転職活動で企業研究を行うことは、入社する企業とのミスマッチがないようにするための重要なアクションの一つ。転職活動の軸を明確にするためにも、時間をかけてしっかりと企業研究をしていきましょう。しかし、「企業研究」といっても実際のところ何をすればよいのかよくわからないという人も多くいるのではないでしょうか。
ここでは、転職活動を成功に導くための企業研究の方法や、企業研究をするのに必要な情報収集手段について解説します。
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企業研究の目的は?なぜ必要なのか
企業研究をする目的は「志望する企業とのミスマッチをなくし、納得したうえで転職活動を成功させるため」です。企業研究や業界研究をして転職活動に臨まなければ、当然ながら「理解不足」の烙印を押されて選考を通過することは難しいでしょう。
また、転職活動では書類選考や面接を避けて通ることができません。そのため、これらの選考を通過するためには、企業側の求める人材に自分がマッチしていることをアピールする必要があります。そのためにも自己分析も併せて必要となります。
企業研究で押さえておきたい情報
企業研究で必要な情報には、「企業を深く理解できる情報」「企業の雰囲気を知ることのできる情報」「自分の志望動機やPR作成に役立つ情報」といったものがあります。 例えば、事業内容やサービス内容をはじめ、経営理念や事業ビジョン、企業の将来性や展望、福利厚生などは特に重要ですし、また社長のメッセージは企業の方向性や価値観を知る上で知っておきたい情報でもあります。加えて上場企業の場合では、IR情報や有価証券報告書などからも企業の実態が見えるので、確認しておく必要があります。
その他にも知っておくべき情報としては
- ・設立背景
- ・沿革
- ・理念
- ・売上/利益
- ・社員数
- ・営業所数
- ・ビジネスモデル
- ・主要取引先
- ・市場規模
- ・競合他社
といったものもあります。これらの情報は企業のホームページだけでなく、業界誌や転職サイト、転職エージェントなどでも知ることができます。
企業研究のテクニックのひとつ3C分析
転職活動で企業研究を行うには3C分析が有効とされています。3C分析とは「自社(Company)」「競合 (Competitors)」「顧客(Customer)」の3つの観点より市場環境を分析するフレームワークで、 マーケティング環境を漏れなく把握することができるものです。先ほど挙げた、押さえておくべき企業情報をこの3C分析のフレームワークに当てはめることで、企業のリサーチがしやすくなります。
数値的な目標を定めて企業研究を
企業研究を行うといっても、全ての情報を理解することは不可能です。また、転職活動において1社しか応募しないということは少ないので、複数の企業についても企業研究を行わなければなりません。 限られた時間の中、企業研究を行うには、どこまで情報収集すれば良しとするかを自分で判断する必要があります。
例えば、「競合他社3社と志望企業を比較する」「自分が入社したらどのような貢献が可能なのかを3つ言えるようにする」など、数値的な目標を定めると良いでしょう。
企業研究を行うタイミング
主に「企業に応募する前(応募書類を作成する前)」、「面接の前」、「内定を受けるか辞退するか決定する前」の3つのタイミングがあります。
企業に応募する前(応募書類を作成する前)
履歴書や職務経歴書を作成する際に、志望企業をイメージして作成することで選考通過の可能性が高まります。しかしこの段階の企業研究は選考が通らなかった場合の無駄が大きくなってしまうため、応募段階では基本的な企業情報を網羅する程度にしておきましょう。
面接の前
直接企業担当者からの質問に答えられるように、事業内容や経営理念だけでなく、ビジネスモデルや市場、業界動向、業績などもチェックしておきましょう。もし、面接のときに数値的な情報をど忘れしてしまった場合には適当な数字を言わず、はっきり覚えている数値・情報のみを答えておくのが無難です。そうならないためにも、細かい数値データではなく大まかな情報でインプットしておく(例:28億であれば、約30億など)と良いでしょう。
内定を受けるか辞退するか決定する前
本当にこの企業に入社して問題ないかが検討する段階です。ここでは、口コミサイトや掲示板などをチェックしてみましょう。大半の投稿は辞めた社員のものであることが多く、思ったほど参考にならないかもしれませんが、このような口コミも参考にしつつ、オファー面談で転職先の社員と話をさせていただいたり、実際に企業と接しているコンサルタントなどから情報を得たりしましょう。
企業研究に併せて業界研究も
企業研究と同じく重要なものに業界研究があります。業界研究とは、IT業界や飲食業界といった世の中に存在するさまざまな業界をチェックし、どのような業務を行っているかを理解することを指します。最近は業界の垣根も以前に比べて低くなっており、IT事業を行いながら太陽光発電や不動産に関わっているといったような多角的経営を行っている企業も増えています。 本来は企業研究より前に行っておくのが良いです。
どのような手段で企業研究を行うとよいか
企業研究を行うにあたって、調べることのできる媒体はさまざまあります。当然ながら客観的に見て信用が出来る媒体の情報をもとに企業研究をする必要がありますので、情報ソース選びは重要なポイントです。以下に企業研究に役立つ媒体を紹介していますので、企業研究を行う際の参考に利用してみてください。
公式ホームページ
企業の公式ホームページは企業研究する上で欠かせない情報です。ホームページ上に掲載されている情報を隈なく確認し、どのような質問をされても答えられるぐらいになれば研究成果はバッチリです。上場企業といった大手企業であれば、プレスリリースやIR情報(投資家向けの企業の財務・経営状況を正確に記した情報のこと)なども発信されているのでそちらも参照しておきましょう。
新聞・業界誌
