財務の転職|年収相場・求められるスキルや経験を解説

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公開日:2024/11/18 / 最終更新日: 2024/11/18

財務は必要な資金を算定し使途を計画する、資金を調達し管理するなど、会社に将来必要になるお金を管理する、専門性の高い職種です。

近年、国内大手企業を中心とした海外展開が進む影響で、グローバル人材の求人が増加しています。ここでは、財務の転職について、JAC Recruitment(以下、JAC)の経理専任コンサルタントが解説します。

財務の転職市場の現状・求人の傾向について


財務の転職市場における求人には、どのような傾向がみられるのでしょうか。ここでは、財務の転職市場における現状と求人の傾向をご紹介します。

財務の求人数は増加傾向で売り手市場

近年、財務の転職では、経理同様グローバルな環境で活躍できる方の求人が増えています。財務の求人数は経理と比較するとかなり少なく、数にして3割程度しかありません。しかし、財務としてのキャリアを持つ方も少ないため、結果として売り手市場になっています。

ベンチャーは上級管理職での採用が多い

財務の求人に関しては、ベンチャーは少し特殊です。ベンチャーでは投資や融資関連の業務が一般企業よりも多く発生する可能性が高いため、上級管理職での採用が多い傾向にあります。とはいえベンチャーはあくまでも中小企業ですので、財務専任のポジションは少なく、主に経理・財務を兼任する役職や、財務の責任者として経営に関与するCFOやそれに準ずるポジションを求人することが多いです。

企業のグローバル化推進により財務人材の需要が増加

日系大手企業やベンチャーのグローバル化が加速している影響で、グローバル人材の需要が高まっています。近年は日系企業が海外企業を買収するグローバルでのM&Aも増加しており、買収した企業に対するファイナンス関連のガバナンスの重要性が増している状況です。また、調達した資金を拠点や事業部にバランスよく分配したり、グループ全体でのファイナンス管理を担えたりする方の需要も高まっています。

グローバル人材の求人は、経理、財務、管理会計の各部門が縦割り構造になってそれぞれに複数の担当者が配置されている大手企業の求人数が多いです。一方、中堅・中小企業では財務の専門部署がなく、財務と経理を兼務する担当者がいたり、役員が担当したりしているケースもあります。

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財務に求められるスキルや経験・マインド


ここからは、財務の転職で求められるスキルや経験、マインドをご紹介します。

グローバル求人では英語力が必須

グローバル求人では、英語力は非常に重要です。日系グローバル企業では拠点とのやりとりに英語でのコミュニケーションを求められることがあるため、英語での業務経験が欠かせません。ただし、直接会話をする機会が限られている企業の場合は、文章の読み書きができれば十分であることも多くあります。

資金管理と資金調達、いずれかの経験

財務の業務は、調達した資金を管理する「資金管理」と、新たな資金の提供を受ける「資金調達」の2つに分けられます。2つの役割は大きく異なり専門性が高いので、例えば資金管理の経験が豊富な方を資金調達の求人に提案してもよい結果は得られませんし、逆も同様です。転職時には、財務のどちらの業務の経験があるのか、「これまで何をしてきたのか」を具体的に説明できる必要があります。

ベンチャーと大手企業で求められる経験の違い

資金調達には「エクイティファイナンス(株式発行による資金調達)」「デットファイナンス(借入金による資金調達)」「アセットファイナンス(資産の売却や担保設定による資金調達)」の3つの手法がありますが、財務に関しては、大手企業とベンチャーでは求められるスキルが異なります。

大手企業では銀行や信用金庫、信用組合などの民間金融機関、日本政策金融公庫など政府系金融機関からの借り入れ、社債やコマーシャルペーパーの発行などデットファイナンスがメインとなります。企業が保有している不動産や有価証券などの資産(アセット)を売却、または担保にして資金調達するアセットファイナンスも、立ち上げ当初から資産を保有しているベンチャーはかなり少ないと考えられるため、大手企業の資金調達手段と言えます。

デットファイナンス、アセットファイナンスに関しては、金融機関などとの交渉は役員、財務部長や財務課長など上級役職者が担当することが多い傾向です。そのため、そういった経験は企業側のニーズが高いです。メンバーレベルの方は、交渉の根拠となる情報の収集や資料の作成など支援業務の担当が多くなります。

一方、資金力に乏しく資産がないベンチャーでは、運転資金の調達手段として新株や転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行など、エクイティファイナンスが重視されることが多いです。

エクイティファイナンスに関しては、エンジェルやベンチャーキャピタル、証券会社などに対してどのように自社ビジネスが伸長していくのかをアピールすることが重要になります。そのため、ベンチャーの財務担当者は事業計画書だけでなくプレゼンテーション用の資料も作成し、会社規模によってはそれを説明して交渉する役も企業から求められることになります。

