50代の転職は、一般的に年齢がネックになり厳しい傾向があるといわれています。しかし、50代の転職もしっかりとした下準備をして臨めば内定を得ることは可能です。そのためには、50代の転職市場の現状を知り、対策することが大切です。
この記事では、50代の転職市場動向を公的機関のデータをもとにまとめています。
また、50代が転職を成功させるポイント、注意点、50代の方の成功事例をハイクラス転職のJAC Recruitment (以下、JAC)が解説します。
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目次/Index
50代の転職市場動向|雇用形態、転職者の勤続年数など
ここでは50代の転職動向についてみていきます。総務省統計局および厚生労働省発表の統計をもとに解説していきます。
50代の雇用形態の割合
令和4年 50歳から59歳の有業者の内、雇用形態の割合
出典:総務省統計局. 「就業構造基本調査 / 令和4年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表」. 2023年07月.
50代は全体としては、正規雇用で働く方が40代よりも少なくなり、非正規雇用が他の世代に比べて多くなっているのが特徴です。また、50代は会社役員として働く方が他の世代と比較して最も多くなっています。
現職または前職の通算勤務期間
令和4年 50歳から59歳の転職者の直前の勤め先の勤続年数
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
こちらでは、直近の勤務先をどのくらい働いてから転職しているのかを見てみます。
50代は、「5年から10年」「10年以上」働いている人を合計すると4割近くになるため、やはり長く働いて転職を考える方が一番多いようです。
ただ、「2年以上5年未満」が約2割であるだけでなく2年未満働いていて転職した方の割合が他の世代に比べて高めなので、転職を重ねて、再度転職という方も少なくはないといえるでしょう。
50代が現職で働いている理由
平成30年 50歳から59歳の働いている理由
出典:内閣府. 「国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)」. 2023年01月.
50代が現職で働いている理由についてみてみましょう。
働く目的は、全世代でお金を得るためが最も多いですが、50代は「社会の一員として務めを果たすため」という目的をもった方の割合が他の世代と比べて高くなっています。
50代になると、自身のキャリアや経験も集大成になってきます。また、子どもが独立したり、親に介護が必要になったりするなど、自分に近い人間関係にも変化が生じます。家族や社会に対する貢献や支援の必要性を感じたことが、転職に反映されるのかもしれません。
50代の転職活動方法|期間・退職理由など
こちらでは、50代の転職活動方法の統計をみていきます。
前職離職後に現在の職場に転職するまでの期間:離職期間が長くなる傾向が
平成30年 50歳から59歳の転職者の離職期間
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
50代の、直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間を見てみましょう。「離職期間なし」「1ヵ月未満」を合計すると約4割になりますが、合計が過半数を占めていた他の世代と比較するとぐっと少なくなります。
一方で「10ヵ月以上」が50代前半・後半ともに5%以上と他の世代に比べて多くなり、離職理由はさておき「離職はしたが転職先が決まらない」といった状態が増えてきていることを示しています。
前職を退職した理由
令和2年 50歳から54歳の前職の離職理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
50代前半の前職を退職した離職理由をみてみると、「人間関係がうまくいかなかったから」という理由が他の世代よりも増えてくるのが特徴です。「安全や衛生等の職場環境がよくなかったから」も増加し、働くための環境に対する不満が増えてきたものといえます。
また、「介護・看護のため」「病気・怪我のため」という理由が他の世代よりも増加します。
令和2年 55歳から59歳の前職の離職理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
50代後半になると、「満足のいく仕事出なかったから」「賃金が低かったから」など、業務そのものに対する不満がまた離職理由の上位に戻ります。
55歳から59歳では、会社の都合による離職の割合が多くなってきています。倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職、出向がきっかけになっての退職のほか、55歳から59歳では早期優遇退職制度による退職の割合が増えてきます。
これらのことから、50代は自分の技能・能力を生かせるかどうかで転職先を選ぶ傾向が高い世代といえそうです。
現在の職場に転職した理由
令和2年 50歳から59歳が転職先を選んだ理由
出典:厚生労働省. 「令和2年転職者実態調査の概況」. 2021年11月.
