銀行業界における採用が非常に活発化しており、金融業界出身者はもちろん、異業界出身者にも門戸が開かれています。今回は、銀行業界のなかでもメガバンク・信託銀行などの法人向けビジネスにフォーカスし、求人が多い職種、求められる経験・スキル、年収相場、キャリアパス、転職事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)の銀行業界専任のコンサルタントが解説します。
目次/Index
銀行業界の動向と課題
昨今、多様な業種の事業会社が事業変革、新規事業開発に取り組んでいます。特に、「サステナビリティ」「カーボンニュートラル」「DX」「グローバル展開」といったテーマに対し、大型投資やリスク管理に乗り出している状況です。銀行では、顧客企業の戦略を支援するため体制を強化。また、銀行自身も新規事業への取り組みを加速させています。このような背景から、金融業界での経験者、異業界経験者ともに採用ニーズが高まっています。
また、団塊世代の退職や役職定年の廃止といった組織構造上の問題から、年齢構成のピラミッドを是正することを目的とした中途採用も活発化しています。
銀行業界に多い求人と、求められる経験・スキル
銀行業界の法人向けビジネスにおいて採用が活発な職種と、求められる経験・スキルをご紹介します。
ストラクチャードファイナンス
ここ数年、M&AにおけるLBOファイナンス、プロジェクトファイナンスをはじめとしたストラクチャードファイナンスの採用が活発です。ストラクチャードファイナンスの採用対象は、銀行によって異なります。
メガバンクではストラクチャードファイナンス経験者を求めています。銀行での経験者はもちろん、コンサルティングファーム・商社・事業会社でプロジェクトファイナンスのマネジメントや事業開発を行っていた方も転職を成功されています。
事業会社からの転職例を挙げると、再生可能エネルギー案件の拡大を背景にエネルギー会社やプラントエンジニアリング会社出身の方が迎えられています。航空機案件であれば、リース会社や専門商社、航空会社で経験を積んだ方も受け入れられています。
一方、信託銀行、メガバンクの中でも一部の銀行では、経験者のみならず関連する業務経験がある方にも門戸を開いています。例えば、ストラクチャードファイナンス案件を期中管理側で手がけたり、近しい審査業務に従事していたりする方も選考対象となり得ます。地方銀行の東京支店でこれらの関連業務を経験した方が転職されている事例もあります。法人営業より大規模・長期的な案件に携わりたいという方にチャンスが広がっています。
政府系金融機関や系統系金融機関でもさまざまな募集があり、政府系金融機関の中ではストラクチャードファイナンスのご経験がなくても、関連の業務経験と語学力を武器に転職に成功されているケースもあります。
海外関連ポジション
日本の中堅・中小企業の海外進出を支援するにあたり、海外営業・海外駐在のポジションの求人が出てきています。以前と比較しての大きな変化は「駐在確約」の求人の増加です。入社後すぐに駐在できることを条件とする求人が2023年から拡大しました。
海外営業の求人は、メガバンクでは海外営業経験が求められるものの、一部のメガバンクや第一地銀などでは、ビジネスで英語を使った経験がない方でも海外事業部門で採用されるチャンスがあります。法人営業の経験とTOEIC700~800点程度の英語力があればチャレンジが可能です。TOEIC700点以下でも、これまでの経験と今後の活躍の可能性を評価されて採用されたケースがありました。
海外駐在の求人に関しては、海外駐在経験が必須とされますが、経験者であれば国・エリアを選ぶことも可能です。業務経験と国・エリアを掛け合わせ、例えば「ニューヨークでサステナビリティ企画」「シンガポールでプロジェクトファイナンス」といった要望がかなう可能性があります。
海外駐在ポジションは、コンサルティングファームや商社出身の方も受け入れられています。コンサルティングファーム出身の方は融資の意思決定側の立場でプロジェクトを推進できること、商社出身の方は赴任国・エリアを選べることにメリットを感じられ、銀行を転職先として検討されている方がいます。
なお、JACには海外拠点もあるため、「この国・エリアで働きたい」というご希望がある方には、現地採用案件のご紹介をすることも可能です。
内部監査・コンプライアンス
昨今、グローバルで金融機関への規制の厳格化が進んでいます。日本は海外からコンプライアンス面での脆弱性を指摘されており、内部監査・コンプライアンス部門が体制強化を図っています。
銀行でこれらを経験している方をはじめ、コンサルティングファームや監査法人でのAML・内部統制のアドバイザリー業務に携わっている方も採用対象となります。40代後半~50代前半など、ミドル・シニア層の経験者がメガバンクに採用されている事例もあります。
一方、職種未経験の方にもチャンスはあります。銀行での営業を経験した30代前半の方が、この領域でのキャリア構築を目指し、まずは営業店の不正チェックのポジションで採用された事例があります。
市場部門
メガバンクでは、トレーダー、法人側のデリバティブ営業など、市場ポジションの採用にも意欲的です。市場領域での専門性を磨きたい方は、メガバンクにチャンスが豊富といえる状況です。年収アップの可能性も高く、日系企業で外資系に近い年収水準を用意しているケースもあります。
審査部門・リスク管理・事業企画など
上記のほか、審査部門・リスク管理・事業企画などの採用ニーズもあります。
審査部門・リスク管理については、金融業界での経験者が採用対象です。政府系金融機関・系統系金融機関からも求人が多数出ています。
銀行業界の求人で求められるマインド
銀行業界は変革を図っています。外部からの風を吹き込み、組織に刺激を与えて活性化したいという考えです。そのため、新しい取り組みの立ち上げやチャレンジに対して積極的な方が求められています。安定した環境や風土、指示を受けて動く働き方を希望する方には適さなくなっているといえるでしょう。特にフロントにおいては、チャレンジのマインドが期待されます。
ミドルに関しても同様ですが、加えて社内での連携力や調整力を発揮できる方に期待が寄せられます。
銀行業界の年収相場
中堅層 | 1000万~1300万円(住宅手当込み) |
シニア層 | 1200万~1500万円(住宅手当込み) |
外資系 | 2000万~3000万円 |
銀行業界への転職は未経験者でも転職可能か?