コミュニケーション能力などのソフトスキル

財務の転職では、業界経験が問われるケースは少ないです。そのため、専門スキルと同様に人柄などソフトスキルを重視される傾向が高いです。また近年、高いコミュニケーション能力があり周囲としっかり連携できる外向性や、自ら率先して行動する意欲があるかどうかが採用時の重要な判断ポイントとなっています。

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財務の年収相場


当社を通じて転職された財務の方の平均年収は、実績としては700万円から1300万円程度が相場です。企業規模や役職などによって、以下のように異なりますが、全体的には、経理よりも年収は高くなる傾向があります。

企業規模 役職 年収
大手企業 メンバークラス 1000万円程度
管理職や専門職 ~1300万円程度。1500万円の実績もあります。
中小企業・ベンチャー 管理職や専門職 700万円~1200万円程度

資金調達に関しては、金融業界出身者がスペシャリストとして高い年収で採用されることが多いです。

なお、外資系企業の財務の求人は多くはありません。資金調達・資金管理は本国マターとなり、日本国内にある支店・ブランチは資金が提供されるのを待つか、必要に応じてそれを要求するのみだからです。

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財務には、どのような専門性が求められるのでしょうか。ここでは、経験年数と業界知識・資格について解説します。

経験年数

財務の転職においては、経験年数はあまり重視されません。財務は経理とは異なり、月末の締め作業、決算など定型業務だけではないためです。従って、経験年数よりも「何をやってきたか」「どのような経験を積んできたか」が重視されます。

財務の業務内容は、企業によって大きく異なります。例えば、資金調達は役員が直接対応していて財務はそれを管理するだけ、という企業もあります。無借金経営を続けている大手企業ではデットファイナンスの機会はありませんし、内部留保が多い企業で働いている方は資金調達やエクイティファイナンスの経験はしていないでしょう。

また、中小企業では経理が財務を兼務することも少なくありません。そのため普段の業務は経理が中心で、資金調達や資金管理が必要な時だけ財務として活動する、という経験を積んでいる方もいます。そうなると、財務部門があるような企業の求人に対しては、「財務に必要な専門性が足りないのではないか」と判断されることもあり得ます。

業界知識・資格

お金を取り扱う業務なので、業界知識は一般的には不要です。また、財務関連の資格は存在しないため、財務の転職では資格もあまり重視されません。前述した通り、知識や資格より、「何をやってきたか」という業務経験が重要です。

語学力についても同様です。グローバル企業の場合は会話によるコミュニケーションを含めた英語力が問われますが、ごく一部海外市場での上場を目指すベンチャーを除き、ベンチャーの場合は求められないことが多いです。

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財務の主なキャリアパスは、大きく以下の3つです。

・職位を上げる
・多様な財務業務の経験を積む
・関連部門へ異動する

ここからは、それぞれのキャリアパスについて解説します。

職位を上げる

財務のキャリアパスには、まず職位のキャリアアップ、財務課長や財務部長といった役職への昇進が挙げられます。大手企業の場合、財務部長クラスの求人案件が出てくることはほぼなく、スタッフや主任クラスで入社してそこからキャリアを積み上げていくことになります。一方、中小企業では経理が財務を兼務したり役員が財務担当者になったりすることが少なくないため、財務のみの求人はほとんどありません。

ベンチャーは資金調達能力が重要視されるため財務のニーズがあり、CFO待遇の求人もみられます。しかし、ベンチャーのCFOを経験した方が、「CFOの経験がある」として大手企業の財務部長ポストを狙うのは困難です。ベンチャーの場合、特定の商材に特化して財務業務を行うことが多いですが、大手企業になると多数の商品・サービスを取り扱い、複数の事業を展開していることが多いです。そうなると、資金調達の規模や機会もベンチャーとは大きく異なるため、業務対応能力が不安視されるからです。

多様な財務業務の経験を積む

大手企業では、財務業務が細分化されていることが多いです。そのため、資金管理や資金調達など細分化された業務をローテーションしながら徐々に経験を積むキャリアパスもあります。

関連部門へ異動する

財務以外のファイナンス関連部署への異動も、キャリアパスの一つだといえます。経理への異動はもちろんのこと、財務は資金面から企業のビジネスの全容を把握している部署なので、企業規模によってはIR(投資家向け広報)や経営企画など、より戦略的な部署へ移動するケースもあります。