50代が転職した際に、現在の勤め先を選んだ理由についてみてみます。
「仕事の内容・職種に満足がいくから」「自分の技能・能力が生かせるから」という理由がそれぞれ4割を超えます。これらのことから、50代は自分の技能・能力を生かせるかどうかで転職先を選ぶ傾向が高い世代といえそうです。
50代の転職活動の収入面・賃金動向|50代は月収の増加率が最も小さい
ここでは、50代の賃金動向について紹介していきます。
年齢・学歴別の平均月収比較
令和5年 50歳から59歳の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は50代前半、後半の方の平均月収を示した表です。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、50代前半は371,100円、50代後半は376,400円となっており、50代後半になるとほぼ横ばいになったことが分かります。
令和5年 50歳から59歳の学歴別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は学歴別に平均月収を示したグラフです。
大学卒、院卒の給料の高さがよく分かりますが、大学院卒で50代後半の平均月収は約53万円と、40代と比較してもかなり伸びました。また、高卒、高専短大卒、専門学校卒の給料はそれぞれ有意な差がついてきました。
業種別の平均月収比較
令和5年 50歳から59歳の業種別の平均月収
出典:厚生労働省.「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」. 2024年03月.
上記は、50代の方で業種別の平均月収を比較したグラフです。
最も平均月収が高いのは「電気ガス水道業」の520,950円となり、各業種の中で唯一50万円を突破しています。続いて、「学術研究・専門・技術サービス業」や「情報通信業」などが続き、「建設業」までの企業が40万円超えとなりました。
データの引用元:
総務省統計局:就業構造基本調査
厚生労働省:令和2年転職者実態調査の概況
厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
50代の転職成功事例集2選
こちらでは、50代で転職に成功された方の事例を2つご紹介します。
50代転職成功事例1. 転職経験5回だが大手メーカーの新規部門で年収150万円アップ
Sさん(男性/50代前半)
SさんはこれまでSIerや事業会社など5社以上を経験していますが、一貫してデータベース関連業務に勤務していました。会社がIT投資を縮小し業務が減少したことを機に、転職を決意。コンサルタントから条件に合う求人20~30社を得ましたが、思いがけない選択肢として大手メーカーのA社がありました。Sさん自身A社の製品を愛用しており思い入れがあるため、挑戦。専門スキル・マネジメント経験がある点、技術を高めていきたいという志向性がA社の求める人物像に合っていたためA社に転職が決まりました。年収も150万円アップになり、蓄積したデータベーススキルで貢献できています。
【データエンジニアの転職事例】50代で大手メーカーの新規部門に転職し年収150万円アップ
50代転職成功事例2. 女性管理職のロールモデルとして転職で年収400万円アップ
Yさん(女性/50代前半)
Yさんは大手メーカーの管理系部門で課長職であり、会社に不満はありませんでした。しかし、50代を迎えこの先に行き詰まりを感じ、新しいチャレンジのため転職を決意。現職とは異なる業種の大手メーカーB社をコンサルタントから紹介されました。B社は、女性活躍を推進するロールモデルとなる女性幹部の登用を考えており、Yさんの「英語力」「グローバルでの経験」「経営トップに近い立場での経験」がB社の要件とマッチしていたため採用に。年収は400万の大幅アップを獲得することができました。また、B社にはYさん以降も女性管理職を積極的に登用する風土が醸成されました。
女性管理職の転職成功事例|男性社会の企業へ女性活躍のロールモデルとして転職
50代が転職活動を成功させる5つのポイント
事例のように、50代が転職活動を成功させるためにはどのようにすればよいのでしょうか。5つのポイントをご紹介します。
成功のポイント1.転職人材としての市場価値を分析し、即戦力となれる業種・職種を選ぶ
50代は求人数がぐっと限られてきます。そのため、自分の転職人材としての市場価値をしっかり把握しましょう。
企業が50代の転職希望者に求めるのは、長年培った豊富な経験、実務スキル、高いコミュニケーション能力、マネジメント能力などです。
若手と差別化できる自分の強み・専門性・アピールポイントはなんなのか、自分自身がしっかりまとめておきます。
また、50代は求人数が少なくなってくるので、自分の強み・スキルや専門知識が即戦力として生かせる業種・職種を選ぶことが転職に成功しやすくなるポイントです。
成功のポイント2. 転職に対する希望条件に優先順位をつける
50代で転職する場合は、現在応募する企業を退職したあとの長期的なキャリアについて考えつつ、転職先を選ぶことが大切です。