業界のトレンドや企業情報など新聞や業界誌などに掲載されている情報も貴重な情報源です。特に新聞は鮮度や公共性も高く非常に信頼性の高い情報ソースとなります。業界誌はそれほど部数が出回っていませんが、一部の業界・団体では専門誌も発行されているので参照することも可能です。最近では紙媒体のみならず、スマホアプリでニュースを確認・チェックすることができますので、気になる方はアプリをインストールして利用しましょう。
会社四季報(上場企業系)
会社四季報では、売上や業績、社員の平均年齢や平均年収、自己資本比率といった会社情報だけでなく、業界内シェアといった業界情報も確認することができます。また数値的な客観的データ以外にも、専門家・アナリストによる今後の業績予想なども掲載されているので、企業の事業将来性などを見るのに最適です。複数の企業情報を一度に見ることができるため、業界内の比較もしやすい点もメリットです。 しかし、掲載されている企業は上場企業など大手となってしまうため、中小企業の情報は確認できないという点がデメリットとなります。
転職サイト
Webサイトを通じて転職活動を行うことができるサービス転職サイトには、さまざまな業種や業態の企業情報が掲載されており、自由に検索・閲覧することができます。企業情報は最新の情報が掲載されていることがほとんどなので、転職サイトを閲覧するだけで複数企業を比較チェックすることも可能です。 また、自分のペースで転職活動を行えるので、プレッシャーやストレスを感じずに利用できる点はメリットとなります。
転職エージェント
求職者側と企業側の間に立って、転職活動を円滑に進めるためのサポートを行う転職エージェント。転職サイトとは異なり、情報を集めたり転職に向けた段取りを自分で行なったりしなくてもよく、担当のコンサルタントがすべて、転職が成功に至るまでサポートします。応募する企業も、求職者の情報や転職における条件を基にコンサルタントが選定してくれるので、非常に便利です。
転職エージェントは登録している企業に関するさまざまな情報を持っており、企業側の担当者と直接コミュニケーションも取れる関係にあるなど、企業を知るうえではリアルな情報を入手することができます。また転職エージェントは、「ライバル企業に知られたくない極秘プロジェクト遂行のためのメンバー募集」といったような一般に紹介されていない非公開求人情報を持っていることも多く、転職エージェントを利用しながら業界動向も併せて知ることができる点はメリットです。
中途採用でも新卒採用ページや求人情報サイトもチェック
新卒採用ページや求人情報サイトに志望する企業の採用情報が掲載されているようであれば、そちらも確認しておくと良いでしょう。特に公式ホームページとは別に新卒採用ページを作成している場合には、企業が新卒者に伝えたいメッセージが込められていることも多く、新卒者に限らず転職希望者にも参考となるケースがあります。 また求人情報サイトも、転職サイトや転職エージェント同様、企業が人材募集を行う上で活用している媒体の一つです。新卒のみならず中途採用、インターンなど幅広く扱っているので、求人情報サイトを通じて、リアルに企業が必要としている人材が見えてきます。
入社している知人から話を聞く
大学の先輩・後輩など志望する企業にすでに入社している知人がいる場合には、その人物から企業の話を聞いてみるのも良いでしょう。機密情報の漏洩にならない程度の企業の社風や、実際に働いている人にはどのようなタイプの人が多いのか、業務の流れ、評価制度などといった情報も知人からであれば聞くことができるかもしれません。
転職フェア・転職イベント
中途採用募集の一環として企業が転職フェア・転職イベントに出展することがありますが、このような場も企業研究の参考になります。イベント会場にて実際に社員との面談や話を聞ける機会もある、といったメリットもあります。転職フェアや転職イベントは民間団体の出展以外にも、中小企業庁や厚生労働省、ハローワークといった機関も主催となって開催するものがあります。コロナ禍で開催自体が中止または規模を縮小しての開催となっていましたが、徐々に開催の機会が増えている傾向も見られます。
ネットの口コミサイト
転職口コミサイトとは、企業に在籍した経験のある元社員などが、企業での就労状況や給与・福利厚生などの実態情報を投稿、閲覧できるサイトを言います。転職サイトや企業のホームページには掲載されていないリアルな声が聞ける点はメリットではありますが、情報の信ぴょう性に欠けることや、ネガティブ情報が多いといったデメリットもあります。このような背景から、最近では1年以上の在籍経験があるユーザーの書き込みのみOKとしているサイトや、ポジティブ投稿の多いサイトも増えてきました。
以上のように企業研究を行うための情報源は豊富に存在しますが、すべての情報を見ていく必要はありません。また、転職活動のステージによって見るべき情報ソースは変わってきますので、状況に応じた情報源を頼り情報収集していくように心がけましょう。
現状が忙しく企業研究の時間が無い方へのおすすめは転職エージェント
転職活動を行っている方の中には、現在就労中である方が多いです。そのため企業研究に時間をかける余裕がない、という方もいらっしゃることでしょう。そのような場合には、先ほど紹介した転職エージェントを活用し、応募する企業や面接する企業情報を担当のコンサルタントから入手、それを基に企業研究を行うことで効率化を図ることができます。
企業研究は転職成功に不可欠な情報収集の場
以上、転職活動に関する企業研究の意味や方法、企業研究をするのに必要な情報収集手段についてお伝えしてきました。
この記事の中で、転職活動を成功させるためには企業研究が非常に重要であることは何度も申し上げてきました。企業研究をすることで、今ある自分の能力がどのように企業の中で活かせるのか、また、自分が将来何を目指しその実現に向けて志望する企業で何を得ることができるのかを知ることにつながっていきますので、決して企業研究をおろそかにしてはいけません。そのためにも、信頼できる情報源から鮮度の高い情報を入手し、自分なりの企業分析を行うようにしましょう。そうすれば書類選考や面接の際に、納得できるような志望動機を企業担当者に伝えることができるはずです。