近年、製造業が直面している半導体不足が、グローバルに深刻な課題となっています。渦中にある半導体業界では、既存プロセスの見直しによる効率化、さらなる高性能を目指して新製品開発など、設備や人員に対する投資が活発化しています。
では、半導体プロセスエンジニアは引く手あまたの今、どのようなキャリアプランを考えていけばよいのでしょうか。
半導体専門チームを持つJAC Recruitmentのなかでも、製造業出身の転職コンサルタントが半導体プロセスエンジニアの転職動向について解説します。
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半導体業界のトレンドは大きく二分
初めに半導体業界のトレンドですが、大きく2つに分かれています。ひとつは最先端技術の追求で、これは微細化と3次元化に関する技術構築になります。もう一つは既存の半導体、例えばCMOS イメージセンサーや電力制御に使われるIGBTといった半導体素子について、材料やプロセスを見直してデバイスの性能向上を目指す技術です。
半導体プロセスエンジニアが取り組む業務は、その半導体の用途によって、この両軸で変わっていくことになります。
半導体プロセスエンジニアに求められるスキル
プロセスエンジニアに求められるスキルですが、基本的には半導体プロセスに関わる実務経験が求められます。特に、半導体製造は工程数も多く、それぞれの工程において専門性も求められる傾向にあるため、特定工程におけるプロセスの経験をお持ちのお方は市場でもニーズが高いと言えるでしょう。
また、半導体業界では、チップの集積密度が18~24カ月で2倍となるというムーアの法則も、ここ数年はそろそろ限界に近付いているという見方があります。つまり微細化はそうとう難しくなっているという状況の中で、さらに微細化するというオーダーに対応している状況にあり、いずれ終わりがくると言われています。
そこで、更なる高性能化を目指すために注目を浴びているのが、複数の半導体チップを組み合わせて1つのパッケージに実装する「先端パッケージ」です。
先端パッケージのこれからと求人の傾向
その技術革新に向けて、現在「後工程」技術が注目を浴びています。先端パッケージ実現のためには、新たに多くの材料、装置の活用・開発が必要になるため、この領域においてご経験を有している方はとても貴重であり、市場価値も高いと言えるでしょう。
先端パッケージにおいては、例えば前工程の微細配線技術を応用するようなトレンドもあるため、半導体前工程におけるプロセス開発のご経験をお持ちのお方は、先端パッケージにおける後工程においてもご活躍できる可能性が十分にあります。
半導体プロセスエンジニア年収相場と世代別転職事情
半導体プロセスエンジニアといって、他の職種と年収に大きな違いがあるわけではありません。年収相場は下記のとおりです。
※JACを介して転職された半導体エンジニアの年収2023年実績より
半導体業界は活況にありますから、他の製造業よりも高い業績給を支給する企業が多いというのも事実です。業界全体で人材不足となっており、転職は売り手市場だといえるでしょう。
30代 | 700万~800万円 |
40代 | 800万~1200万円 |
50代 | 1000万~1500万円 |
60代 | 1200万~1500万円 |
半導体プロセスエンジニアのキャリアプラン
半導体のプロセスエンジニアは、かなり専門色の濃い業種ということもあり、半導体メーカー間、あるいは半導体の製造装置メーカーなど、関連業界内での転職が主流になっています。さまざまな半導体のユニットプロセス、例えばエッチングを極めたいとか、データ解析を追求したいとか、ご自身が今後何を極めたいのか、明確になっているのであれば、転職も決まりやすい環境です。30代半ばまでであれば、例えば大学院で化学関係の勉強をしたというバックグラウンドがあれば、異業種からのキャリアチェンジでも十分なチャンスがあるでしょう。
また、半導体装置メーカーでは、半導体プロセスエンジニアを次世代装置の製品企画やマーケティングとして採用するケースも増えてきています。半導体装置メーカーは、半導体デバイスメーカーと二人三脚で開発を進めていく必要があるため、いかに顧客ニーズを把握し、それを次世代の製品開発に活かしていけるかが重要と言えるでしょう。
そのため、製品企画やマーケティングにおいても半導体プロセス技術の知見が求められ、その知見を有する方であれば、企画やマーケティングで活躍してほしいと考える製造装置メーカーは多いようです。
半導体プロセスエンジニアにおける50代のキャリア
転職事例の中心は30代や40代になりますが、半導体プロセスは非常に高い専門性が求められるため、例えば特定プロセスに関する深い知見や、特定プロセス+周辺プロセスの知見など、非常にとがった技術をお持ちの方であれば、50代でもチャンスは十分にあります。また、自ら手を動かすような現場第一線での立場だけではなく、より高い立場でマネジメントに携わることもできるでしょう。また、プロセスエンジニアとして広い知見をお持ちであれば、工場の取り纏めや品質保証業務といったキャリアの方向性もあります。
半導体プロセスエンジニアのキャリアプラン
転職を希望される方に転職の動機についてお話を伺うと、ご自身の持つ技術レベルと社内での評価がアンマッチだったり、どこで何を極めるのかという志向と合わなかったりという方が多いようです。
一般的に半導体プロセスエンジニアは、一連の製造プロセスの中で、自分の担当するユニットごとに技術を高めていく方向性と専門性を活かしながらその前後工程へと守備範囲を広げていく方向性があります。
後者では、最終的に全体を横串でみられるインテグレーションを経験することで、さらに将来、工場長など全体を把握する職種へ繋がるキャリアが築きやすくなると言えるでしょう。
また、一口に半導体プロセスといっても、要素開発、製品開発、量産技術といった製品リリースまでのフェーズ(上流~下流)によって業務内容は異なります。
要素開発や製品開発といったより上流のご経験を深めていくことで、先端技術の開発に携わっていくということもできますし、要素開発から量産技術まで広くご経験を積むことで、将来的に工場やプロセス全体を取り纏めていくというキャリアも考えられます。
半導体業界全体が活況で、研究開発や設備に対する投資も旺盛ですから、今後5年10年に向けて各社が目指すところの色合いが出てきているように思われます。転職に際しては、そうした状況を踏まえ、ご自身の経験がよりマッチする、生かせるところを検討されるのが良いでしょう。
JACならではの半導体プロセスエンジニアの転職サポート
半導体業界各社が掲げる方向性は、例えば中期経営計画としてIR情報に発表されていますが、その中でプロセスエンジニアとして具体的に何ができるのかという情報までは、世の中に向けて発信されているわけではありません。
私たちは、担当する企業の工場長クラスの方、製造プロセスの部門責任者といった立場の方から実務担当のエンジニアまで、実際にお会いしたうえで、今の取り組み状況や、各部署が抱えている課題など、具体的なお話を伺う機会を多く持っています。
一言でプロセスエンジニアといっても、会社が違えばやることもできることも違います。私たちのチームの中に、各社での面接を通して明らかになった課題や情報を蓄積していますので、こうした情報をきちんと横串でお伝えした上でマッチングできるのが私たちの強みです。実際に具体的な取り組みを聞いたうえで、チャレンジしてみたいと感じられて、転職活動を開始される方もいらっしゃいます。
JACだからこそ、業界全体の動向をみながら、ご自身の経験を生かせる転職を実現するお手伝いができると考えています。半導体プロセスエンジニアの転職を検討されている方はぜひご相談ください。