未経験業界への転職の可能性


財務の場合、業種に特化した知識や経験はそれほど求められません。そのため、未経験業種への転職は十分可能です。転職希望者の条件に応じて、製造業から金融業、ベンチャーからインフラ企業、サービス業から不動産業など、さまざまな業種への転職が想定できます。


財務の転職においては、持っていると有利な資格はありません。資金調達、資金管理などの業務経験とその内容が重視されるためです。

財務に関連する資格としては、公認会計士や税理士、日商簿記1・2級のほか、FP(ファイナンシャルプランナー)中小企業診断士FASS検定などが挙げられます。しかし、どれも「ないよりは良い」という程度です。

グローバル求人で求められる英語力に関しては、メールや文書に関する業務であればTOEIC 600点程度、電話やオンラインミーティングなど会話でコミュニケーションを取る場合であればTOEIC 800点程度が目安となっています。しかし、資格はあくまで目安で、実務経験の方が重視される傾向があります。

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財務の転職を成功させるためには、以下2つのポイントを押さえることが大切です。

・経験した業務内容を具体的に説明する
・マネジメント経験があればアピールする

ここから、それぞれの内容を解説します。

経験した業務内容を具体的に説明する

財務の転職では、その業務経験をどれだけ深く説明できるかが重要です。具体的にどのような業務に携わり、どれほどの成果を上げたかをアピールする必要があります。

例えば資金調達を担当していたのであれば、事業計画や財務計画の策定のほか、「誰に対してどのような調整をしてきたのか」「どれくらいの資金を扱っていたのか」を具体的に説明することが必要です。その過程において、金融機関との折衝経験なども重視されます。また、特にベンチャーでは「どのエンジェルやベンチャーキャピタルからいくら調達したのか」といった情報も、業務を評価するうえで重要な情報になります。「どのラウンドで、何社からいくら資金を得たのか」という具体的な内容を説明できると、説得力が増します。

資金管理を担当していたのであれば、期初計画の策定、予実管理、資金配分の経験や、資産運用の規模などがアピールポイントとなります。

マネジメント経験をアピールする

転職希望者の実務経験年数にもよりますが、マネジメント経験があるのであれば積極的にアピールしましょう。部下のマネジメント経験あると、非常に評価されます。

加えて、PMやPLとして自らプロジェクトをリードし、周囲のメンバーを巻き込みながら成果を上げたような実績があれば、その具体的なエピソードを強調すると効果的です。例えば、新規事業立ち上げプロジェクトの際には売上見込みや必要経費、ロードマップなど事業計画を策定しますが、その妥当性を財務の立場から検討し判断する、といった関与の仕方が挙げられます。財務は未経験の業界への転職が可能ですし特定の資格が求められないため、マネジメントをするにあたってのコミュニケーション能力のようなソフトスキルも重要視されるポイントです。

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ここからは、財務の転職希望者からいただくことが多い質問と回答を2つご紹介します。

Q. 財務の求人は多いですか?

A. 経理と比べると財務の求人数は多くありません。しかし、財務経験者自体が少ないため、マッチする求人が出た場合は比較的早く決まる傾向があります。

Q. 金融業界から事業会社の財務へ転職はできますか?

A. はい、可能です。財務の転職は増加傾向にあります。特に、資金調達に関する業務の重要性が高まっており、企業も積極的に求人を出しています。


ここからは、財務の転職における成功事例をご紹介します。

業種職種年収
転職前大手都市銀行法人営業1,200万円
転職後エネルギー系企業財務部の課長候補1,150万円

Yさん(30代後半/男性)は大手都市銀行で法人営業を経験、保有資産の証券化など資金調達の経験を積みました。グループ証券会社への数年間の出向も経て、海外駐在を希望していましたがかなわず、「将来は事業会社で、グローバルな視点をもって働きたい」とお考えでした。転職のタイミングについて悩んでいたYさんですが、JACの後押しもあって転職を決意。JACのコンサルタントからは数社をご提案し、その中でエネルギー系企業の財務部に課長代理として転職されました。将来は海外駐在すること、CxOになることを目標に、充実した毎日を送っています。

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ミドル・ハイクラスの財務への転職ならJAC


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この記事を監修した転職コンサルタント

山本夏輝

山本 夏輝

コーポレートサービスディビジョン シニアコンサルタント

現在は大手から中堅の日系企業のファイナンスポジションを主に担当しています。私自身海外駐在を経験したことから、グローバルで活躍される方々と特に多くお話しをさせていただき、実際にご支援もしています。海外での就業経験を生かしたい、またはグローバルな環境で培った業務経験が役に立つ環境で働きたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。ご転職の支援だけでなく、現在の市況感やキャリアの棚卸しなど、さまざまなかたちでご支援ができます。


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