銀行の採用においては、基本的には経験者が求められますが、ポジションによっては幅広い異業界出身者が採用に至っています。コンサルティングファームや商社をはじめ、増加している再生可能エネルギー案件ではエネルギー会社やプラントエンジニアリング会社などの出身者も迎えられています。
一方、銀行勤務の20代~30代前半の方々が、未経験の領域・業務のポジションで採用されている事例も多々あります。専門性を身に付けたいと考える若手世代にとってチャンスが多い環境といえるでしょう。
銀行業界への転職で有利な資格
銀行の求人において、基本的には資格を必須とするものはほとんど見られません。
ただし、ポジションによっては資格の有無が選考通過率に影響することもあります。M&Aに関わるポジションでは、「公認会計士」の資格は評価を得られます。市場や投資に関わるポジションであれば、「証券アナリスト」の資格を取得しておくことで、実務経験がなくても意欲がプラス評価されることもあります。
TOEICスコアが評価されるのは800点程度以上が目安とされます。この水準であれば、海外事業ポジションを狙えるでしょう。ただし、経験・スキルと英語力のバランスが見られており、TOEIC600点台で海外部門に採用されているケースもあります。
銀行業界でのキャリアパス
一つの銀行内でキャリアを積んでいく場合、企業によっては30代後半でスペシャリストコース/マネジメントコースのどちらへ進むかを選択できることもあります。現在はまだ、全国転勤をともなう総合職が多くを占めますが、ジョブ型の人事制度の導入によりキャリアの分断を避ける方向へ動いていますので、今後は専門性を極めていく道も選びやすくなることが期待できそうです。
銀行業界内での転職では、従来のマーケットのイメージである小規模な銀行から大規模な銀行へという転職だけでなく、ご自身のライフスタイル、今後の自分のキャリアプランから逆算し、キャリアパスを選んでいる方も増えています。
他には、銀行でキャリアを積んだ後に、ストラクチャードファイナンスの経験を生かし、事業会社側に転職する道もあります。特に、現在はエネルギー会社やプラントエンジニアリング会社などが銀行業界でのストラクチャードファイナンス経験者を求める傾向があり、50代~60代の方が選考されるケースも見られます。
銀行業界の転職で多い質問と回答
銀行への転職を検討する方からよくいただく質問についてお答えします。
Q. ワークライフバランスを重視した働き方は可能でしょうか?
A. 銀行によって異なりますが、多くの場合、出社+リモートワークのハイブリッド型が導入されています。週2~3日出勤・週2~3日リモートワークというバランスで働く方が多く見られます。一部には、フルリモートワークが可能な企業・職種もあります。
Q. 異業界出身者も正当に評価され、活躍できるのでしょうか?
A. 選考段階から正当に評価されるので、ご安心ください。異業界からの転職であっても、プロパーと同じ水準の年収で迎えられています。近年、銀行内の知見だけでは対応できない案件が増えており、異業界の方の知見・経験が重宝されるのです。
銀行業界の転職事例
銀行業界の転職事例として、地方銀行から大手信託銀行に転職された事例をご紹介します。
Fさん(30代前半/男性)は、地方銀行の法人営業職。東京の旗艦店に配属され、シンジケートローンを含む幅広い案件を経験するなかで、「より専門性を磨きたい」という思いを強め、転職活動を開始されました。JACの転職コンサルタントからは、Fさんのご経験を生かせる求人として、ITコンサルティングファームでのDX支援、メガバンクのシンジケートローンのほか、ストラクチャードファイナンスのポジションとしてリース会社・銀行・信託銀行などの選択肢を提案。結果、即戦力としてはスキルが不足しているが、これまでのご経験や、今後の活躍の可能性、人物面が評価され、メガバンクに採用されました。年収は400万円アップです。
Fさんのような方の場合、最初からフロントラインでの折衝を担うことは難しいものの、案件管理のポジションからスタートできる可能性があり、そこからフロントへのキャリア構築を図れる可能性があります。なお、Fさんの前にも、地銀からメガバンクや信託銀行に転職し、活躍されているケースが複数あります。 転職成功の詳細は下記にてご確認いただけます。
【銀行業界の転職事例】法人営業からプロジェクトファイナンスへ、年収400万円アップで転職
銀行業界の転職ならJAC
JACには銀行業界を専門とするチームがあり、転職ご希望者のご経験をもとに、どの銀行のどのポジションに活躍の可能性があるかをご提案します。国内・外資系ともに、幅広い金融機関のご紹介が可能です。
また、JAC内の多様な業界の専門チームと連携し、商社や事業会社など銀行以外の選択肢もご提示し、比較検討したうえでより志向に合う求人を選んでいただくこともできます。
さまざまな転職事例を見てきた転職コンサルタントが、中長期視点でキャリア構築を一緒に考えますので、専門性を磨きたい、キャリアアップを目指したいなどお気軽にご相談ください。
銀行・保険・PEファンド・アセットマネジメント・カード・Fintechなど金融業界の転職動向については下記をご覧ください。
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