採用企業インタビュー
チームワークを大切にしながら、新しいことに挑戦し続ける。
ヒット商品を生み出すP&Gのマーケティングの極意。
P&Gジャパン合同会社
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アジアファブリックケア
- ブランドディレクター
- 木葉 慎介 氏
世界180カ国以上で洗濯洗剤や柔軟剤、ヘアケアやスキンケア製品などの高品質な商品を提供し、次々とヒット商品を生み出している世界最大級の日用消費財メーカー「P&Gジャパン合同会社」。P&Gのブランド戦略は世界トップクラスともいわれ、グローバルに活躍する人材を多く輩出していることでも知られています。今回はシンガポールオフィスで、アジアファブリックケアのブランドディレクターとして活躍する木葉慎介氏に、グローバルなビジネス展開で成長を続けるP&Gのマーケターとしての思いや、多国籍な人材を束ねるディレクターとしての心得について伺いました。
まず初めに木葉さんのご経歴や、現在の業務内容についてお聞かせください。
- アジアファブリックケア
ブランドディレクター - 木葉 慎介 氏
私は2001年にP&Gジャパンのマーケティング部門に入社しました。最初に担当したのは、柔軟剤入り洗剤の「ボールド」を日本市場に向けて発売するプロジェクトでした。次に洗濯洗剤「アリエール」に異動し、その後、ヘアケア関連のブランドを担当したのちに、再び洗濯洗剤関連事業部に戻り、2010年からシンガポールに異動、アソシエイトブランドディレクターとして日本の洗剤全般と、中国の「アリエール」を担当しました。2015年からはブランドディレクターとしてアジア市場全般の柔軟剤、現在ではそれに加え、日本と中国の洗剤事業も統括しています。
ま主な仕事は2つあります。ひとつは商品のブランディングをしていく中で、利益目標を達成していくこと、つまりマーケティングプランを実行していくことです。もうひとつはビジネスマネジメントです。私は現在、シンガポールオフィス勤務ですが、そこには各地域のマーケティング担当がおり、それ以外に各国にブランドマネージャーと呼ばれている各ブランドのリーダーがいます。それぞれの国で発売した商品の売上を伸ばすためのプランを現地のブランドマネージャーが考えて私に提案し、それを承認するかしないかの意思決定をくだす仕事です。現在、私のチームは各国に散らばっている担当者も含めて、総勢80名ほどで動いています。
人々の生活に密着する洗濯洗剤や柔軟剤という商品は、“アジア市場”と一括りにして展開することは難しいと思いますが、各国によりブランドコンセプトなどは異なるのでしょうか?
柔軟剤という商品の特性上、「いい香りがする方がいい」、「布が柔らかくなる方がいい」という2点はどこの国においても確実に喜んでもらえるポイントです。ただ、どれくらい強い香りがいいのかという好みや、どのように売り込めば消費者に届くのかということについては、国によって全然違います。例えば日本では考えられませんが、フィリピンでは2時間以上かけて丁寧に手洗いで洗濯をするのが主流です。最後に洗い桶に入れた柔軟剤に洗濯物を浸し、液体成分が落ちないようにそっと絞って、そっと干す。アジア地域は気候や消費者の生活スタイルによってニーズが大きく異なるので、各国に寄り添ったプランを提案することが大切です。
私たちの仕事は出来上がった商品をそのままマーケットに展開していくことではなく、「このマーケットには、こういった商品が合います。だから、こういう商品を作りたい」ということを会社に提案し、それを実現させて展開していくこと。もちろん事業として集約すべき部分もあり、ある規模の経済の中で、どうやって成果をあげていくかということを考えた上で、各国の違いを無視するのではなく、その違いに目を向けて、各国で事業を展開しています。
まずは各国の生活習慣やニーズを理解することが重要ですね。80名ものチームを率いて、多くの国でのビジネスをマネジメントしていく中で、木葉さんが一番大切にしていることは何ですか?
基本的に、一番大切なことはチームワークだと思っています。「専門的な研究開発のことや、生産のことはわからないから任せる」という態度では、マネジメントはできません。ある程度の知識がないと、うまくチームをまとめていくことはできないので、それを勉強するために、私はいろいろな人と話して、教えてもらうようにしています。チームの部下であっても、わからないことがあれば「教えてください」とお願いします。
現在、アジア9カ国を担当されている中で、各国の細かい事情を把握することは非常に難しいと思うのですが、意思決定を行う際の判断基準はどのように意識されていますか?
