転職における適性検査の重要性や実施される理由、対策方法などを紹介しました。適性検査は転職の選考において最も重要な要素ではありませんが、対策は欠かせません。
しかし、自分が目指す企業がどの適性検査を実施するのか、そしてどのように対策をすれば良いかわからず、悩んでいる人も多いでしょう。
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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


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