阪神・播磨臨海地域を中心とした神戸エリアには、鉄鋼業を始めとした基礎素材型メーカーや運輸、航空宇宙、ロボットといった加工組立型メーカーなど、さまざまな業種の製造業が集まっています。日本を代表するクラスの大手製造業や、関連したサプライチェーンを構成する中小企業も多くあり、加えて世界に通用する技術をもったオンリーワンな中小メーカーもあります。神戸エリアは全国の製造業で働くエンジニアからみても、魅力的なUIターン先だともいえるでしょう。
ここでは、兵庫・神戸エリアにおいて次世代エネルギーや脱炭素社会への取り組みを進める製造業を中心として、2024年の日系製造業の転職事情について、JAC Recruitment（以下、JAC）神戸支店のコンサルタントが解説します。
目次/Index
神戸エリアの日系製造業の動向
日系大手製造業全般にいえることですが、2020年に最初の緊急事態宣言が出されて以降、大手は採用を控えるという時期がありました。それが2021年から2022年にかけて、不況の中でも製造業各社が新しいことを始めていかなければならないと考え、大きく事業方針を見直し、新規事業への取り組みとそれに関連した新規募集、あるいは既存事業の枠組みの中でも新たな取り組みを進めるといった体制強化を図る為の採用拡大がみられます。その傾向は、2023年を経て2024年に向けても継続していく見込みです。
重要なキーワードはSDGs
脱炭素社会に向けたカーボンニュートラルへの取り組みが中心になっています。製造業の中でも特に製鉄業など二酸化炭素の排出量が多いとされる業種では、次世代型エネルギーとして水素関連の大型事業を立ち上げ、グローバルに取り組む事業部と新設して、多数の採用案件を出されているところもあります。
新規事業を拡大していく企業も
既存事業枠組みの中、あるいはその延長での新規事業の拡大というところの例を挙げましょう。例えば産業用ロボットを中心に事業展開していたメーカーが、これまで蓄積してきた技術を生かして医療ロボットなど、適用分野を広げるケースがあります。また、これまでB2Bでのサービス展開中心だった産業用ロボットを、人と同じ場で稼働させる人協働ロボットや搬送用ロボットへと広げていくケースなども。
ここでは、次世代ロボットを開発・製造するための事業領域の拡大に伴う、採用が検討されています。また、自社が得意とする分野を中心に技術開発を進める動きや、新たな分野において他社と協業しながら技術開発を進め、グローバルで勝ちに行くビジョンを掲げ、エンジニアを増員しようという動きもあります。
求められているのはエンジニア。モデル年収は？
前述の業界動向を背景に、さまざまなエンジニアが求められているのが神戸エリアの製造業界の転職市場です。では、その動向を見ていきましょう。
まず神戸エリアとして、特に他地域と賃金体系が異なっていることはなく、日系大手製造業であれば、40代50代で職位・職級に応じて700～1200万円、中小企業の場合は一回り下回る水準で提示されることが多いようです。
では求められるエンジニア職について、業界別に見ていきましょう。
求められているエンジニア――鉄鋼業の例
製造業、中でも鉄鋼業は精錬のために石炭を使って高炉で鉄鉱石を還元していることもあり、二酸化炭素排出量は非常に大きく、業界全体として取り組みが進んでいます。神戸エリアの鉄鋼業でもSDGsに向けて既存設備の更新を中心とした設備投資が計画され、大手鉄鋼メーカーでは実際に大規模な設備導入が実行されています。
それに関連して、設備設計ができるエンジニア、設備機器の保全ができるサービスエンジニアやカーボンニュートラル実現にむけた新設部署での採用が見込まれています。
求められているエンジニア――重工業の例
大手製造業がカーボンニュートラルや水素などの新エネルギー戦略に取り組む際、新たな事業部門を立ち上げるようなケースがあります。このような場合、上流部分で事業戦略の立案や、事業企画を検討・推進するための人材の採用が中心に行われます。
また、実際に製品を開発する各事業部や新たな設備導入が必要となるプラントにおいて、製品の開発・設計を担当するポジション、プラントの設計や品質保証といった分野での求人案件が続いて出てくるといった動きがみられます。
カーボンニュートラルに関連した取り組みの中でも、特に次世代エネルギー事業への転職では、各企業が求める分野に加え、近しいエネルギー分野の方へも企画職やエンジニアとしての転職チャンスがあるといえます。
DX化によってソフトウエアエンジニアの採用は大幅に増加
DX（デジタルトランスフォーメーション）に取り組む製造業に見られる特徴として、これまで採用の中心だった機械系、電気系エンジニアだけでなく、モノづくり全般にわたって求人のご相談をいただくことが多くなっています。例えば、商品企画を考えられる方、IoTやデジタルツインに関連したプラットフォームを構築できるソフトウェア関連エンジニア、製品の品質保証に関するスペシャリストなどです。
