出世できない人は努力のベクトルが間違っている!~澤円氏直伝、出世スピードの決定的な差~
公開日:2024/05/31 / 最終更新日: 2024/08/22
ビジネスパーソンにとって、「出世」というキーワードは切っても切り離せないものです。もちろん、出世にはさまざまな要素が関わってきますが、その中で重要なことの一つは努力の方向性。正しい方向に向かって努力をしているかどうかが、出世のカギを握っています。
本セミナーでは、JAC Digitalアドバイザーでもあり、元日本マイクロソフト業務執行役員として外資系企業でご活躍された経験を持つ澤円氏にご登壇いただき、出世スピードの決定的な差、出世する方法をテーマに内容をおうかがいします。
*本記事は2024年4月18日にJAC Digitalが開催したオンラインイベントを一部抜粋、再構成したものです。また、文章表現を統一するため言い回しも変更しておりますのでご留意ください。
<講師紹介>
株式会社圓窓
澤 円氏
元日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。立教大学経済学部卒。生命保険の IT子会社勤務を経て、1997 年、日本マイクロソフト株式会社へ。ITコンサルタントやプリセールスエンジニアとしてキャリアを積んだのち、2006 年にマネジメントに職掌転換。幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。2020年8月末に退社。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。2021年4月22日よりJAC Digital アドバイザー就任。
現在は、数多くの企業の顧問やアドバイザーを兼任し、テクノロジー啓蒙や人材育成に注力している。美容業界やファッション業界、自動車業界の第一人者たちとのコラボも、業界の枠を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ。武蔵野大学専任教員。
目次/Index
あなたはなぜ出世したいのか?
ChatGPTに出世の定義を聞いてみたところ、「主に社会的、職業的な成功を意味することが多い」と返ってきました。もちろん個人の価値観や文化によって異なると思います。
では皆さんは、なぜ出世したいのでしょうか。一般的に言われている出世したい理由をいくつか例に挙げてみましょう。
まずはお金。収入を上げるために出世したいと思う方は多いのではないでしょうか。
次に肩書き。名刺にタイトルが付くことで、エンパワーされたと思う方もいらっしゃいます。
そして強い権限の保持。権限があれば業務範囲が広がり、面白い仕事にもチャレンジしやすくなります。
最後に同期との勝負。同期の中で一番早く何らかの役職に就きたい、トップに行きたい。それがモチベーションになる方もいると思います。
これらを理由に出世したいと思うのは至って健全ですが、「それだけ」が理由の場合、その後のキャリアを考えると少し危険かもしれません。
出世の理由が「それだけ」だと危ない
お金、肩書き、権限、同期との勝負。出世したい理由がそれだけだとなぜ危ないのか、一つずつ紐解きながら考えていきましょう。
【お金】
収入アップのために出世をしたいと考えているのであれば、「どのくらいのスピードで昇進すると自分が思い描く収入に辿り着けるか」「自社の役職者の給与テーブルはどのくらいか」といったことまで理解しておく必要があります。つまりお金に関するすべてのことを具体的かつ明確にした方がいいのです。「いつ、誰が、どこで」まで徹底的に調べましょう。今はいくらでも情報収集できる時代です。勤めている会社の給与テーブルや出世ルートが分からない場合は情報を集め、もし自分の想像や目標と乖離があるのであれば、転職も視野に入れて目標とする収入を達成する方法を考えた方がいいでしょう。
【肩書き】
個人的に、肩書きのための出世は少し危険な発想だと捉えています。
事業本部長職に就いていたある方の話を例に挙げます。その方には毎年何百枚もの年賀状が届いていましたが、定年退職した途端パタリと来なくなりました。それは当然ですよね。ほとんどの年賀状は、その「会社」の「事業本部長」という役職だから送られてきているのですから。するとその方は、そうした状況に耐えきれず精神を病んでしまったのです。極端な例ではありますが、肩書きがすべてだとそのような悲劇も起こり得ます。定年退職後、「元部長」といった昔の役職を書いた名刺を持ち歩く人もいますが、肩書きや肩書きがもたらす幸福にも期限が付きものです。肩書きを得て責任を持って仕事に邁進することは素晴らしいですが、肩書きだけにとらわれるのは危険だと思います。
【権限】
強い権限を持つことで、大きな仕事をすることができるというモチベーションは素晴らしいと思います。しかし、日本ではマネージャーは名誉職の場合が多いです。優れた業績を上げた人は、給与を上げるために職位を上げられることがあります。そのためには、メンバーを持たせることが必要で、いきなりマネージャーになることもあります。すると自分は偉くなったと勘違いし、権限を間違った方向へ振りかざしてしまうのです。
しかし、マネージャーはあくまでも一つの役割であって、偉くなったのではありません。重要なのは業務をスムーズに進めることなのです。そのためにはまず黙ってメンバーに任せてみることが大切です。そしてうまくいかない時に、権限を使ってリカバリーしていくことがマネージャーの役割です。その方がイノベーティブなアイデアや仕事が生まれると思います。
【同期との勝負】
同期に限らず、年代の近い同僚のポジションは気になるものです。「なんであの人は自分より先に昇進したのだろう」とか「なんで自分より若いのに同じポジションなのだろう」と嫉妬心が生まれることもあり、それは人として当然です。
しかし嫉妬の気持ちが強くなると、他人を引きずり下ろす行動を起こす可能性があります。もし同僚の足を引っ張って出世を成し遂げたのだとしたら、それはとてもではないけれど、自身も誇れる出世ではないと思います。張り合うことだけに意識を向けるのはやめた方がいいでしょう。
出世するために「上司にごまをする」ことは、必ずしも悪いことではない