まさしく一番難しい問題です。私はシンガポールオフィスにいるブランドディレクターの中でも、最も担当している国数が多いのですが、やはり現地にいるブランドマネージャーと密に話をすることが最重要だと考えており、毎週1回、各国のブランドマネージャーと個別に1時間弱のミーティングを行っています。そこで詳細な報告を受け、かなり細かく確認しているのですが、やはりそれだけでは判断がつかないことも多いため、数カ月に1度は現地にも足を運びます。
シンガポールオフィスのチームメンバーは、それぞれ担当地域をもっているので、3カ月に1度は彼らが担当する地域に一緒に出向き、ブランドマネージャーと顔を合わせて、じっくりとミーティングを行います。ミーティングが終わると、担当者はシンガポールに帰り、私は次の国へ移動します。シンガポールへ帰る部下には、私から指示を出しておき、シンガポールへ戻った時に、それができているかどうかを確認します。もちろん彼らに任せている部分はありますが、進捗の報告は受けています。
多くの部下を抱える立場になった現在、チームのマネージャーとして心がけていることは何ですか?
現在の立場では、すべての事業に対して私自身が動くことは、どう考えても不可能なので、人に任せて目標を達成していかなければなりません。つまりアシスタントブランドマネージャーの時代は“選手”でしたが、現在は“監督”になったわけです。うまくいかない時に監督が出て行って、「代打=自分」というのは良くないパターンなので、どうやったら部下が期待値を上回る結果を出すことができるようになるのか、それを実現するためには、どのような刺激を与えて育てていくのか、ということを考えることが重要だと思っています。
また、基本的に部下の仕事内容は細かく確認していくタイプではあるのですが、監視していると思われるようなやり方はせず、部下がしていることを理解した上で、信頼して任せているという空気感を作り上げなければ、なかなかうまくチームは回らないと思っています。
グローバルな環境で、さまざまな国籍の方と一緒に働いていらっしゃいますが、仕事への考え方や、スピード感などの価値観が国籍によって違うことはありますか?
国籍によって違う部分も少なからずあるかもしれませんが、P&Gという企業文化のほうが仕事の場では強いので、それぞれがその中で仕事をこなしていると思います。そういった意味では、国籍による違いはあまり感じたことはありません。同じ国籍でも要領よくこなすタイプ、コツコツ積み上げていくタイプなど様々で、むしろ個々人の性格だと思っています。
どこの国でも、P&Gとしての企業カルチャーがしっかり根付いているのですね。話は変わりますが、木葉さんが現在の仕事に興味を持たれたのは、いつ頃からだったのでしょうか?
学生の頃から、将来的に自身で事業を立ち上げたいと思っており、多くの会社のお手伝いをしてきました。そうしているうちに、コンサルタント的な仕事ではなく、やはり現場で働きたいという思いが募り、若いうちからリーダーシップをとれる会社はないだろうかと探していた時に、友人からP&Gのブランドマネジメントシステムの話を聞き、非常に興味を惹かれて入社しました。
実際に入社してみて、20代の後半からブランドマネージャーというビジネスリーダーとして、その国の担当ブランドの経営を任されたことは、大きな経験になっていると思います。P&Gという会社は、なかなか簡単な仕事はさせてくれない会社ですので、これが出来るのであれば、これも、これもと常にハードルがあがっていき、もちろん辛かったこともたくさんありますが、後になって考えてみると、学びの部分が多く、すべてが次につながる糧として貴重な経験を得られたと思っています。
P&Gで数多くのプロジェクトを手がけられてきましたが、一番大きく成功したプロジェクトは何ですか?
個人的に特に思い出深い成功体験ということで申し上げると、2014年に「アリエール」で “第3の洗剤”といわれるジェルボールの日本導入に成功したことですね。これはすごく目新しい商品なので、導入するにあたっての設備投資を含めたコスト面でのハードルが高く、そのため売上目標の数値も非常に高かったんです。しかし当時の私の上司が来日した際に、すべての状況を理解した上で、「俺は生産工場を買う。だから君はビジネススキームをきちんと出せ」と指示を受けました。結果的には高かった売上目標の約3倍もの売上をあげることができました。日本の市場に対してのインパクトも大きく、おかげさまで2014年の日経トレンディのヒット商品ランキングの第4位に選ばれたほど、日用品業界ではスーパーヒットになりましたね。
洗剤としては、まったく新しい形態の商品で、インパクトがありました。今後、まだ手をつけていない地域や、製品のカテゴリーを担当することになり、もしも今までの知識がまったく役に立たないことになってしまったら、どのようにしてモチベーションをあげますか?
私は新しいことに挑戦することが楽しいと思うタイプなので、そこはまったく苦になりません。知識はゼロから覚えなくてはならないし、スキルも新しいことを身につけなくてはならないかもしれませんが、それでも80%は、今までやってきたやり方が通用すると確信しています。いくつになっても、できる限り前進していきたいと思っています。
新しいことにも挑戦し続ける姿勢が素晴らしいですね。ヒット商品を生み出す秘訣も、そこにあるのではないでしょうか。それでは最後に、転職を希望する方へのメッセージをお願いいたします。
事業の中で、ある程度の裁量をもってキャリアを積みたい方、日本だけではなく、グローバルな環境の中で通用するビジネスリーダーになりたいという思いをもった方にとっては、さまざまな経験を積みながら、成長するチャンスの多い会社です。大変なこともありますが、やりがいをもって楽しみながら仕事をしていただけると思います。ぜひ、チャレンジしてください。
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