企業が定める定年年齢は60代前半ですが、その前に役職定年があって給与が下がることもあります。応募する企業でどのくらい働く予定なのか、正規雇用で働くのか、もしくは再雇用制度で働くのか、定年で辞めてそのまま働かないのかなども考えておきましょう。そのためには、応募企業先の定年制度、再雇用制度、勤務延長などを前もって調べておくことが望ましいです。
また、60歳の定年までに倒産してしまわないよう、企業の財務状況もしっかりみておきましょう。
成功のポイント3. 希望条件に優先順位をつけ、年収・役職にこだわりすぎない
50代で転職をする際は、選べる求人数が多くはないため、転職の希望条件には優先順位をつけることが大切です。年収・やりがい・待遇などの検討項目の中で優先すべき価値観はどれか自分の中で明確にし、優先順位の高い要素を満たす企業を探します。
ただし、年収・役職にこだわりすぎないことも大切です。
50代は豊富な経験があるため、他の年代より年収やポジションが高いことが多いでしょう。しかし、企業によって役職の定義や裁量権の範囲が違いますし、企業側から見れば、50代は勤務期間が短いため、年収・ポジションにこだわると転職の難易度が上がります。
そのため、50代の転職では、年収・役職よりも、自分の経験・スキル・強みが最大限に生かせる仕事に就くことのほうが満足度高く働ける可能性も高いです。
成功のポイント4. マネジメントスキル・リーダーシップスキルを生かす
50代の転職者が企業から高く評価されるスキルは、マネジメント力やリーダーシップ力です。少子高齢化の影響で、社内に管理層の人材が不足しているケースも少なくなく、組織を管理する能力、部門やチームのトップとして実績を積んだ経験が重宝されます。
また、比較的新しい企業や経営幹部が若手である会社は、ベテランである転職者に「若年層を次世代のマネージャーとして育成してほしい」「スキルを伝承してほしい」といった希望をもっています。
そのため、マネジメント、リーダーシップの経験やスキルがある50代は、転職先もスムーズに決められることも多いです。その経験があれば、ぜひ生かせる転職先を探し、積極的にアピールするとよいでしょう。
50代ハイクラス転職の実情ー成功のポイントや年収傾向などを解説
成功のポイント5. 転職エージェントなど専門家を活用する
転職活動を成功させるためには、転職エージェントなどの専門家の助力を借りることが有効です。
転職エージェントでは、50代の各業界での転職動向、企業の詳細なニーズを熟知し、また多くの50代の方の転職もサポートしてきています。そのため、第三者の視点からの的確なアドバイスをもらえ、自分のライフプランにあった求人紹介、また、非公開求人も紹介してもらえます。
また、職務経歴書の添削、企業との日程調整、面接対策も含めた転職活動全般のサポートがあるため、時間短縮もでき、転職活動に集中できます。
特に、管理職や技術職、専門職といったより高度な転職を実現させたいケースでは、それらの分野に特化した転職エージェントにサポートしてもらうのが成功への近道となるでしょう。
50代の転職活動で注意したほうがよい2つのポイント
こちらでは、50代が転職活動で注意したほうがよい2つのポイントをご紹介します。
注意点1. 過去の経験に固執して変化に柔軟に対応できない
50代の方は、過去の経歴や実績が豊富であることが多いです。しかし、過去の経歴・実績はアピールには使いますが、固執するのは避けるのがよいでしょう。
過去を基準にしてしまうと、転職求人をみても、無意識に仕事内容や業界を選別してしまいます。また、過去の固定観念に捉われてしまうと、面接においても「自社になじめないのではないか」という印象をもたれやすいですし、柔軟性がないと新しい環境の変化に対応していくことが難しくなります。
転職は新しいスタートになります。新しい変化に柔軟に対応できることが、50代には特に求められています。柔軟性をもって対応していきましょう。
注意点2. 転職の準備活動をおろそかにしてしまう
50代の場合は、会社を辞めてから転職活動を行うのはリスクが高いので、在職中に行うようにしましょう。収入が途絶えてしまうと余裕がなくなり、焦って転職先を選んで失敗してしまう恐れがあるからです。
働きながらの転職活動は思うように時間がとれないという面もあるかもしれませんが、現職があれば「転職しない」という選択肢ももつことができます。そのため、在職中のまま転職活動を行うようにしましょう。
仕事をしながら1人で転職活動ができるか不安といった場合は、転職エージェントの助けを借りるとよいです。
50代の転職活動についてのまとめ|即戦力が生かせる転職先を長期視点も考慮して選ぶ
50代で転職活動を行う上で大切なことは、自分の市場価値を知り、自分の能力やスキルを生かせる転職先を長期視点も考慮したうえで選択することです。
しかし、転職活動を進める中で、「自分のやり方が正しいだろうか」「もっと効率的に進められるのではないか」と思うこともあるでしょう。そのようなときは、50代やエグゼクティブの転職サポート実績が多数ある私たちJAC Recruitment にご相談ください。
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