重工業大手の傾向
部門におけるシステム開発、特にソフトウェア開発を一括管理しようという動きもあります。一例として、事業部ごとに開発系のITエンジニアや、組み込み制御系のSEを確保、運用していた体制を見直し、1つのITシステム&ソフトウェア部門にまとめた企業があります。
こうした部門を立ち上げた上で、社内の既存プロセスをDXとして推進するためにどういうシステム開発が必要なのかを検討し、採用へと動くケースがあります。例えば自社プラントの保守・運用用途にARゴーグルを使ったメンテナンスソリューションの企画・開発をする人材を募集した例などです。また、日本の製造業は長年経験を積んできた職人の技術によって支えられてきたところも大きいのですが、AR技術を使いながら、伝統の職人技を新しい世代の作業者に伝承していくためのシステム開発を手掛ける、そのための社内SEを募集するというケースもあります。
中堅・中小の製造業の傾向
IT・IoT技術を使った新規事業にチャレンジしようという企業は多くあります。例えばこれまでは決済にまつわる機器を主として製造していたメーカーが、キャッシュレス化への対応やサービス拡大を加速したり、さらには利用者のスマートフォンと連携して情報を取得したりし、その人の行動パターンにマッチした商材やサービスをサジェストするようなシステムを開発しようとするケースがあります。
キャッシュレスなどフィンテック系事業をゼロベースで企画・提案、開発推進できるような人材は、これまでの製造業にはほとんどいませんから、新しい求人の流れとなっています。こうした取り組みでは、自社で新規事業として立ち上げたり、M&Aという形で進めたりするパターンがあり、求人の形態もさまざまなものがあります。
神戸エリアの日系製造業・エンジニアにおける採用トレンド
伝統的な日系製造業の採用というは、20代の若手を中心としたポテンシャル採用の傾向が強かったのですが、ここ1-2年の変化として、新たな高収益の柱を構築する為の求人、即戦力を求める求人が増えているように思われます。神戸エリアでの求人マーケットも、環境や新エネルギー関係、DX関係など、スペシャルなスキルを持った即戦力を求めるケースが多くなってきており、求人の中心は30代以降、40代のマネジメント層になってきています。
DX関連の求人についてはここ数年で大きく増加しており、製造業のDXに対する取り組みが本格化してきて、実際に即戦力を求めていることが伺えます。
JAC神戸支店を利用するメリット３選
多くの転職ご希望者様のサポートをしてきたJAC神戸支店。JACを活用するメリットは多々ありますが、ここでは3点に絞ってご紹介します。
神戸支店のコンサルタントは神戸、兵庫の出身者が多い
例えば、「UIターンで神戸に帰りたい」「東京出身で不安がある」という方に、生活面を含めた地域の情報を案内したり、地元視点での具体的な情報を提供したりといったことも可能です。ご本人やご家族が疑問に思われること、なんでもご相談ください。
採用企業様にポジションの提案も可能
JACの特徴として、特に日系製造業では経営層など採用部門の決裁者（部長クラス以上）との距離が近く、転職情報として企業側から具体的なポジションが出ていないような場合でも、転職希望者の経験を活かせるようなご提案が可能な場合もあります。
企業側、応募側の両面から密接なコミュニケーションをとりながら進められるので、逆に応募者の経験をもとに、顕在求人が無くとも企業側にアプローチすることも可能です。
入社後のミスマッチを回避
前述の通り、採用企業と密なコミュニケーションを取っているため、転職ご希望者様が外からでは知り得ない情報もお聞きすることができます。例えば、採用を検討している具体的な背景、配属部署の雰囲気、働き方などです。
神戸エリアの製造業の特徴として、社員を大切にする風土をお持ちの企業が多いように感じます。UターンやIターンなども歓迎されるケースが多く、企業情報なども紳士的に開示されています。
JACのコンサルタントは企業との距離も近く、入社前にお伝えできる情報量の多さを特徴とし、入社後のミスマッチを可能な限り減らしていくことができるという点があります。
ご転職後も定期的に連絡を頂けるケースが多く、中途採用者に対するトレーニングプログラムの様子や、ワークライフバランス、子育て世代の男女をサポートするような制度や社内の雰囲気など、ご活躍の様子と共に皆さんから多くの声を頂いています。伝統ある製造業でも最近は新規事業部をはじめ、新しい方を迎え入れることが多くなり、幅広い個人の志向を柔軟に受け入れる雰囲気なども強く感じます。
JAC神戸支店にご登録いただければ、神戸エリアの製造業で即戦力として活躍できるお手伝いをさせていただけます。
この記事の筆者
株式会社JAC Recruitment
編集部
当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。