「上司にごまをする」「あいつは上司の腰巾着だ」といった言葉は、あまりいい意味では使われません。しかし私はこれらすべてが悪いとは思いません。
その前に経営の三層構造についてお話します。ポジションによってビジネスにおける視点は異なるものです。社会貢献を目指しているのが経営者視点、その実現のための仕組み化・運用をするのがマネージャー視点、実際にタスクを実行するのが一般社員視点です。この時、組織全体が同じ方向に進むために何が大事かというと、それぞれがそれぞれのポジションの視点に興味を持つことです。マネージャーは上層部が考えていることを知り、一般社員に解像度高く説明する。そのためには上司との密なコミュニケーションは欠かせません。
つまり出世をするうえで重要なのは、自分の上位役職者と良好な関係を構築すること。企業内での出世は誰かに引っ張り上げてもらうプロセスが発生する以上、その決済者となり得る上司を喜ばせる、ご機嫌にすることは必須だと考えています。そしてそれが、社会貢献を実現する組織体制を作っていくのです。
出世に必要なマインドセット
出世をするためにはGive firstのマインドを持つことが大切です。
優れたマネージャーは、先回りしてメンバーが通る道を整備します。要はメンバーがスムーズに働けるように環境を整え、彼らに一任し、頼られた時だけ助け舟を出すのです。また、1on1などを定期的に行いメンバーの声に耳を傾け、心理的安全性を確保することも必要です。アウトプットよりリスニング能力がカギとなります。
また謙虚に助けを求められる、そして素直に教えを受けられる人も出世します。そのためには先に人を助けておく方がいいでしょう。
さらに自分が落ち込んだ時の復活方法を知っておいてください。すぐに立ち直れる人は、チャンスが巡ってきた時もすぐに対応できる。いつもご機嫌で、前向きに仕事に臨めることが大事だと思います。
客観的視点から自分の価値を知ろう
今の会社で出世したいという意欲は素晴らしいことです。しかし、社会にはさまざまな尺度があります。自分の所属する会社や組織だけにとらわれるのではなく、自分がより一層大きな価値を身につけられる環境を探すことも一つの手段です。自分の評価基準を知るためには、外部からの客観的視点も加味したうえで、自己評価を行うことが大切です。マインドセット次第でキャリアは大きく変わります。自分の仕事を客観視して、解像度を上げていきましょう。
今回は出世をテーマにお話をしてきましたが、マネージャー職の役割で一番大切なことは、ビジョンを作ることです。ビジョンなしでは世界には出られません。「この方向に行くぞ」という強いメッセージを発信できてこそ、あなたの人材としての価値を高めます。ビジョンを掲げられる人はどの会社にいても出世できる。その気持ちを忘れずに、キャリアを進んでほしいと思います。
質疑応答
Q. 会社が女性の昇進を推進しているが、積極的にそこに手を挙げることに踏ん切りがつきません。どうしたらいいでしょうか?
やってみてから考えてみてもいいと思います。世の中の大抵のことは、やり直すことができます。自分が向いていないと感じたり、環境が合わないと思ったりしても、それは逆戻りしたのではなく、次のステップに進むための経験だと捉えてください。自分に来たオファーはまず受けてみてから次のステップを考えないと、チャンスまで取りこぼす可能性もあります。
Q. 今は子育てにリソースを割きたいと考えているため、単身赴任のある課長職は打診があっても断っています。しかしいずれはマネージャー職に就きたいですが、再び昇進のチャンスが来るか不安です。
子育てにリソースを割く時期が終わり、再び課長になりたいと思うのであれば、「課長をやらせてください」と自ら言えばいいと思います。会社側からの打診を待つという受け身の姿勢でいる必要はありません。もし「以前あなたは課長の打診を断ったからチャンスはない」と言われたら転職をすればいいだけの話です。
Q.ビジョンを定める力を持つためにはどうすればいいでしょうか?
まずは会社が向いている方向を理解しようとする強い意志を持ちましょう。すると役員とも積極的に会話するなど、情報収集を実行に移せるようになると思います。そして会社のビジョンを自分も本気で信じること。会社が目指しているからみんなもやろうよ、というスタンスでは、残念だからビジョンを定めているとは言えません。自分自身も強い意志を持って会社のビジョンを理解し賛同して初めて、ビジョンを提示できるのだと思います。
Q.年下の部下もいればベテランの部下もいます。どのように育成プランを考えていけばいいでしょうか?
方法に意識が向いていて、人を見ていないように思います。育成プランもコミュニケーションの方法と同じく、個別最適です。マネージャーは、その人が一人で歩けるようにコンディションを整え、どのくらいのスピードで進んでいるか見極めることが役割です。もしメンバーが「もっとステップアップしたい」と要望を出せば走り方を工夫していけばいいし、「のんびり進みたい」というタイプであればそれに見合った方法を探していけばいいと思います。
Q.転職先から求められている能力と自分の能力の差が分からず踏み出せません。
実際自分の能力が足りているかどうかは、入ってみないと分かりません。結局は、苦労をしてでもその会社で働きたいと思えるかが指針になると思います。その会社の事業やビジョンに共感でき、目指しているビジョンにも賛同していれば、能力が不十分だとしても、成長する努力をできるのではないでしょうか。たとえ無理だとしても、きっと経験として蓄積されるはずです。自分に嘘をつかずに、能力の差を埋める努力ができるか。自分に問うてみるといいかもしれません。
Q.癖がある役職者と距離を詰める方法を教えてください。
観察を徹底的に行うことが重要です。相手の言葉遣いや話し方、さらには身なりからも情報を得ることができます。
その人の関心がどこにあるのかをプロファイリングし、自分もそのことに興味を持とうと努めます。すると質問を投げかけやすくなります。人は自分に興味を持ってもらうとポジティブな気持ちになるものです。そこから自然と距離を縮められるかもしれません。
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